「マニュアル」をナメるな! 職場のミスの本当の原因 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044312

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭「マニュアルの本来の目的は、「作業に携わる読み手が、自分の要望に応じて、正しく状況を判断し、間違えずに操作ができるようにするため、情報を与えること」と言える。

    末尾「しかし、ルールよりも経験医基づいて判断するのが人間であり、自分の口から声に出して言わないと、差異に気が付かないものだ。」

    マニュアルとはかくあるべし、エラーを防ぐ仕事はかくあるべしという本。

    最近、自分の職場は若い人が増えて彼らにどんどん仕事を覚えてもらいたい、今後は彼らにマニュアルとかを作ってもらいたいと思っている。そういうときに参考にしたい。

    A4一枚におさめること、チャーチルの言葉、フローチャートから早見表へ、ダブルチェック廃止などなど。

    ダブルチェックは全くダメとは思わないけど、盲信している人も多いから、冷静に考えたい。無駄にやってもまさに人と時間の無駄。フローチャートは全部早見表になるものだろうか?流れが分かりやすいという点でフローチャートの良い点もあると思うけど。早見表にできればアンチョコとしてはいいんだろうな。

    単なる文章術とかのノウハウにとどまらず、作業の意味論や人間の特性などにも踏み込み、ミスに関するあらゆる事柄を横断的に扱っていると言える。職場の人にも紹介したい。

  • 「事務ミスをなめるな」と同じ著者による、「マニュアルをなめるな」。使いづらいマニュアル例と、改善方法を解説。

    個人的にマニュアルが好きで、職場のマニュアルも自主的になおしてます。マニュアルあれば、教わる側は予習・復習できるし、教える側は強調したいところの説明と質問受付でOK。時間短縮と精度向上に役立つと思います。

    本書は事例と見本がセットになってて分かりやすいです。特に巻末の練習問題は、マニュアルの書き直し(作業フロー起こし)や、軽減税率の早見表を作成するなど、ビフォーアフターの比較が面白いです。

    ↑の練習問題から分かるように、作業手順の改善にも言及しています。難しい作業を簡単にする方法、ミスを減らす工夫、図表の活用、用語の使い方決め方、読者として外国人子供お年寄りも考慮に入れるなど。職場のマニュアルを点検するのに役立ちました。

    また、緊急時の対応マニュアル関連も参考になります。緊急時なんてそうそう起こらないので、読者にどんなふうに解釈されるか、何が起こるかは分からないわけで。
    実例をひいたうえで改善方法が示されると納得です。

    その他、参考になったところ

    ■断定する
    ×カーブに注意しろ
    ◯カーブは見送れ

    ■即興マニュアル作成法
    ・動画 …自分が作業しているところを動画で撮影する。
    ・用語集 …用語解説には、特有の社内方言、重要概念を含むことが多い。
    ・日誌 …仕事には年周期性があり、今の仕事は去年の今頃やっていた可能性が高い。

    ■工程は一本道
    (順番を規定してあげる。二つ以上のことを頼むと抜け漏れしやすい。)
    ×作業A、B、Cは任意の順番でやってOK。すべて揃ったら→作業D
    ◯ 作業A→B→C→Dの順番で作業する

    ■工程の途中に検査項目
    作業したかどうかの自己申告・チェックボックスより、結果確認の工程を入れる。
    例 DBにデータを入力する→「xxx」を検索し、検索結果として表示されるか確認

  •  わかりやすいマニュアル作成の指南書。何気なく読んでみたが、意外と面白く読めた。ごちゃごちゃ書いてあってわかりにくいマニュアル、取扱説明書って多いよね。前職はマニュアルだらけで1つの作業にあっちを参照、こっちを参照し、省略部分も多く慣れるまで大変だったのを思い出した。マニュアルはシンプル・イズ・ベスト。A41枚に収まるように作るべし。フローチャートより早見表、ダブルチェックは有害など、成程と思う内容だった。早見表だけでなくマニュアルの作成例も載っていたら良かったのに。
     西野カナの「トリセツ」はマニュアルとして見てもなかなかバランスが良いらしい。

