- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334763626
作品紹介・あらすじ
テニスコートで、ナイフで刺された男の死体が発見された。コートには内側から鍵が掛かり、周囲には高さ四メートルの金網が。犯人が内側から鍵をかけ、わざわざ金網をよじのぼって逃げた!?そんなバカな!不可解な事件の真相を、名探偵・十川一人が鮮やかに解明する。(表題作)謎解きの楽しさとゆるーいユーモアがたっぷり詰め込まれた、デビュー作を含む初期傑作五編。
感想・レビュー・書評
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デビュー作である『中途半端な密室』を含め、計五編の初期短編集。
ミステリーとしての面白さをどこに求めるかは人それぞれだと思うが、「そんなバカな」と「なるほど」とのパランスを上手く取った作品集だと思う。
安楽椅子探偵物になるので、これが間違いなく真実かどうかは分からないものもあるが、一応の納得ができる。
また東川さんらしい軽妙でトボけた会話も楽しめる。
二話目以降の敏ちゃんミキオコンビシリーズは何故岡山弁?と思ったら、東川さんは大学時代を岡山で過ごされたようで、その影響か。岡山弁の柔らかさも軽妙さを後押ししていて良い。
『中途半端な密室』
四方を金網で囲まれ、出入り口は一箇所しかない一面のみのテニスコートの真ん中で見つかった男性の刺殺体。
なぜ犯人はそんな面倒な仕掛けをしたのか。
どういう状況でそうなるのか、その様子がなかなか面白い。
『南の島の殺人』
民家の庭のパラソルの下、全裸の男性の撲殺体が見つかる。
何故犯人はわざわざ被害者の服を脱がせたのか。
南の島でバカンスを過ごしている時に事件に巻き込まれた友人が、わざわざ手紙で敏ちゃんに知らせてきたということが肝。
『竹と死体と』
古新聞に載っていた「地上十七メートルに伸びた竹の上部で見つかった老婆の首吊り死体」という事件の真相。
竹なんだから首を吊ったあとに伸びたのでは?というところまでは思いつくものの、その更に上を行く。
『十年の密室・十分の消失』
五編の中では一番長い。
十年前に起きた、密室状態の離れで見つかった首吊り死体。その離れを十年振りに訪れてみると、わずか十分の間にその離れが消えてしまった。
『南の島の殺人』の友人が再び遭遇した事件だが、この友人の能天気さと対照的な事件の結末が意外。
『有馬記念の冒険』
有馬記念レースと同時に起きた強盗事件。容疑者は事件発生時刻に離れた場所で隣人に顔を見られていてアリバイがある。
なんかこういうアリバイトリックって久しぶりに読んだ気がする。初出は2003年。当時はこういうの、最新だったんだなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
プロ作家になる前の短編を中心にまとめたもの。
デビュー作と、岡山の大学生・敏ちゃんとミキオのコンビの5話。
テンポのいいユーモアミステリであること。
安楽椅子探偵ものであること。
初期の作品に、すでに方向性がはっきり出ている。
特にデビュー作「中途半端な密室」がおもしろかった。
ミステリの謎は、どんでん返しのためのトリックになってしまうというか、どうしても不自然で必然性に欠けがち。
それを自然で、納得のいく形で解決しているのが、うまい。
その他の作品も同様に、すっきりする解決。
新聞記事だったり、友だちからの手紙だったり。
謎が提示されるきっかけも変わっていて、ユニークだった。 -
五篇のユーモアミステリ。
もう、ゆる〜ゆる〜笑 さすが東川篤哉先生。
気張らずに読める本って良いですよね。いつ読んでも併読にいい。 -
ライトミステリの大ベテラン。アームチェアディテクティブ者に特化していて、ユーモアに溢れている。
中途半端な密室、、、鍵のかかったテニスコートの中でナイフで死んでいる話。デビュー作らしいが、伏線に無駄がなくて、完成度が高い。
南の島の殺人、、、手紙から犯人当てミステリ。鍵は南の島ってどこなの?という一点だけ
竹と死体と、、、過去の新聞に17m以上の高い竹にぶら下がった死体の謎をとく。ああなるほどねという印象。
十年の密室、十分の消失、、、目の前で過去に殺人事件のあった離れのアトリエが消える!悲しくも温かいストーリー。
有馬記念の冒険、、、有馬記念の約2分半のアリバイ崩し。短編集にはこんな話があってもよい -
【再読】
東川先生が生み出すユーモアミステリの原点。デビュー作「中途半端な密室」を含め4篇がデビュー前のもの。全ての作品が安楽椅子探偵の短編集。
密室、建物消失、アリバイ、犯人探しと盛りだくさん!
大学生コンビが出てくる話が4篇あるのですがそのコンビ好きなんですよね。
ミステリ疲れした時に本当に良きです! -
著者がプロ作家となる前の作品を中心に構成された作品集だそうです。
解説にもある通り、「安楽椅子探偵」と「ユーモアミステリー」という軸に沿った話が詰まっています。
5編の短編の中「十年の密室・十分の消失」は謎が明かされると登場していた人物像が大きく反転しミステリー以上に人間物語としても沁みるものがあり大変気に入りました。 -
ユーモアたっぷりの短編集です。軽く読めて重たいミステリーが苦手な人にオススメの作品。思わず笑ってしまうシーンがたくさんありました。普通に面白かったです
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東川篤哉といえば、なミステリーが揃っている。最初のデビュー作から面白かった。語り口が軽妙で読みやすく,トリックにも機転や盲点をついたものも多い。これからもずっと読んでいきたいと感じている。
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解説にて、東川さんは安楽椅子探偵のユニークなミステリーが得意と、ありましたが。
まさに。そのとーり。笑笑
そうかこういうタッチのミステリーのことをユーモアミステリというのか!?まさにこの方はそんな小説ばかり!
今回も、トランプを一枚一枚引いていくうちに真相に近づく答えを探るようなそんなミステリで、読みやすく面白かった!!!!
この手持ち札でなんで犯人わかったんだろー?
と、思わせてくれたうえで種明かし!
そっち!?!?とか、
そこかぁー!!それが違った!?
あーーーーいいところまでわかったのに。
そんな頭の体操になる一冊です!笑笑