軋む社会---教育・仕事・若者の現在 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 268
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410906

作品紹介・あらすじ

夢を持てない。将来の展望が見出せない。社会の軋みを作り出したのは一体誰なのか。その負荷を、未来を支える若者が背負う必要などあるのか。非正規雇用、内定切り、やりがいの搾取で拡大する「働きすぎ」…今、この危機と失意を前にして、働くことの意味はどこにあるのか。文庫版増補として、「シューカツ」を問う論考を追加した、若者の苦しみを解き放つ糸口を探る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 板倉一枝先生 おすすめ
    21【教養】304-H

    ★ブックリストのコメント
    将来の展望が見いだせない社会において、若者の働く意義とは何かを問いかけています。テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で話題となった「やりがいの搾取」という言葉は、本書が原典です。

  • いくつかのレポートをまとめて1冊にされている。ここにも湯浅氏が登場し、ぶれない持論を展開。全体に「今はこうだから、これからこうしよう」という提案や投げかけはなく、現状を知ろう、ということだ。本田さんは自分の意見よりも他人の受け売りをわかりやすく解説するのが得意らしい。引用元も示しているので悪いことではない。

  • 教育と仕事の格差について。
    働きすぎるシステムはとても納得。ゲーム性や奉仕性など、時間をかけた分だけ仕事量もサービスの質も上がるのは当然。
    吉田修一が「現代のプロレタリア文学」と書いてあって、自分の感じ方を言葉にしてくれた感じが嬉しかった。

  • 3章の「やりがいの搾取」の概念はなるほどと思った。
    しかし、全体的には共感ができない論理展開が多く、また、本自体が非常に読みにくい・・・読みにくいから理解できず、共感できない点もあるかもしれない。
    若者のことを考えるように、読者のことも考えて欲しい。

  • [ 内容 ]
    夢を持てない。
    将来の展望が見出せない。
    社会の軋みを作り出したのは一体誰なのか。
    その負荷を、未来を支える若者が背負う必要などあるのか。
    非正規雇用、内定切り、やりがいの搾取で拡大する「働きすぎ」…今、この危機と失意を前にして、働くことの意味はどこにあるのか。
    文庫版増補として、「シューカツ」を問う論考を追加した、若者の苦しみを解き放つ糸口を探る一冊。

    [ 目次 ]
    1 日本の教育は生き返ることができるのか
    2 超能力主義に抗う
    3 働くことの意味
    4 軋む社会に生きる
    5 排除される若者たち
    6 時流を読む―家族、文学、ナショナリズムをキーワードにして
    7 絶望から希望へ
    8 増補・シューカツを乗り越えるために

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 特に引用する部分が無く、まぁ、他著で言っている事を焼き増ししているだけなので、これといった感想はありません(笑)
    悪い本ではないのですが、著者の熱が理論を邪魔して、説得力に欠ける部分もあり、もう少し学者らしく仕上げてほしかったなぁと感じました。
    僕の評価はAにします。

  • 「楜沢 小説をひとりで読むのが近代文学なんですが、もともとプロレタリア文学には、「壁小説」というのがあって、壁にはられた小説をみんなで読んで、みんなで考えるという手法があった」ー 223ページ

    小説の出版数とかいろいろ厳しいと言われるようになって久しいし、今この時期に小説家になろうと思う人はよほどの酔狂か現実逃避者が大半なのだと思わざるをえない状況なのだが、それでも小説というものーーあるいは物語というものーーにあえて拘泥するのだとすれば、なにか別の表し方、手法について考えてみるのも必要なのだと思う。

    そのあたり、星海社とかいろいろ実験的にやってて面白いと思うし、こういうところが盛り上がればまだ未来はありそう。小説で定石、当たり前と思っているところを崩すとしたらどのへんか。一人で書くというあたりか、読者と一体一の対話というところか、紙媒体というところか文字媒体であるというところか、さてどのへんなのだろう。

  • 著者は,家族・教育・仕事といった3つの社会領域に関心を持つという社会学者。
    日本社会は1990年代初頭までは,教育を終えればすぐに安定的な仕事に就ける。仕事に就けば順調に上昇する収入に基づいて,家族を形成・維持し,生活を向上させてゆくことができる。そして家族は,次世代である子どもの教育に費用や意欲を注ぎ込む,という循環関係が相当に多くの社会成員を巻き込む形で成立していた。しかし,90年代半ば以降,こうした教育-仕事-家族という循環関係に亀裂が生じたという。これを著者は「軋む社会」と表現している。とりわけ現在の若者が置かれている厳しい状況を著者なりにとらえ,その解決を模索している。

    事務局 M.S

    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000817789

  • 本田由紀さんの短い論考を、テーマごとにまとめたもの。教育社会学ってよくわからないけれど、労働と家庭と教育をトライアングルにしてそれぞれのつながりが今、日本では不適合をおこし、ぎしぎしと軋んでいる。その分析も鋭いが、それに対してどんな対抗提案をするかまで踏み込んでいるのはすごい。ただし、どれも、実現可能性が低いなと思えてしまうのが残念。

  • (2013/4/15読了)

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著者プロフィール

本田 由紀(ほんだ・ゆき):東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学。著書に『教育の職業的意義』『もじれる社会』(ちくま新書)、『教育は何を評価してきたのか』(岩波新書)、『社会を結びなおす』(岩波ブックレット)、『軋む社会』(河出文庫)、『多元化する「能力」と日本社会 』(NTT出版)、『「家庭教育」の隘路』(勁草書房)、『若者と仕事』(東京大学出版会)、『学校の「空気」』(岩波書店)などがある。

「2021年 『「日本」ってどんな国?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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