「国家主権」という思想: 国際立憲主義への軌跡

著者 :
  • 勁草書房
4.50
  • (4)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 48
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326351602

作品紹介・あらすじ

本書が扱うのは、「国家主権」をめぐる思想の歴史である。そこで描き出すのは、「立憲主義」の大きな流れが国際社会につくりだした変化の軌跡である。思想家たちは、われわれの生きる国際社会をどのように構想し、変えていったのだろうか。その起源と展開を追う。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90268220

    (推薦者:行政政策学類 鈴木 めぐみ先生)

  •  「国家主権」とはどのようなものでしょうか。世界のいろいろな物事は、国家主権を前提として動いているように見えます。現代の社会の在り方を基礎づける存在や単位という風にイメージされているようにも感じます。しかし、実は「国家主権」は、ある意味ではその内容が歴史的に変容してきた「思想」ともいえます。

     起源と変遷を伴う、思想としての「国家主権」。本書は、現代の国際社会を論じるうえで、国家主権の思想史を概観し、国家主権と立憲主義の関係に着目することの重要性を訴えています。これがどんなときに役立つかというと、たとえば、国際社会による戦争当事国への対応について考えるときです。社会契約において、国家は暴力を独占し、市民はそれによる保護を受けることが契約されています。戦争が起き、国家が市民を保護する力を持たないときは責任を履行できていないため、国家主権という基盤が動揺します。ここで国際社会の出番となり、当事国の代わりに軍事的責任を果たすことが正当化されうるかもしれません。しかしこれは同時に、国際立憲主義に裏打ちされた国際社会による介入は、戦争当事国の主権を脅かすということでもあります。今見てきたように、国際社会による戦争国への対応についての議論には、「国家主権」概念と国際立憲主義の関係性への理解が必要になってくるでしょう。

     読み口も易しいので、この機会に本書を読み、国家そして世界の成立に思いを馳せ、現在の諸問題を考えてみてはいかがでしょうか。
    (文科三類・2年)(6)

    【学内URL】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000065047

    【学外からの利用方法】
    https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

  • えらく難しい本だった。

  • 資料ID:W0168497
    請求記号:329.12||Sh 66
    配架場所:本館2F手動式書架

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1968年、神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。同大大学院政治学研究科修士課程修了。ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(LSE)博士課程修了、Ph.D.(国際関係学)を取得。広島大学准教授、ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授(国際関係論)。著書に『平和構築と法の支配――国際平和活動の理論的・機能的分析』(創文社、大佛次郎論壇賞受賞)、『国際社会の秩序』(東京大学出版会)、『「国家主権」という思想――国際立憲主義への軌跡』(勁草書房、サントリー学芸賞受賞)、『国際紛争を読み解く五つの視座――現代世界の「戦争の構造」』(講談社)、『集団的自衛権の思想史――憲法九条と日米安保』(風行社、読売・吉野作造賞受賞)など多数。

「2023年 『戦争の地政学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

篠田英朗の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×