- Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751289
作品紹介・あらすじ
インドで両親を亡くしたメアリは、英国ヨークシャーの大きな屋敷に住む叔父に引きとられ、そこで病弱な従兄弟のコリン、動物と話ができるディコンに出会う。3人は長いあいだ誰も足を踏み入れたことのなかった「秘密の庭」を見つけ、その再生に熱中していくのだった。
感想・レビュー・書評
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よい魔法とはみんなが使える魔法なのだ
誰も彼も、大人も子どもも、老人も、キツネもカラスもこまどりも、子羊だってリスだってポニーだって使えるのだ
そうだ自分も今日からよい魔法を唱えよう
土屋京子さんの『秘密の花園』である
え?原作はバーネット?フランシス・イライザ・ホジソン・バーネット?
わーっとるわ!
分かってて言うとるんだわ!
それほど土屋京子さんの新訳がすんばらしかったんだわ!『秘密の花園』史上最高の日本語訳だわ!
他の訳一切読んだことないけど言い切れます
とっても分かりやすいのはもちろんだけど、ご自身があとがきで仰ってるんですが、まず土屋京子さん、この『秘密の花園』を児童文学ではなく大人向けのものとして向き合ったみたいなんですね
それがまず大成功だったんじゃないかと思うんです
そしてこの物語の重要な要素であるヨークシャー訛りの和訳もすごかった
ヨークシャーってのはイングランドの北部地方なんだけどけっこう訛りのきつい方言らしいのね
これがまぁ英語なんてちーとも分からんのにヨークシャー訛りにしか思えんのよね
ヨークシャー訛りを和訳したらこうなるだろうなとしか思えないほど自然
そして3人の子どもたちがまあ生き生きとしてるのよ
花園の描写も素晴らしい
まさに魔法使いですよ、土屋京子さん
もしこれから『秘密の花園』を読もうとしてる方は絶対土屋京子さん訳で!というのはもちろんですが、過去に『秘密の花園』を読んだことある人も土屋京子さん訳で読み直してほしい!
そのくらい素晴らしかった
もちろん内容も(今さら) -
小さい頃に、本棚に入っていた本の一つ。
ケイト・モートンの『忘れられた花園』がキッカケで、先輩から貸していただいた。
最初から呆気にとられた。
両親も、使用人も、バタバタとコレラに命を奪われてゆく中、残ったのは「忘れられた、つむじ曲がりのお嬢様」メアリ一人だった。
そして叔父に引き取られた後、彼女を中心に話は進むかと思いきや、動物と心通わせる天使のような少年ディコンと、足を悪くした癇癪お坊ちゃんコリンという、非常にチャーミングな二人が加わり、あとはもうエンディングまで一気に突き進む。
展開としてはハイジ的だけど、この話には悪意を持った人が出てこない所も素敵かもしれない。
そして、私の好きなデルフィニウムも花園の一部になって、大満足です。
さてさて。
そんな三人組に、まったく関わることのなかったメアリの叔父であり、コリンの父であるクレイヴン氏。
メアリにもコリンにも素っ気なくて、というか二人を置いて旅に出ちゃうしで、もっとなんかあるだろ!とツッコみたくなるものの、そっと癒されて、最後の大団円に参加するから、ちょっと笑える。
てか、途中からマーサどこ行ったよ、マーサ。
良いスピード感で、感動しました。 -
秘密の花園の美しい自然描写を想像して、わたしも癒された。
自然、友達、見守ってくれる大人、それに秘密。
子どもたちの成長にとって大切なものを教えてくれる作品だと思う。 -
小学4年生の時 夏休みの宿題の読書感想文を書いた本。
物語の内容も どんな感想を書いたかもすっかり忘れてしまった…が書いた文章を親に手直しされ賞状をもらったことだけは覚えている ちょっと苦い記憶の中の一冊。
「秘密の花園」ちょっとへそ曲がりの女の子が主人公 濃い目のグレーの物語が女の子が「秘密の花園」を見つけるところから ほんのりピンク色が混ざりだす。
どんどん どんどん 色が加わり… 緑・ピンク・オレンジ・黄色…光が差し込む
花園に存在している魔法 女の子男の子が魔法によってどんどん変化していく。
普段はなかなか感じられないけれど きっと「この魔法」はどんなところにも いつでもあって あとは感じるだけなんだろうな…
読み終えて ほっこり幸せな気持ちに包まれている -
小学生の時に1回読んだが忘れてしまい、再読。自然とふれあいながら成長していく物語。
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児童向けと分類されており、小公女、小公子と並ぶバーネットの作品と言われている本書。とても単純な筋でありながらも結構なページ数を備えた本書はその丁寧な登場人物達の心の洞察や出来事の表現力や自然への洞察力によるもの。サスペンスなどとは違い、読み手にはその後の展開が明らかに見通せているが、読み手の愉しみは如何にその展開が素敵に提示されるかであって、その点においては読み手の期待以上のものとなっているのでは思う。特に最終章では
目線が主人公の一人、コリンの父親目線に切り替え、その父親もその後迎える結末について予感めいたことを考えている様子て、この章に至るまで散々説明されている「魔法」の作用について、この奇蹟を読者に納得させることに成功している。
大人に翻弄された子供が卑屈に育ってしまうこと、環境の変化と運命の人との出会いの化学反応により正しい人の有り様に気がつくところにこの話の大筋の醍醐味があるが、子供達の劇的な変化に大人達が驚愕する様も本書の大事な要素。タイトルの「秘密」は秘密の花園とコリンの父親への秘密の掛け合わせであることは言うまでもないが、後半でやたら使われる「魔法」とは超常現象ではなく自己が未来に向けての希望を唱える呪文により実現するものだと感じさせてくれる。
巻末の解説も深い考察で読み応えがあります。
類似の古典作品をもっと読みたくなりました。 -
『小公女』、『小公子』は主人公が心優しく素直で利発ないわゆる優等生キャラだったのに対して本作の主人公がつむじ曲がりだったのは新鮮でした。それでも周りの愛情を受けて成長していくメアリの物語は子供の成長に愛情は欠かせないということを教えてくれました。
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知ってるつもりになってた作品。大人たちに内緒の秘密基地を持っているのが羨ましくて読んだような記憶があったけど、今読むと親目線で読んでしまい、とにかくいちいち涙腺がゆるむ。ディコンの母や、庭師ベンと一緒に気づいたら泣いてる。
今でいうところのネグレクト状態で育ってしまったメアリとコリン。可愛くないガキ、なのかもしれないが、こうなってしまった事情がそれぞれあり、やるせなくかわいそう。二人が心も体も成長していく姿がまぶしい。 -
小学生の頃、一時エンドレスで読んでいた。そしてその時ぶりに読んだ。まさか光文社新訳で読めるなんて。
はまったきっかけは名前が自分に似てるから。日本の小説には私に似た名前があまり出てこなくてなんとなく寂しさを感じていたし、メアリの元々の自分さえ良ければいいとか他人を斟酌しない様子なんか自分に近い感じがして、メアリのことを好きになってくれる人が出てきますようにと応援してたなあ。鳥やリスを操るディゴンを羨んだりする気持ちは当時と変わらないけど、親子仲の進展に感動できたのは今だからかなと思ったり。
ひまわりめろんパルプンテを唱えた
しかし何もおこらなかった
ひまわりめろんパルプンテを唱えた
しかし何もおこらなかった
パルプンテ…
パルプンテ…
パルプンテ…
やまびこととなり虚しく響きわたった…
パルプンテ…
パルプンテ…
パルプンテ…
やまびこととなり虚しく響きわたった…