時刻表2万キロ (河出文庫 み 4-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309470016

感想・レビュー・書評

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  • 鉄道紀行作家の大家、宮脇俊三氏のいわずと知れたデビュー作。
    発表当時の反響がいか程であったか、当時5歳だった僕がリアルに知る由もありませんが、鉄道マニア、特に乗りつぶしマニアという人種が世の中にいる事を世間に広く知らしめた作品。今で言うところの「鉄子の旅」みたいなものでしょうか。

    とは言え、本書をマニア向けと色眼鏡で見てしまうことは全くの誤りで、これはもう立派な文学であり、一代記です。「墓石を彫り上げたような」というご本人の感慨にも成程と納得させられるものがあります。もっとも、氏の作家人生はここがスタート地点だったわけですが。

    サラリーマンとして人並み以上の働きをされ、家長として程ほどに(笑)存在感を示した上で、趣味道を極めるその姿は、憧れの対象ですらあります。
    まさにバイブル。そう書くほかは無い1冊です。

  • 2016/8/4読了

  • どういうわけか「電車でGO!」の歌が頭からはなれなくなったので、これは鉄道紀行文学を読まねば…と借りてくる。宮脇さん国鉄全線乗りつぶし。宮脇さんの鉄道旅は良いものだ。「児戯に類した乗車目的は、なるべくひとに言わないですませたい。(p.18)」とか、自分でも阿呆なことをやっていると自覚していて、でも溢れ出る楽しい気持ち…にやっぱりぐっとくる。時々お茶目だったり偏屈おじさんだったりするところも楽しい!自分も、謙虚で情熱的な阿呆になりたいものである…。(読んでいるうちに電車でGO!の歌は忘れた。)

  • 国鉄全線を乗った著者の本。
    名著です。

  • 全国の(当時)国鉄を制覇するまでの著者の道のり。

    文章がおもしろくて、ぐいぐい引き込まれる。自分も旅した気持ちになれる。
    旅ならではのハプニングなども書かれていて、くすっと笑いながら読める。

    今はだいぶ廃線になったけど、当時は旅情があったんだろうな。

  • 古本カフェで見つけ、購入。
    当時、私も周遊券(更に学割で!)で九州や山陰地方をふらふらしていたので、その頃を思い出しながら、懐かしく拝読しました。

    1日に数本しか列車のないローカル線に乗るために、時刻表や地図、電話などを頼りにプランを立てていく過程は、大変そうだけど、とても楽しそう。
    だけど実際には思わぬ事態で、それがうまくいかなかったりするのが、また楽しい(当人は大変だったでしょうが。でも、そのスリルを楽しんでおられるようなトコもあるかな)。
    もっとも印象的だったのは、筆者ひとりきりが乗った最終列車。
    車掌さんが停車ごとに無人駅の灯りを消していくくだり。
    効率や採算性が優先される現代では、こうしたローカル線は「無駄なもの」として存在も許されないんだろうな…だけど世の中には、こうした「無駄なもの」がどこかにないと、息が詰まるよなぁ…
    そんなことを考えながら、読ませていただきました。

  • 当時の国鉄の全線制覇ゴールまでのラスト3年間ほど軌跡の著者自身の手記。昭和50年から3年ほどの約35年前の記録なので、とにかく昔の国鉄の雰囲気が伝わって興味深い。この時代 1区間50円で切符買えたとか、この頃はまだ路線が延伸していたので、一度乗った路線でもまた新たな区間を走破しないと全線制覇できないとか、大変そうです。
    この10年後くらいに国鉄はJRへと民営化しますが、既に採算度外視の経営を強いられていた事がわかるエピソードも散りばめられていた。北海道の大自然をのんびり鉄道で旅するのはどんどん難しくなっているので、自分の定年後の趣味にはできないだろうなぁ。
    ただ、すご~く地味な内容なので、時刻表マニアや鉄道旅行好き、何年か前にNHKで関口さんがJR全線走破制企画をやってましたが、あーいうのが好きな方にはお薦めです。

  • 話の最後を飾ったのが気仙沼線。開通を祝う人びとの姿が頭に浮かぶ。

  • 我が座右の書。国鉄約二万キロの完全乗車に至る過程の道中記が記されている。いい年して汽車ポッポ、なんの因果でここまでしなくてはならないのか、等自己を客観視する冷静さ、面白さ。マニアたるもの、かくあるべし(笑)。富山港線を追いかけるシーン、唐津でのタクシーでの乗り継ぎ、北海道完乗の直後などの心理描写が大好き。

  • 私が小学生の頃話題になってましたが、まさかこの歳になって読むとは思わなかったです。っていうか、読み鉄なのに何故今まで気がつかなかったのだろうと(苦笑)

    物語のスケールの大きさにもびっくりしましたが、ディーゼル機関車が客車引っ張っていたり、荷物車が繋がっていたりといった昭和レトロな鉄道風景の描写が、とても懐かしい気持ちにさせてくれました。

    又、私も時刻表読むの好きなんで(笑)タクシーで追いかけたり、時間調整でどこかへ寄ったりする場面では、思わず頷いちゃいました!

    今は地方でも新幹線が走っている様な時代になっちゃったけど…やっぱり鉄道の旅は、こういうゆるい感じの方が好きだなぁ〜。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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