愛着障害 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036430

感想・レビュー・書評

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  • 中古で買ったら母親・父親に対するイメージが書かれたままになっててふむふむ、って読んでしまいましたごめんなさい。

  • 自分は安定回避型の愛着スタイルだった。孤独に強いのには理由があった。ただ、このままだと安定を求めて彷徨うことになる。そこで自分の安全基地を作り、役割と責任を持つことで間接的に解決できる。自分が自分の親となることで必要な時に人に頼り、だからといって、相手に従属するのではなく、対等な人間関係を持つことができるようになる。そして、周囲から認められ、自分も認められた時に解決したことになるだろう。


  • ただ理想論として読んでいる分には良書。岡田氏の言いたいことはわかるが、なんでもかんでも親や環境のせいにしすぎている。救われたくない者を救うことなど、誰にもできない。

    こういった書籍から理解しておくべきは、彼らは親の育て方の第一次被害者であり、本人もなりたくてそうなったわけではない、ということだろう。

    子育て中の方やこれから親になる方には是非、熟読してほしい。

  • 人付き合いの志向性をパターン化して整理し、理解するのに役立つ本

    ★本の概要・感想
     精神科医である著者が、十分な愛情を注がれなかったゆえにいだく「愛着障害」について語っている本。子供時代にどのように愛情を注がれたかによって、人付き合いの仕方(愛着の形成の仕方)が変わる。もし、庇護者から十分な愛情を注がれないと「愛着障害」を抱えることとなり、それは大人になっても続くという。それらのケースを偉人の生い立ちと共に紹介していく。「愛着障害をどう克服するか」ではなく「愛着障害とは何か。いかにして愛着障害を抱えるか」について答えようとしている本。

    ★本の面白かった点、学びになった点
     科学的な言説に触れようとしているため、そのエビデンスの弱さに批判は多い本。ただ、提示されるフレームワークは面白いし、日常生活には役に立つことが多い。例えば、愛着障害を抱えた人は「回避型」か「不安型」に分かれるという。確かに、筆者のいうような定義に当てはまる友人が存在していた。今後人付き合いをしていくうえで、相手を理解することに役立つ話もある。
     あと、結婚相手には「自分の安全基地」を選ぶとよいらしい。言われてみたら、確かにいかに多くの人が、支配的だったり、不安定な人を選んでいることか。自分も配偶者にはどのような人が
     加えて、文豪には愛着障害を抱えた人が多い、という論説にも納得した。統計的な裏付けがあるわけではないが、私も文豪の小説を読みながら「なんでこの人はこんなに暗く考えるの?」と不思議に思っていた経験があったからだ。文豪が人付き合いに超悲観的なことの背景には、愛着障害を抱えているから、ということで説明がつくのだなと思った。
     あと、ロリータコンプレックスの背景にも、愛着障害があるのだという。なんでも愛着障害で説明できる。子ども時代に安全を感じられず、存分に子どもらしく振舞えないと、子どもへの憧れを内包したまま育ってしまうのだという。川端康成などがその例なのだそうだ。大人になって、その欲求の発散先として、自分に十分コントロール可能そうで、果たせなかった欲求と結びつき、少女を求めるとか。これも研究的裏付けはないので通説として流布はできないが、特定の個人を分析する際には使える。確かに、そういったロリータコンプレックスのオタクは多そうだ。他者から否定されて育ったオタクはその逃避先として、少女を選ぶ。少女は自分より年下でコントロールできそうだし、危険性も感じない。可愛い。だから、オタクは少女を求めるのだろう...。 というような浅い分析だってできる。あと、自分がそんなに毒親っぽい両親でないのはラッキーだった。本書を読んで、それが分かった。
     教育者やマネージャーは読んだ方がいい本。愛着の志向性において、「回避型」「安定型」「不安定型」という3つのパターンを知っておくだけでも大分役だつ。


    ●本のイマイチな点、気になった点
     すでに多くのレビューアーが指摘しているが、この本の論説は偉人の行動分析に多くのページが割かれる。「愛着生涯」の理論を語り、それと一致する偉人伝を紹介していくのである。特定の理論にあてはまるケースを探してきて、それを紹介するというアプローチをとっているため、論説の客観性が乏しくなっている。
     また、実際に愛着障害を抱えた人にはおすすめできない。
     <おおまかな愛着生涯に関する理論>
     子ども時代に安定した愛情を注がれ無いと、他人との愛着形成に障害を抱く。それが問題行動となって顕在化する。その愛着生涯を克服するには、その人を長らく愛してくれる「安定型愛着」の人と関係を築くべし

