みずうみ (河出文庫)

  • 河出書房新社
3.11
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本棚登録 : 550
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410494

感想・レビュー・書評

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  • 不思議な世界観で
    ぐんぐんひきこまれていく。

    途中で読む手をを止めると
    本の中の世界から自分がこぼれ落ちてしまいそうで


    家でゆっくりじっくり読みたい作品でした。

  • 響いてくるのは「?」だけ。
    他には何もない。
    慎重に読み進んだが、分からなかった。

    ただ耳の中に、水の音が「コポリ コポリ」残った。

  • しんじ、やばい

    もうこれはトリップだよ

    なんかこわいくらい



    こわいくらいの ことばだよ

  • 四国などを舞台とした作品です。

  • 3編からなるおはなし。
    別々の話と思いきや、解説を読んで、あら、同調。

    いしいさんの文章、好きです。

  • 3章全くつながってないようなつながってるような。
    解説で、おお、そうか!と納得したくはないけれど、
    すごくすとんって納得した。シンクロニシティ。

  • 読み手の湖面はさざ波? 鏡面? それとも荒波? 第一部、第二部、第三部でまったくちがう顔を見せる。それぞれ単独で読めばいい物語だけど、三部合わせて一つの「みずうみ」を構成しているようには思えず、満足感よりは違和感が残る。私の場合はさざ波でした。
    第一部は森の中の不思議な湖と村人
    の話し。第二部は、その村の出身と思わしきタクシー運転手の話し。第三部はいしい夫妻と米国人の友人の話し。
    著者のインタビュー
    http://book.asahi.com/clip/TKY200704040218.html
    を読むと、ボンヤリしていたテーマ(の一つ)がハッキリ見えてくる。モノゴトが、ある出来事から別の出来事へと連鎖していくありようには、原因と結果や偶然だけではないつながりもある、ということ。
    確かにその通りなんだけど、あまりに個人の思いや努力の入る余地が少ないように読めた。

  • 意味がぜんぜんわからへんかったけど 魅力的な文章でしたアエー

  • わあ。なるほどこれはたいへんだ。
    ひとことで言うと悲しい小説。

    3編からなるのだけれども、
    3つがひとつの流れを作っているわけではなく、
    基本的には別々の話で、帰結もしない。

    勝手な解釈をさせてもらうと、
    なんというか今回は、いしいしんじさんお得意の与太話をやめて、
    いつもの道具を使って「本当の事」を表現しようとしたんじゃないだろうか。

    だけどそれはとても苦痛を伴う作業だったので、
    話が3つに分かれてしまった。
    描いている事は本質的には3つとも同じで、
    それぞれ別の外堀から内側に向かって書かれている。

    そしてそれは完璧にはうまくいかなかったのかもしれない。
    彼自身が抱える痛みに直接触れるに至らなかった。
    最終章では禁じ手まで使ったけど、どうだったか。

    それは彼の持っている道具の性質によるところも大きい気がして、
    それがかえって作家自身ののたうつような悲しみを生々しく感じさせるような。
    もちろん意図してそうしているのかもしれませんが。

    とにかくそれは価値のある事のように思えましたよ僕には。
    ひとには薦めにくいけど、読んだ人には感想を聞きたい作品。

  • 今回のいしいしんじ作品は3章からなる小説。



    1章はかわいらしくて生々しいファンタジーの世界。
    みずうみとともに暮らす村を描く。

    2章の舞台はどこの世界かも分からない、いつかも分からない、どこか、異国。
    そこでタクシー運転手をする男性を描く。

    3章の舞台は松本市、ニューヨーク、キューバ、メキシコなどである。
    日本人と外国人カップルを描く。



    この3つの章に共通して流れているのが水。

    1章はごりごりのファンタジー、2章は現実かどこかおぼつかない世界、3章は現実世界。
    相互をつなぐのは節目にでてくるキーワードだけで直結した連続性はない。
    しかも物語はある時間を切り取ったようで完結してもいない。
    なんだか彼らの生きたままを読んでいるようで大きなうねりもなくて途中で挫折しかけました。



    けど、3章まできてみて


    この人はもしかして自分とおんなじようなものを見て、おんなじような空気を食べてるのかと感じるとき、

    それは昔をたどれば同じような水のなかにいたからかもしれない、と思ってしまった。

    つまり羊水のことね。


    水は、地球ができた昔から循環を続けていて今日わたしが飲んだ水は昔誰かが使った水ってこともありえる訳で。


    そんなことを思ったらもう、水というものに圧倒されて押し流されるんじゃないかと思った。





    一応解説によると、この物語の作り方はとても新しくこれからのいしいしんじの可能性を感じずにはいられないと書いてありました。
    けど、わたしはやっぱり今までのかわいらしいのに生々しく毒のあるファンタジーの方が好きだ。
    だから、いしいしんじをおすすめするならこれじゃないなあ。

    これが持つのはわくわくじゃなければ感動でもない。
    地下を流れる水脈に乗ってぐるぐる回り続けているものがあるっていう事実。

    ちょっとつきはなした感じの小説です。
    いしいしんじが何を思い描いたのかはなぞですが、たしかに重いものを残していきました。とさ。



    エントロピー
    エン、で流れ、トロで、少し跳ね、ピーの余韻に消えてしまう。

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著者プロフィール

いしい しんじ:作家。1966年、大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲二文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。そのほか『トリツカレ男』『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『海と山のピアノ』『げんじものがたり』など著書多数。趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2024年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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