  • 前半はマニュアルをいかに書くか、作成するかという点にフォーカス、後半ではマニュアルの記述対象である作業そのものはどうあるべきか、という構成になっています。
    個人的には後半部分のほうが印象に残りました。確かにマニュアルは必要ではあるのですが、そもそもマニュアルを首っ引きになって作業するようではいけませんし、そのような体制では必ずミスが発生すると思います。必要ではあるのですが、マニュアルを見なくても実行できるくらい簡単な内容に落とし込まれている作業が理想ではないかと思う。
    だとすると、マニュアルをいかに書くか、よりも記述対象である作業そのものはいかにあるべきか、を学ぶほうが良いように感じる次第。主張されている内容は著者のほかの本の内容にも通底しており、本質的なポイントが抑えられていると思います。

  • マニュアルの書き方本かと思ったけど、すなわち、わかりやすい物の書き方なので、文章力をつける本だった。短く纏まっているし、割とおすすめ。ただ、類書でもよく言われていることを多いかなぁ。
    基本的にマニュアルなのだから、断定すべき(読み手に判断させるな)とか、長ったるいマニュアルは意味がなく、ちゃんと短く(具体的には1枚に)まとめるべし、とか、なるほどね、と。
    読み手を意識しろ、とか、レイアウトを工夫しろ、とかは書き物全般に共通だな。ダブルチェックは有害、もたしかにね。他の人が気付くだろって感じになると、結局品質はあがらないし。

  • マニュアル作ってたので。

    個人的にやってたなと反省したのは
    ・本論に関係ない余計な蛇足を書きがち
    ・小難しい言葉を書きがち
    ・一文を長くしがち

    要するに、分かってますよ感の権威付けをするための文を書きがちだなと思った。
    料理のレシピ本のように書く、というのは良い例え。
    色々アレンジはあるんだけど、基本的な工程を短文で、順番に、かんたんで意味のわかる言葉で書く。
    チェックは工程に対してではなく味見(成果物)で行う。

  • 非常にわかりやすく書かれており、理解しやすい内容でした。
    マニュアルの目的は、最も簡単な作業の誘導。
    そのために表現は断言すること、ダブルチェックは有害、頭の中に早見表ができることが「習得」であるなど、「なるほど!」と気づかされる点が数多くあり勉強になりました。

  • 「マニュアル作成のマニュアル」と言える本でした。
    使いづらいマニュアルが出来上がってしまう理由を述べたうえで、どうしたら分かりやすくなるのか具体的に示しているので、マニュアル作成に取り組んでいる私にはとてもタメになる本でした。

  • この一冊が「マニュアル作成のマニュアル」としてことなりるのか?と問われれば、物足りなさ感は否めないが、「マニュアルの心得」として通っておきたい一冊と言える。うちの会社のマニュアル作成のヒントとして何度も読み直そうと思う。

  • 「マニュアルの読了時間はなるべく短く」との通り、この本の読了時間も短かった。身近な事例、例えが数多く、しかもコンパクトに出ててわかりやすかった。

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著者プロフィール

1972年神奈川県生まれ。国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 副連携室長。中央大学大学院 客員教授。内閣府消費者安全調査委員会専門委員などを兼務。専門は、ヒューマンエラー(人間の間違い)、安全工学、認知心理学。カリフォルニア大学サンタバーバラ校への交換留学を経て、東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。著書に『「事務ミス」をナメるな!』『「マニュアル」をナメるな!』(ともに光文社新書)、『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』『防げ! 現場のヒューマンエラー』(ともに朝日文庫)、『多様性工学』(日科技連出版)など。

「2023年 『テストに強い人は知っている ミスを味方にする方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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