変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751364

感想・レビュー・書評

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  • フランツ・カフカ著「変身」
    ある朝起きたら虫になっていた男の話。20世紀初頭に書かれた不条理文学の古典。
    だいぶ前、NHK Eテレ「100分de名著」で紹介されていたので、テキスト本と合わせて読んでみた。

    この小説の読み方は大きく分けて二通り。
    1.虫になってしまった男のドタバタ悲喜劇として単純に楽しむ。
    2.「虫になること」は何か現実的な出来事の象徴であると考えて深読みする。

    当然「100分de名著」では、深読みした意味を1つの解釈として提示してくれていた。
    それは、「虫になること」=「仕事に追われ、家族を養わなくてはいけいないプレッシャーに押しつぶされて、引きこもり・鬱になるということ」という解釈。

    「100分de名著」番組司会の伊集院光氏は、高校時代不登校で中退、芸能人になってからも週一ラジオパーソナリティなのにラジオ局に出社拒否になった経験があるため、引きこもりの人の気持ちが良く分かるらしく、そのことをラジオで語っていた。
    彼曰く、小説における主人公の心境・周囲の人の接し方に関する描写は、引きこもりを経験したことのある人にとっては「あるある」であり、「カフカの野郎、俺の姿を見てやがったな」とまで感じたらしい。
    http://numbers2007.blog123.fc2.com/blog-entry-1887.html

    この小説を読んでも、どうやったら引きこもり・鬱にならずに済むのかとか、周囲はどう接すれば良いのか、みたいな解決策があるわけじゃないのだけど、そういうふうになってしまった人の気持ちを、周りの人が理解してあげる材料の一つくらいにはなるのかもしれない。

  • 『変身』は世の不条理さを言い表した作品であると感じた。

    主人公は朝目が覚めると突如として虫になっている。虫になってしまったことで、主人公は属してきた社会からの疎外を受けることとなる。
    主人公は社会から疎外されたことを直視せずに、常に社会の一員であるかのように振る舞うが、最後には死という形で絶対に免れられない疎外を被ることとなった。

    現実の社会ではどうであろうか。もしも突如事故にあい動けなくなってしまったら、社会において自分の存在価値が消失してしまうだろう。このように世の不条理さとそして、社会というものは自分が想定するよりも冷たいものであるということを教えてくれる。

  • 難解なテーマを、不可思議な設定で描いているのに、さらっと読ませてしまうところが見事。違う訳と読み比べてみたいなぁ。

  • 不条理ながらも、思わぬ事態に直面した主人公の行動や家族の思いが真に迫る。
    ありえないことのはずなのに、もし自分がこんなことになったら、と心がざわめいてしまう。

  • 変身から読みました。虫が嫌いなので読んでいて気持ち良くはなかったです。ひたすら自分がグレーテの立場だったらどうしたかなと良心に問い続けて読みました。輪廻転生が実際にあるとしたら、私の目の前に現れた気持ち悪い虫ももしかしたらご先祖様かもしれないし、今後生まれて関わる重要な人物になるかもと考えると虫も殺せない!『変身』では、虫というあきらかに形が異なるものにグレゴールは変身したけど、どこまで形が変わったらその人のことを愛せるか、いままで通りに接することができるかという問いは現実にいる誰でも考えることができると思います。なんだか試されている気がして嫌ですが…
    判決はどう解釈してよいかわからなかったので、ネットに頼ってしまいました。自分が一番可愛いって実はみんな思っているんじゃないでしょうか。ゲオルクはあまりに自分が自分がしていたけど。あんな風に誰かに暴かれたら怖いです。
    「アカデミーで報告する」は、自由ではなく出口を必死に求めている話でした。いろいろな出口があるものですね。人間もサルもそんなに変わらないのかもしれません。
    「掟の前で」は、ちょっと昔話っぽかったです。男は費やす努力の方向を間違えたように思います。厳しい結果が待っていようと入ろうと思えば入れたのに、それをせずに相手の出方を待つことしかしなかった。自分が入れる門を自分で決めてしまっていたように感じます。
    解説にあるケストナーの名言が気に入りました。「人生を重く考えることは、かんたんだ。だが人生を軽く考えることは、むずかしい」

  • 小説でしかできない表現ってこういうことかな。

  • 変身しか読まなかったけど…私の中での「痛快」という言葉の解釈はまさにこの小説が体現しているような気がします。

  • 収録作は新潮文庫と岩波文庫で読んだことがあったが、この新訳はそれらとは異なる史的批判版なるカフカの原著に近いものを底本にしてるとのこと。
    そのことを意識しての訳らしく、段落分けが少ないもの読みやすかった。また、近年批判されているように余り重苦しい印象にもならなかった。
    内容は今更言うまでもない。

  • 何かよく分からんが、むなしさを感じた。

  • ベッドから起き上がる一連の動作の言い回し、表現の仕方一つにしても非常に秀逸で素晴らしいと感じた。

    ただ暗い。話が非常に暗かった。

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著者プロフィール

ツイッターやインスタグラムで恋に悩む女性にむけて優しく背中を押す言葉を投稿している。著書に『だから、そばにいて』(ワニブックス)、『好きでいて』(セブン&アイ出版)、『何度も諦めようと思ったけど、やっぱり好きなんだ』(KADOKAWA)などがある。ツイッター @kafuka_monchi インスタグラム @kafuka022

「2020年 『だから、そばにいて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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