戻り川心中: 傑作推理小説 (光文社文庫 れ 3-4)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 1669
感想 : 180
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740009

感想・レビュー・書評

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  • 匂い立つ流麗な文章。その時代に生きていなくても、空気感が伝わってくる。連城三紀彦の文章はすごいなあと思う。どの作品にしっとりとした翳をまとった女たちが現れる。本のタイトルとなった戻り川心中の真相は恐ろしい企み、の一言としか。

  • 美しい文章に引き込まれ、推理することも忘れ淡々と読んでしまいました。

    ちゃんとストーリーはミステリーなのですが、ミステリーを読んでいないかのような感覚に陥りました。(自分でも何を言ってるのかよくわかりません笑)

    恋と花をモチーフにした短編が5つ収録されていますが、どれも本当に面白い!
    トリックよりも動機に重きを置いているのが好みです。

    なかでも「桔梗の宿」が好きです。

  • 以前読んだ『夜よ鼠たちのために』という短編があまりにも素晴らしく、是非他の作品も読んでみたいと思っていた。
    大正から昭和にかけて、まだ女性がモノのように売られたり買われたり、それが当たり前だった時代のお話。
    モノのような扱いを受けたって、人間なのだから感情はある。体が女になれば、まだ子どもといえる年齢でも、気持ちも女になっていく。
    今のように、男性も女性も同等の権利を持つ(または持つことが当たり前とする)社会しか知らない人から見たら、こんな世界はきっとおぞましいおとぎ話みたいに思えるのかもしれない。

    花にまつわる・・・という話ではない、でも物語の中で情景の一部である花たちは、そのどれもが哀しい美しさを纏い、わたしたちの胸を苦しくさせる。
    ミステリーと呼ぶにはあまりにも文学的過ぎる、泉鏡花を彷彿とさせるような短編集。
    それが故に、普通に読むには難しい、または退屈だ、物足りないとさえ思うかもしれない。することをすべて済ませてしまった夜に、お酒でも飲みながらじっくり向き合いたい本だと思う。


  • ずっと気になっていた作家の本。
    とにかく「美しい」という評価がついていたけど、その通り。
    こんなに美しい文体の推理小説は読んだことない。
    ミステリーとしても極上。あっと驚く展開で引き込まれる。
    読み終わるたびにため息をついてしまう。

    一番好きなのは「桔梗の宿」
    暴かれる真実のあまりの美しさに、最後だけ何回も読み直してしまった。

  • 叙情

  • いい短編読むなら是非コレ、とおすすめしたい

  • 花にまつわる五編からなる短編集。
    耽美と詩情、不朽の名作。渋い一冊に浸りました。
    大正の時代、色街の片隅やヤクザ者のねぐら、片田舎の寺などで起こった殺人事件。
    あからさまな表現ではなく、深読みしないと分からない部分もありますが、そこもまた醍醐味でしょうか。
    スピーディーで派手なエンタメ作品も好きだけど、しっとりとした風情が美しい作品もいいですねぇ

  • 美しい美しいと言われているミステリー。確かにとても美しい。殺人事件の話なのに何故。それは連城さんが編む日本語であったり、情景に現れるこまごまとした物に命が宿っているからだろうと思う。特に眼を引くのが「花」の活かし方。睡蓮だったり菖蒲だったり、何かしら花が印象的に使われている。花の儚さと人間関係、生命の儚さ、やるせなさがうまくシンクロしていて、悲しい話のなかに瞬間的な彩りが作られている。また殺人事件が起こるまでの人間の心の機微、これでもかというほど繊細に書かれている。玻璃のような小説。感銘受けて当然なのだ。

  • 文章が綺麗でミステリだというのにびっくりした。格調高くて古い時代を感じさせるのに全然読みにくくない。
    トリックを明かしていく過程で驚きよりもやるせなさ、切なさが心に残る。

    「桔梗の宿」「白蓮の寺」が特にいい。

  • 日本のミステリ史上最高の短編集の1つだろう、控えめに言っても。
    清張とは違う形の一人の芭蕉の仕事がここにはある。

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著者プロフィール

連城三紀彦
一九四八年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。七八年に『変調二人羽織』で「幻影城」新人賞に入選しデビュー。八一年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、八四年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞。九六年には『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。二〇一三年十月死去。一四年、日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2022年 『黒真珠 恋愛推理レアコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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