ヴェニスの商人 (研究社 シェイクスピア・コレクション 第3巻)

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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784327180232

感想・レビュー・書評

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  • まとめて図書館から借りてきてあるヴェニスの商人の2冊目には、字が大きい本書を選んだ。
    今後他のシェイクスピア作品を読むとしたら、自分にはどのシリーズが適しているのかを見極めるという作業も兼ねているので、残りのヴェニスの商人を読了できるかどうかはわからない。
    とりあえず、本書は読みやすかった。

    本来の詩型で書かれている本書を読んでみて、先日最初に手に取った物語形式の児童書も内容を端折ることなく、かなり忠実に書かれていたということが改めてわかった。
    ただし、本書はよく読み解くと、シェイクスピアって結構下ネタをぶち込んでいるんだなと気付いたのだが、流石に先の児童書にはそういう部分は無かったので安心した。

    本書の翻訳者の解説を読むと、シェイクスピアの詩型を日本語に同等に翻訳することは不可能だということがわかる。
    そりゃそうだろう。
    俳句や川柳を内容だけ英訳したって、音の面白味は絶対に伝えられないと思う。
    また、18世紀の編纂者により第◯幕第◯場などの表記がなされるようになったことやト書についても、本書の翻訳者は色々と思うところがあるようで、本書に幕・場を記入したのは不本意だそうだ。

    ここに出てくるのはローマ神話の人物名としてだとは思うが、私は大元のギリシャ神話のタグを作っているのでそのタグ付けにしておく。

  • 新装丁版のヴェニスの商人を読みました。
    訳し方が詩的な雰囲気を残しつつ今風になっていて、読みやすかったです。
    しかし前に読んだときと何も変わらないのは、私がヴェニスの商人アントーニオよりも金貸しユダヤのシャイロックが好きであるということ。
    アントーニオは保証人となりシャイロックと契約を交わした結果、彼は約束の金を用意できませんでした。
    ですからシャイロックとの取り決め通り、アントーニオは心臓に近い肉1ポンドを切り取られなければなりません。
    外人との貿易で経済が成り立つヴェニスでは、外人とて法律はきっちり施されなければなりません。
    それなのにアントーニオの取り巻きはシャイロックの慈悲を乞う。
    それが当たり前であるかのように。

    なぜでしょうか。

    私は読了してもなお、シャイロックの言い分が正しく、彼は肉を貰うべきだと思っています。
    キリスト教徒だから、ユダヤ教徒だから…くだらないです。
    ヴェニスでは何人たりとも法の下に平等なのですから。

    …という意見を税理士の友人に話したところ、人の手に余る契約を仕掛けた方が悪い、とのことでした。

    私にとっては悩ましい戯曲の一冊。

  • ペンギンリーダーで読んだことがあったけれど、粗筋しか分からなかったので、駆け引きややり取りが分かってよかった。第3幕第2場は解説にもあるように華やかな恋愛劇になっていて、ここだけ異質にも見える。ヴェニスの商人といえば、裁判の駆け引きが1番の見せどころだから。
    シャイロックが可愛そうって言う意見もあるけれど、疑心暗鬼から生じた結末と考えると、なんとも言い難い。

  • 日本語の翻訳も美しい言葉を編んでた。
    この時代の舞台からもユダヤ人は悪者として、広く人々の間に広まって行ったのか…
    すべてのユダヤ人が悪いわけではないのに。
    そしてヨーロッパにもアフリカから王様が求婚にきていた。
    すでに欧州ではいろんな人種がいたということか。
    最後はユダヤ人をキリスト教徒へ改宗させていた。
    キリスト教が正義という考え方は、長い時間をかけて、
    こういった大衆芸術の中にもこっそり刷り込まれてきたんだな。
    と改めて思った。

  • レビュー省略

  • 初めてシェイクスピアの本を読みました。シェイクスピアの本や名言はいろいろな本で見かけるのですが、そのもの自体を読んだのは、今回が初めてでした。戯曲で使われるものとあって、脚本みたいな書き方だったので、慣れるまで少し時間がかかりました。また、詩歌ということもあって、独特な言い回しだったことに、戸惑いもありました。ヨーロッパで作られたのもあってなのか、日本では言わないような、愛の言葉の羅列で、なかなか照れました(!?)この他の作品も読もうと思いますが、どうなることやら・・・

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著者プロフィール

1931年生まれ。明治学院大学名誉教授。英文学者、英米演劇専攻・演劇評論家。著書に、『シェイクスピアの贋作』(岩波書店)、『シェイクスピアを観る』(岩波新書)、『シェイクスピアの墓を暴く女』(集英社新書)、『シェイクスピア大事典』(編著、日本図書センター)、『研究社 シェイクスピア辞典』(編著、研究社)、訳書に『じゃじゃ馬馴らし』(岩波文庫)など。

「2018年 『ソネット詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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