ルパンの消息 (カッパノベルス)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334076108

感想・レビュー・書評

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  • 『コールドケース』というアメリカのTVドラマを毎週観ている。殺人の時効が無い故に何十年も前の事件を丹念に掘り起こす点が面白いところなのだが、日本のように時効ギリギリで刑事たちがドタバタ飛び回るハラハラ感も良いな。もうなくなったから、このテの筋書きは通用しなくなったけれど。…にしても、15年前の出来事を、時系列で細かな表情の変化まで詳細に、事前準備ナシで語れる人間なんていないんじゃないか。その点を除けば、なかなか良く出来た構成だと思った。(2011-09-10L)

  •  幕の内弁当。これまで読んだ横山作品のエッセンスが詰まっている。順序は逆なんだが、非常に緻密な作品。

     この作品の話しすぎの部分をつめて短編にしたら現在の横山作品になる。話しすぎというと聞こえが悪いが、とにかくすべてがきちっと収まる立て付けのよい家具のイメージ。

     デビュー作にして最高傑作と呼んでもいいだろう。あまりに数学的に過ぎるきらいはあるものの、横山作品の原点と呼ぶにふさわしい最高な作品だ。よかった。

     確かに設定には無理がある。非現実的だ。しかし、それを凌駕する登場人物の描きがある。今そこにいるような、そんな生き生きした人物。ほめすぎだが、すばらしい。

  • 横山秀夫の第1作目。
    すごーーーい、これが処女作なんて。
    登場人物が相変わらず多岐にわたり楽しい。

  • 初・横山秀夫。


    横山秀夫の処女作。
    いやーよかった。うん、とにかく見事。



    ある事件の時効間際、警察に一本のたれこみがもたらされる。15年前に自殺と処理された事件が他殺だった?!15年前のあの日、いったい何が起きたのか。



    こんなん言われたら、絶対読みたくなりますよね(・ω・)ノ


    三億円事件とからみつつ、複雑にいろんな立場のいろんな人のいろんな事情がいりくんでいりくんで。それをしっかり料理できているのが、やはりさすがです。




    橘くん。
    やっぱり切なかったなぁ・・・・やるせない彼の想い、彼の15年間に思いを馳せました。そんなところもよかった。たまらない。

    そんなやりきれなさを胸にくすぶらせつつ 余韻にひたった読後でした。


    ラストはちょっと詰め込みすぎ感もあったけど、著者のキャラクターへの愛情を感じました。



    叙述のしかけには最後まで気づきませんでした。読み返したら確かに矛盾があるぢゃないか!なぜ気づかなかった自分!くそうっ!くやしい!!




    そんな、してやられた感が心地よいですね。傑作ミステリー。

  • ●あらすじ●
    昭和50年12月9日、女性教師・嶺舞子が勤務先の高校で飛び下り自殺をした。だが、あれは自殺ではない。彼女は殺されたのだ。3人の教え子の手で─。

    警視庁に入った一本のタレ込みで15年前の事件が息を吹き返す。時効成立まで24時間。犯人として名前を挙げられた3人が連行され、取り調べが始まった。

    15年前、高校3年生だったキタロー・ジョージ・橘の3人組は、期末テストの問題を盗む計画を立てた。名付けて「ルパン作戦」。綿密な計画を立て、深夜の校長室に忍び込んだ3人が目にしたものは何だったのか…そして3人と嶺舞子のつながりは?

    事件の謎が明らかになるにつれ、戦後最大の迷宮入り事件である「三億円強奪」までもが絡んでくる。
    本当に3人が女教師を殺したのか?それとも?
    捜査陣に時効が迫る─。

  • ・女性教師自殺事件が実は殺人事件だったとタレこみが入る。
    ・三億円事件
    ・時効

  • 著者がデビュー前に書いた幻の処女作らしい。
    でも、デビュー前とは思えないほどおもしろかった。
    これでもか、というほど意外な事実が後半たくさん出てくる。そのための複線がちゃんと前半に書いてあるみたいなんだけど、気がつかない罠・・・
    あの「三億円事件」の犯人は実は!なんてことも書いてあって、飽きさせません。
    この著者の作品はどれも面白いなぁ。

  • 先日読んだ「震度0」が残念だったので
    あえて読んでみました。
    こちらのほうが、だいぶ面白い。
    これが処女作というのなら、
    そして「クライマーズハイ」を書いた人ならば、
    やっぱり実力派だと納得できます。

    高校生の男の子たちの青春ストーリーのようでもあり、
    時効目前という緊迫感もあり
    (後半は、時効ギリギリ感はすっかり薄れますが)、
    一気に読んで、すっきりできる小説でした。

    一番最後の「昭和という時代は・・・」は、余計かな。
    でも、処女作ですから、それをいいたかったのね、とも理解できます。
    (そういう風に、読者と距離感を作ってしまったところが
    まだ甘かったのかも)

    でも、「半落ち」や「震度0」よりも勢いがあって、
    それにつられて、すーっと読むことができました。

  • 15年前の女教師墜落死は殺人事件とのタレ込み情報が入り、当時の不良3人組が署に徴集されることになり、15年前の「ルパン作戦」の全容が明らかになる

  • 人物造型がうまい
    一人ひとりの過去や未来まで思い浮かべられるような気がする

    特に橘
    唐沢にやってほしい

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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