     例えば、夏目漱石やスティーブジョブス、谷崎潤一郎、太宰治、ルソー等の偉人伝が語られる。ただ、どう考えてもそのケースサンプリングは恣意的だ。筆者の主張に一致しないケースは存在していると思うが、そういったことには触れられない。本書全体が確証バイアスに囚われている。
     「愛着生涯」というのは、あくまでどんな人間にも起こり得る精神の性質だから、自然科学的なアプローチで解説されるのが好ましい。しかし、本書はなぜか理論の証拠は偉人の自叙伝や伝聞に基づいて書かれている。自叙伝などは恣意的に編纂された書物が多いだろうし、現実世界を本当に反映しているとはいいがたい。
     何よりも問題なのは、現代の問題を解説するのに語られる証拠が100年も200年前の話であるということだ。現代っ子の恣意的なケーススタディならまだいいが、過去の話のためインプリケーションに乏しい。参考にしがたいのだ。夏目漱石やルソーが生きていた時代とは、子どもや家族を取り巻く環境が何もかも違う。そのため、本当に愛着障害らしき症状で悩んでいる人にはそこまで参考にはならないだろう。自分の現状を客観視するのにはいいが、根本的な解決方法は分からいと思う。
     メインタイトルを「愛着障害」とし、大きく語っているのだから、有名な論文の引用による定義づけが欲しかった。文豪の生い立ちの説明に文量をかなり割いているし、ミスリードともいえる。 
     あと、愛着生涯を克服する一番の方法は「何でも話せる安全基地のような存在をつくること」らしい。これが真実だとして、筆者は全く悪くないが、まるで「野球がうまくなる方法は、野球を練習することです」と言われているようだ。うまく愛着形成ができないからこそ、愛着障害の人は悩んでいるだろうから...。その一番の薬が愛着を形成することとは...。友人関係や家族との豊かな関係性構築はあきらめて、信頼できる精神科医をもとづくと良いのだろう。
     愛着障害を抱えた人のムリゲー感がすごかった。「無敵の人」が生まれる理由も分かる。現代では、愛着障害は障害とは思われず、「性格がおかしいやつ」と認識されるのである。一種の障害、環境ゆえの不幸な境遇としては理解されない。
     今思えば、過去所属したコミュニティに、筆者の語る愛着障害らしき人はいた。その人はやや煙たがられていた。もし、サークルの問題児が愛着障害を抱えていたとして、周囲の「めんどくさい人」という認識に変わりないし、その人の治療のために特段優しくする気もない。気の合わない人とはできる限り関わりたくない。自分が今後「愛着障害」を抱えた人に主体的にかかわっていけるかというと、難しいと思う。
     筆者はこの後も愛着障害に関わる本を出版しているので、そちらも併せて参考にすると良いかもしれない。

    ●学んだことをどうアクションに生かす
    *愛着障害のパターンをもう少し学ぶ。人付き合いにおいて相手を理解することに役立てる
    *「安全基地」となってくれる伴侶を探す
    *自分自身は誰かの「安全基地」となることを目指す

  • 三つ子の魂百まで
    子供時代に親とどういった関係を築く事ができるかでその後の人生に置ける生きづらさや乗り越えなければいけない壁の大きさが変わってくる。偉大な業績を残した偉人の中には、愛着障害を抱えた人が多く見られるという。満たされない物を必死に埋めようともがく姿や、高い壁を必死にもがき乗り越えた人には人を引きつける何かがあるのかもしれない。

    2011年 光文社

  • 「愛着障害」この言葉を初めて聴いたとき電気が走ったような衝撃を受けました。それまで自分のことで悩み、アダルトチルドレンかな?発達障害かな?とかいろいろ悩みましたがこの本が今までの自分を理解する大きな助けとなりました。本当に人生でもっとも大切な本の出会いのうちの一つです。

  • 久しぶりに記録しておこうと思った本。
    仕事と子育てに使えればと思って読み始め、
    これってあたしかもって思って読み進め、
    これってうちの旦那様だわと読了す。

    「こんなの信じるなんて占い信じるのと同じ」
    「似非科学的な内容」
    ↑これもわかるけど、目の前の問題がなぜあるか、じゃあどうしようか、と考え進めるには役に立つと思います。

  • 幼少期の愛着について、その重要性を教えてくれる。子を持つ親には、まさに関心事である。しかし、例えば兄弟が多く、歳が近い場合、母親の取り合いになるだろうが、そのようなケースは、子供にどのような影響を与えるのだろうか。甘やかす事と、愛着形成のための一線とは?など、マニュアル本のように本著を読むなら、不足する部分に疑問が湧くだろう。しかし、先ずは、愛着が大事だという事を意識するだけでも、意味があるのだと思う。

  • 精神科医が自身の主観を述べている本。
    切り口、角度はいいかも。でも考察や論調に全く共感できない。 愛着障害とされる人たちへの愛が感じられない。どちらかというと侮蔑しているようにさえ受け取れる。
    第6章でやっと、ちょっとだけ著名人の例をあげたり克服方法について触れているだけ。又、著名人のエピソードも直線的な描き方。
    心理学の授業で、養育者のネグレクトと虐待で保護された兄弟が専門施設で愛着再形成、成人、結婚して子供も設けて幸せに暮らしている例を教えていただいたことがあり、そういったエピソードのほうがよっぽど心に響く。

  • 人間関係…親子、恋人、友人、同僚などとの関係に、なんだかうまくいかないなと思う人にすごくお勧めな本。図書館で借りたけれど、買おうと思う。
    「愛着障害」という言葉は昔からあるけれど、どんなタイプがあるのか、大人になったら実際にどんな影響が出て来るのか、どう克服していくのか、実在の著名人の生き方を紹介しながら書かれていて、分かりやすい。本を読むだけでも、自分を外から見れて楽になる。

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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