サクラ咲く (光文社文庫 つ 16-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334767044

感想・レビュー・書評

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  • 中学生メインの話が2編、
    高校生の話が1編。

    辻村深月さんのはじめの一冊としてもおすすめできそうな短編集。読みやすくて、中高生が主人公なのがおススメポイント。


    すてきな司書教諭が登場します。

  • 中高校生くらいの時に読めば印象は大分違っていたかも、と思う作品です。汚れきった大人になると、もっと悪い人が出てくる方が嬉しかったりします。青春モノと言われる作品は自分がその中にいるときと、そこから遠く離れてしまった人では感じ方は大分違うのは仕方のないことですか。

  • それぞれの話が、時代も違くて、繋がりがそれぞれの話とあるのでとてもそのことを探すのだって面白かった〜❗️

  • こうあったらいいなっていう自分の学生時代の理想が描かれていた。
    自分と違うタイプの人間と解り合えたり、些細なことを注意しても受け入れてもらえたり、いつも一緒に居て楽しい仲間がいたり。
    学生時代に読んでいたら、こんなのは理想だって片付けていたかもしれないけど、社会人になって今読むと自分もこんな風にできたらよかったなあって思える。

  • 最近ハマりの辻村深月。
    タイトルと装丁の雰囲気が気に入って読んでみました。
    中高生が主人公の3つの短編集ですが、ふんわりとした雰囲気のいい物語でした。そのどれもは全く別の物語なのだけど、少しずつ関連し合って奥行きがあるところが辻村深月作品で好きなところです。

    強いて言えば、あまりにもさらっとしすぎていてドロドロしてないので物足りなさはあるかな。

  • 3つの短編。
    登場人物が若くてピュアすぎて恥ずかしくなるような感覚で読み進めたけれど、最後の『世界で一番美しい宝石』ではちょっと感動した。
    学校は、みんなのものなんかじゃない。成績が良かったり、スポーツができたり、面白くて人気者だったりする者たちの青春の場であり、地味で友達もいない一部の人間の精神世界がどんなに充実していても、そんな彼ら(自分)の居場所にはならない、と考える一平。
    そうだった、若い頃って、劣等感とか、受け入れてもらえない辛さをビンビン感じて、さらっと流すことなんてできなかった。
    そして思いがけず1話目の『約束の場所、約束の時間』からリンクしていたエピソードにうるっとさせられた。

  • 中高生が楽しめるライトノベルでしょうか?
    でも大人もなつかしい
    さわやかでまっすぐなあの時代
    悩みをいっぱい抱えててひたむきなあの時代
    苦しいけれど透明な彼らと共感して読みました
    三篇の短編がちょこっとリンクしてて楽しい
    《 忘れない 遠い日の歌 響きあい 》

  • 迷いながら、悩みながら、少しずつ成長する中学生たち。みずみずしくて、懐かしくて、甘酸っぱく、苦しい。
    私にも、こんな時代があったのだ。

    辻村深月の短編集。三編すべてが同じ中学校を舞台に少しずつ繋がっている。このリンクが辻村深月らしくて、好きだ。

    一編一編はじんわり温か。
    特別な面白さとか、意外さはないけれど、辻村深月が書く10代の不安定さがいい。児童向けに書かれたとのことで、変なひねりもなく、素直な作品。

    表題作の「サクラ咲く」は、図書館の本に挟んだメモで文通をする…貸し出しカードに書かれているあの人が文通相手?と、耳をすませば的などきどきがあり、懐かしい。また、メモを挟む本で、名著が出てくるので、色々と読みたくなってくる。

    「世界で一番美しい宝石」では、『嵐が丘』のキャサリンを学校の演劇で演じたという少女が出てくる。少女と大人のキャサリンを見事に演じわけ…とさらっと書かれているが、『嵐が丘』は読んだことがあるので、あぁ、なるほど、あのヒステリックな、と。
    やっぱり名著と言われる本は教養として読んでおくと、こうして活かせるのだなと実感。
    少しサボりぎみだったけれど、読書の時間を増やしたいなと思えるような本だった。

    ☆あらすじ☆
    塚原マチは本好きで気弱な中学一年生。ある日、 図書館で本をめくっていると一枚の便せんが落ち た。そこには『サクラチル』という文字が。一体 誰がこれを?やがて始まった顔の見えない相手との 便せん越しの交流は、二人の距離を近付けてい く。(「サクラ咲く」)輝きに満ちた喜びや、声にな らない叫びが織りなす青春のシーンをみずみずし く描き出す。表題作含む三編の傑作集。

  • 一話目と三話目のつながり、気付いた時にウルッときました。。
    特に三話目、私も小さい頃本ばかり読んでておばぁちゃんは心配してたな…笑
    好きなことは人それぞれ。
    この物語の登場人物たちは不安定さはあるけどしっかり成長してる。
    青春ものってどうも苦手やけど、これは痛さと爽やかさがほどよく混ざり合ってて良かった。

  • いや〜、青春ですね〜。総論としては、あとがきの「十代だからこそ開くサクラが美しいではないか」につきます。そのような初期の辻村作品群に似た雰囲気が漂っていたので、本作はのっけから超惹き込まれました。

    その核にあるのは、仲間と一緒に何かを成し遂げたり、課題や問題を解決しようとする姿。「冷たい校舎の~」「名前探しの~」にその辺が共通するな~と思います。

    それとは別に、個人的に本作に惹き込まれたきっかけは「ドラゴンクラウン9」。以前から「今のPS4のゲームを小中学生の自分が見たらどう思うんだろう?」と思っていたのですが、まさにそのエピソードが小説で登場する訳です。これに興味を示さずにいられるわけがありません。

    そうしたきっかけで夢中にさせられた本作は、とてもとても楽しめました。

    本作は連作短編3作が納められていますが、それらに通じて感じられたのは、紡ぐ/ツナグ、という要素でしょうか。「約束の場所、約束の時間」ではリレーで前走者がアクシデントに巻き込まれながらも、バトンを受け取った朋彦が懸命に挽回するシーン。過去つまずいても未来につないで修正できるという隠喩なのかな?と。

    「サクラ咲く」では図書館の本にテガミを挟み、誰か分からない相手とメッセージを紡いで行く。マチの“文通”相手は誰なんだろう?と推理するのが楽しいミステリでもありました。

    そして「世界で〜」。あの人物がとある出来事をきっかけに人生の目標を定め、それに向けて死に物狂いの努力をして目標を達成したのは、「約束の〜」のリレーに通じるところがあるかな、と。(結果、パラドックス的な状況が発生しちゃいますが…その辺はスルーで。フィクションなんだし。)

    紡ぐ/ツナグ要素とは別に、「世界で〜」では「表現の自由」を主張する側である作者の、自分なりのポリシーをかいま見たような気もします。報道と小説では、その立場が大きく違うので当然かもしれませんが「なぜあなたは文章を紡ぐのか」という問いに対しての解答がここに込められていた…と読み取りました。

    本作は登場人物達がとても魅力的でもあったので、いずれ他の作品にゲスト出点したり「その後」の話などを期待したいところ。辻村先生ならきっとやってくれるはず、と勝手に思い込んで気長に待つことにします。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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