月の扉 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 293
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740450

感想・レビュー・書評

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  • 前半からいきなり息の詰まりそうな展開。
    特に子どもが人質になるシーンは、小さい子の親である僕は本当に胸が締め付けられる。
    最後のオチがちょっと物足りないのだけど、緊迫感あふれる描写は一貫してぶれることなく、サスペンスとしての質は高いと思う。

  • ハイジャックの途中で殺人事件が発生,事態は一変。みたいな話。
    この作者の作品を幾つか読んだが,どれも動機が共感しづらく,そんなことで世間を騒がすなよという感じ。

  • 夏の扉というハインラインの名著がある。時間をモチーフにしたSFでボーイミーツガールの快活なストーリーであるなどということと本書はまったく関連がない。
    県警の不当捜査により逮捕された石嶺という男を信奉する三人がハイジャックを起こす。その中で発生した密室殺人。
    冷静に考えれば真っ当ではない異常なハイジャック犯であるが、その論理には狂気を含んでいるものの一貫性があり胸が苦しくなる。
    若干の消化不良感があるものの、ひたすら世界観に埋没していく。
    細かい部分の齟齬はあるかもしれないが、心情描写が好みで魅力的である。石嶺は本人が登場する場面はほとんどないもののキャラクターたちの多面的な語りでイメージを浮かび上がらせており技術力が感じさせられる。
    万人にお勧めってタイプの小説ではないが、純粋に良かったと思った。
    ちょっと最近、評価が甘めになってきた。かも?

  • 一気に読み切った。
    面白い!
    中盤、背筋がゾクゾクした!

  • 座間味くんシリーズとはいうものの、あくまで座間味くんは居合わせた客にすぎず、ミステリ的魅力は薄い。
    よって、この話を読み進める原動力になるのは、ハイジャックの結末というサスペンス部分。
    この手の作品は終わり方がある程度想像できてしまうので、この結末ではすごく面白かったとは言いづらいが、それでも先が気になって一気読みしてしまう作品ではあった。

  • 「ハイジャック(ハードボイルド)」「密室殺人」「幻想譚」を結合させることで、
    動機からトリックまで、とても新鮮味のある展開を実現したミステリー佳作。

    個人的には、そのある種突拍子もない(幻想譚が絡む以上、そうならざるを得ない)
    動機の数々も含めて、それが今作の魅力だと思うが、ここは意見が分かれる部分か。

        ///

    乗客240名を乗せた旅客機が、不登校生徒のカムバックを支援する団体メンバーに
    ハイジャックされた。彼らの要求は、警察に不当に逮捕された団体リーダー「師匠」を
    「空港まで連れてくること」。

    そのハイジャックの最中、メンバーの感知しないところで乗客の一人が、
    カッターナイフで手首を切るという、謎の「自殺?」を遂げる。

    混乱するメンバーは、自身を含め、混乱した乗客を落ち着かせるため、
    その場に居合わせた「座間味くん」(座間味島のTシャツを着ていた)に
    自殺の謎解きを依頼する一方、警察と「師匠」解放に向けた交渉に取り掛かる。

    なぜ、ハイジャック犯は「師匠」を「空港まで連れてくること」に拘るのか?、
    そして、ハイジャック犯も預かり知らぬ「自殺?」の真相は?
    これらは全く関係のないものなのか、はたまた全てが繋がった事象なのか。。。

  • ハイジャックの話かと思いきや、ハイジャックされている飛行機のトイレ内での殺人事件発生とは!
    即席に探偵が指名され、事件を捜査するという設定も斬新な感じがしました。
    ただし、殺人のトリックは読んでると自然にわかります。
    必然的に犯人もわかります。。。

  • 沖縄の不登校生キャンプ主催者である石嶺師匠の信奉者によるハイジャック事件。

    不当逮捕により留置中の師匠を助け出そうとして引き起こしたハイジャック事件中に起こった謎の殺人事件。

    ハイジャックの顛末と殺人事件の謎解きが、スリリングに同時進行していく。

    結末もそれなりに決まった感じ。

  • ほとんど読まないミステリーものです。


    ミステリーってだけで避けてきたけど、この作品は面白かった!


    ハイジャック下での密室殺人(殺人とよんでいいのか)


    この設定だけで気にならせ、展開もわかりやすいので、私のような人でも短時間で読めました。

    一応事件後のことまで書かれているので救いのある物語というか、気分よく読み終わったけど、事件の結末は物足りなかったかな。


    ミステリーが苦手な人でも最後まで楽しめると思います。

  •  全然知らなかった著者。ミステリ好きの学生のおススメで読んでみた。う~ん、いまひとつだったかな。かつてこんなに美しいミステリーがあっただろうか、という帯の惹句はどう考えても誇大広告。どこがどう美しいんだよ。
     那覇発羽田行きの飛行機が離陸直前にハイジャックされる。犯人グループ3名は機内で乳幼児を人質にとり、数日前に略取誘拐の容疑で不当逮捕された通称師匠なる彼らの指導者を空港に連れてくることを要求する。その事件まっただ中の機内で突然起こった予期せぬ不可解殺人事件、という筋書き。捜査の手が介入できない現場なので、その殺人事件の真相解明するのがハイジャック犯から指名された乗客の1人という突飛な設定だ。つまるところハイジャックは単なる舞台装置で、メインはこのどうみても不可能な状況下での殺人事件の謎解きなのだ。そう思えば、最後に明らかになる意外な犯人とさらに意外な犯行動機はまあまあよくできている。犯行手段はそうとう無理があるけど。それよりハイジャッカー真壁と急造探偵座間味くんのかけ合いが結構おもしろい。
     ただし、事件のお膳立てとなっているハイジャックの犯行動機があまりに弱い。驚異的実績の不登校児童再生キャンプ指導者である師匠の魅力が全然伝わってこないので、なんでこんなにみんなが心酔するのかが不可解。新興宗教ではないといいながら宗教の教祖様にしてしまった方がいっそ説得力があるのでは。それから物語全体の鍵になっている事件当夜の時間限定イベント(超常現象?)が、いったいどうなるのかが最後になっても明かされないで終わってしまうのも不満(月の扉って何なの?)。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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