愛着障害 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036430

感想・レビュー・書評

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  • 厳しすぎるほどに育てた父を
    嫌になるほど思い出しましたが、
    親は親、子供は子供だと、わりきるようになれた、書物

  • 「子どものトラウマ」と関連して読みました。人との関わり方が不器用で、一見発達障害かもしれないと思う子でも、根底に愛着障害を抱えていることがあり、発達障害の子との関わり方ではうまくいかないこともあるようです。本書に示された子(人)の特徴を見て、自分も当てはまるかも知れないと思い、親との関わり方をふり返ってみて納得いくことが多々ありました。読んだ後で、いろいろな困難を抱える子どもたちの話をよく聞き、癒やし、伸ばしてやることがこれからの自分の使命だとも思うし、自分を癒やす方法でもあるのだと理解しました。

  • 興味本位で死刑囚の成育歴を読むのが好きなのですが、やはり家庭環境は大事だと感じました。
    彼ら、彼女らの中にも愛着障害に苦しむ人がいらしたのでしょうか。軽い気持ちで親になるものじゃないと思いました。

  • 素晴らしい内容でした。これを読んで救われる人は多いでしょう。

  • 最初の方は、文豪の事例を交えて愛着障害について解説。太宰や川端の生育歴などは興味深い。内容が内容なので切なくなるけれど…
    「愛着スタイル診断」を挟んで、それぞれの愛着スタイルについての解説。最後はそれを克服する方法。
    途中途中で色んなことが刺さってきて、色々と黒歴史を思い出して、一気には読めず…
    そもそも、これを読んだのは、障害と言わないまでも愛着に関する問題はあるし、自分のことはいいとしても、子どもには影響を与えたくないな、というのが理由。
    診断の結果は散々だったけれど、この本を読む限り、自分の問題は7割がた解決しているのだと思う。この本で推奨?されている「安全基地を持つ」「何でも話せる人に話す」という解決方法ではないけれど。私を救ったのは、知識であり創作活動であり、そして多分、子どもの「親」という役割を持ったことだ。

    もう母と向き合って何かを話すことは諦めているし望んでもいないので、すべてがクリアにならなくても仕方ない。
    子どもを産むことが怖かった。産んだあともいっぱい泣いた。「産まれてから3歳くらいまでの親の愛情が安定した愛着スタイルを育む」というようなことが書いてあるけれど、たぶん昔から似たようなことは言われていて、自分にそれができるのか、できなかったらこの子は私みたいになるのだろうかと、それが怖くて泣いた。
    でも、いま、何とか自分を肯定することができて、ここに立っていられるのは、子どものおかげなのだと思う。私は子どもに救われたのだ。
    だからこそ、良い安全基地になりたいと思う。そのための方法は、あまり詳しくは書かれていない。まあ、また別なはなしになるんだろうな…

    愛着障害については、今まで医療の現場でも重視されていなかったという。愛着に問題のある人には、一般的な治療を用いても上手くいかなかった。治療者がクライエントの安全基地になれれば良いのだけど、それは技術的にどうこうできるものではなくて、もっと無意識に形成される信頼関係…だとか言われたら、もうちょっとどうしていいか分からない…

    それと、気になったのは「親は上手く育てられなかったけれど、愛情は持っていた」というのを前提としている、ように読めること。私は、母が愛情を持っていなかったわけではないことを知っているけれど、みんながそうではないよね…それを言われるとつらいこともあるよね…

  • 自分の不安定さの原因を求めて読んでみた。引っ越しや転校が多く、人間関係が希薄で、20代、30代になってから精神不安になることが多くなり、なにが背景にあるのか分かった。解決策は実際どうやって実施すればいいのか、ちょっと困惑したが、幸いなことにパートナーが安全基地のような存在。将来の子どもに影響を与えないように精神不安定さの根本を改善していきたい。

  • 即断即決(ゼロ秒思考)の赤羽雄二さんのススメの本で手に取りました。


    何でもかんでも愛着障害のせいにするのもどうなの、という思いもあるが、
    生きづらさを感じる人にとってはこの書を読み心をスッキリさせ、次のステップに移るのにいい本だと思います。

    夏目漱石やクリントン大統領、ヘミングウェイ、ルソーなどなど偉人等のエピソードを踏まえながら分析し、解説、克服法を探ろうとする書です。


    第6章の愛着障害の克服 という章で記載されてる下記の内容が一番好きです。





    大事なのはどんな小さいことでもいいから自分なりの役割を持ち、それを果たしていくこと。(社会的、職業的役割を中心にすると親密さの問題を棚上げして仕事上の関わりと割り切って自信をつけていくことができる)
    自分のためというより周囲の人のためになれば尚一層よい。
    全か無か、といった二分法的な認知ではなく、事態を冷静に受け止め、そうなってよかった面もある、という試練や苦痛からも前向きな意味を見出そうとする姿勢が必要

