炎蛹: 新宿鮫5 (光文社文庫 お 21-9)

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  • 光文社
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334731595

感想・レビュー・書評

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  • 娼婦殺人、連続ラブホテル放火、それから海外から持ち込まれてしまった害虫の行方──と独立した事件が絡み合って作中ずっと緊迫感があります。事件の被害者や加害者が他の事件の重要な情報を持っていたりするため、誰かを捕まえればいいのに誰もが隠れる、というシチュエーションがよかったです。
    頑固で、だけど独特のユーモアを持った甲屋さんが良い味出してました。

  • 新宿鮫シリーズ、5作品目。
    かなり順調に読み進めてますw

    外国人マフィア同士の抗争、
    ラブホテルの連続放火事件、
    外国人の売春婦連続殺人、

    っていう3つの事件がこんがらがったストーリー。

    なんとなぁくの接点はあるけど、
    別にすべての事件に関連性があるわけではない。

    鮫島さん、大変です。
    同時期に起きちゃった
    この3つの事件をすべて捜査するんだから。

    場面がクルクル変わるから、
    最初はわけわかんなくなりそうだったけど…

    今回の犯人はけっこう精神冒されちゃってる系の人もいて、
    心理描写がすごい上手に書かれている作品だったかな。

    普段は一匹狼の鮫島が、
    最初から最後までチームを組んで事件を追っていくの。
    相棒は、農水省植物防疫官の甲屋…
    彼は南米から持ち込まれた稲の害虫
    「フラメウス・プーパ」の付着したワラ細工を探していてね、
    その持ち主が、鮫島が追ってるイラン人マフィアの彼女なわけ。

    甲屋さんもそうなんだけど、他の登場人物も、
    今回は魅力的な人がけっこう出てくるよ。

  • 鮫5弾。

    3つの事件が重なっている今回は、少々場面の切り替わりがバタバタと忙しい。
    でもさすが大沢せんせ。
    そのあたりはさらっと上手く書き分けていると思う。
    それと気に入ったのは今回は鮫にパートナーがいること。
    甲屋さんと一緒に行動しなければならないという制限が、そういうのに慣れていない鮫の新たな一面を垣間見せてくれていて、ファンとしてはとても楽しかった。

    けれど、3つの事件が錯綜してこちらの精神状態もハイになってはくるものの、特別最後に大波となってドーン! という感じではなくて残念。
    鮫の疲弊具合はいつになく凄いので(笑)、「今回は大変だなあ。最後どうなる?どうなる?」とか思っていると、あれ、なんか簡単に終わっちゃったなー……というか……。
    晶との絡みも少ないし、少し物足りなかったかな。
    それとイラン人と台湾人の抗争の背景も見えづらかった。

    そういった難はあるものの、それでも抜群の安定感があり、読書時間が思ったように取れなかったのだけれど、期間があいてしまってもとても楽しませてもらいました。
    何よりも一番のファンである桃井がいつも以上に格好良かったので、ちょうごちそうさまだった。(不純)

  • 新宿鮫シリーズの中で今のところ一番楽しめた本。あの「甲屋さん」のおかげでいつもの一匹狼がほっこり和んだ感じで珍しかったのかも。物語はいつも通り緻密でさまざまな事件が絡み合う息詰まる展開で読んでいて非常にひきこまれる。

  • むーん。地味だなぁ。過去4作比較し、鮫シリーズで最も地味かも。いくつもの事件が平行して錯綜しているけどそれぞれの必然性に説得力がないんだよなぁ。なぜ放火に至ったのか?なぜイラン人と台湾人が対立するのか?
    そして何より今までの作品での吸引力のひとつであった鮫島の怒りの希薄なところがドキドキ感を奪っているような気がする。警察、消防、防疫所、みんな鮫島を助ける。対立が鮫のおもしろいところなのだが...
    とはいえ二日くらいで読了したので、おもしろいといえばおもしろい。ムラカミは今後も現れるのでしょうか??

  •  このシリーズに慣れたのかなぁ...ペロッと読了!

  • 放火犯に海外から持ち込まれた危険な虫の幼虫探しに娼婦殺し.3つの事件が一つにつながるまで,サクサク読める.

    個人的に晶とのからみが少ない気が.晶との絡みはかなり赤面ものだと思う.ハードボイルドだから許せる設定ダナ.

  • 3つの事件が同時に進行していき、それぞれが絡み合っていくんだけど、どれに焦点を当てればよいのか、イマイチはっきりしなかった。タイトルにもなっている炎蛹(フラメウス・プーパ)も、最後に割りとあっさり処理されちゃうし。これまでの作品の中では、一番盛り上がりに欠けてたというのが正直なところか。

  • 新宿鮫シリーズ第5弾。面白かったです。あんまりハラハラドキドキはなかったけど、はずれがないので安心して読めます。甲屋さんはこれからも出てくるのだろうか?なかなか面白いキャラでした。鮫島は相変わらずかっこいいし、桃井課長も渋いし、次巻の活躍が楽しみです。

  • ・まぁ所謂ひとつの非合法でアングラな活動をするイラン人と台湾人の対立・抗争というのが一つの事件。・娼婦に性病をうつされた事で人生がメチャクチャになったと
    思い込み、その娼婦を殺してやろうと躍起になる男の事件が二つ目の事件。・ラブホテル連続放火が三つ目の事件。・コロンビアから出稼ぎにやって来た娼婦と共に日本に持ち込まれてしまったイネ科の害虫の卵を追うというのが四つ目。これらの4つの事件が複雑に(都合よく?)絡み合い、事件は終結を迎える。一つ一つの事件は割と小粒ではあるけれど、それを巧みに繋ぎ合わせて一つの小説に仕上げてしまう作者の
    力量は正直なところ凄いと思いました。本当の事を言ってしまうと、この『新宿鮫』シリーズ、新鮮味やスリルといった部分が自分の中では回を追う毎に徐々に薄れてきた様に思えたのですが、こうして全体のプロットなんかを冷静に見てみると結構毎回凄い事やってるんだなと、改めて感じました。まぁ、純粋にエンターテイメント作品として見るなら、単純にドキドキやワクワクする部分を提供してくれるのが一番なんですけどね。

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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