  • 愛着という概念は知っていたが、本書はその視点の重要性を存分に説いたものだった。巻末の自己診断テストも素晴らしい。回避型、不安型ともに示唆的だ。また、宗教者、文筆家に多いのもうなづける。困難こそ最大の糧なのだ。環境は多大な影響を及ぼすが全てではない。本書の内容を踏まえ、人を見限らないことが大事だと思った。

    ・母に支配されて育った人の場合、母には従順だが、思い通りになる存在をみつけると、その人を支配する傾向がある。
    ・養育環境の関与が大きい。遺伝的要因:不安定愛着0.2~0.5,発達障害0.7~0.9,パーソナリティ障害0.5~0.6
    ・親の愛着スタイルが子どもに伝達される
    ・傷にとらわれてしまう。受けた傷よりも、はるかにその人を苦しめている場合もある。
    ・ほどよい距離が取れない。傷つきやい。破壊的な効果しかない怒り。過去にとらわれる。全か無かになりやすい。全体より部分にとらわれやすい。
    ・寛容性がない。厳しく罰すべきという意見になりがち。
    ・発達障害と診断されることも少なくない。
    ・依存しやすく過食や万引きも、溜め込みも。
    ・男児の妊娠中にストレスを受けると、男性ホルモンの量が少なくなる。
    ・愛着は仕事ぶりにも関係する
    ・愛着障害を克服する場合、第三者の関わりが不可欠。数年対というスパンもある。
    ・安全基地:いざというとき頼ることが出来る。守ってもらえる。外の世界を探索するためのベースキャンプ。
    ・良い安全基地。1.安全感の保証。2.感受性。3.応答性。4.一貫した対応。5.何でも話せる。
    ・一生付き合うという覚悟で、腹を据えて、その人に関わろうとしている日専門家や家族の方が、愛着障害という点では、大きな力となる。
    ・親と和解できたとき、不思議と自分自身とも和解することが出来る。

  • 愛着障害の強い人物は、魅力の在る人も多い。
    本人は苦しくて幸せではないかもしれないけれど
    本当は計り知れないエネルギ−を持っているように感じます。
    まさに『病む事は力』だと思う

    自己と向き合って苦しみを乗り越えられれば
    きっとエネルギ−を陽転させられると思います。

  • 久々に心理学の本に触れたくなった。そういう時はたいてい、自分の心と向き合いたいと思っている時だ。

    この本を読むと、自分だったり近しい人に当てはまることがたくさん見出せる。多かれ少なかれそういうものは皆持っており、それが突出して生活に支障が出ると「障害」だと思っていたのだが、最近は「障害」だと認識する閾値が下がったように思う。実際、本を読んでいる中で、私は絶対愛着障害だと確信したのだが、最後の愛着スタイル診断テストをすると、安定型ということで問題なかった。

    昔は子供が多く、兄弟が亡くなってしまうことも多かった。子供たちは乳母に預けられたりしていたため、さほど愛着という概念が発展していなかったように思う。だから親が決めた結婚相手と割り切って結婚できたのだ。そしてそれが何世代も繰り返される。結構ドライな関係だった。ご近所さん付き合いや親戚関係も頻繁で、社会全体が緩い愛着で結ばれていたと予想される。

    一方、現代は子供の数が減り、手塩にかけて育てた一人の子供が亡くなったら大問題。固い絆で結ばれている。結婚相手にも親との愛着に替わる非常に強い絆を求めるため、恋愛結婚が多くなる。とっても濃厚な関係だ。お隣の人がどんな人かは分からず、親戚も地方におり、愛着を示す相手が限られる社会になったように思う。

    ある特定の人に向けて濃厚な関係を築く社会になったから、そこに対する愛着の弱さが「障害」としてクローズアップされてくるのだろう。ならば、昔のように緩い愛着関係に戻るのはどうだろうか?実際に私も特定の人と強いきずなで結ばれていた時は、社会が皆敵に思えて怖かったし、一人で行動できなかった。でも、思いきって飛び込んだら、意外と一人でも行動できることが分かったり、みんなに応援してもらったり。そういう経験を積み重ねたら、少し心が楽になった気がする。

    心理学の本を読んで自分の心や行動の傾向を知るのはとっても良いことだと思う。そんな中でも悩める仲間たちに紹介したい一冊。

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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