母親ウエスタン (光文社文庫 は 35-1)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334768560

感想・レビュー・書評

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  • 家族モノを読むと母に電話しようかなあとか思うんだけど、大抵の場合本を読み終わるのが夜なので、結局しないことが多い。
    まあそのうち帰省しよう。

  • するすると読んだ。
    最後は広美さんが良い形で報われて読後感がよかった。

  • 2つのストーリーを交差させながら過去と現在を行き来する。それでいてわかりやすいストーリー。
    奇抜なタイトルの意味は読了すればすぐに理解できる。

  • 3最初2つの物語が区切られながら進んで行くので時系列とか話の理解に戸惑ったけど途中で糸が繋がるようになってきてそこから引き込まれて面白かった。
    広美は捨て猫のように何かしら問題を抱えている母親がおらず父と子供たちで暮らす家にすっと入り込んではしばらくするといなくなる。
    広美は何を考えているのか何を求めていたのか。

    以下心に残ったフレーズ。
    「だけど、あおいを悲しませたりしないから安心して」
    もう十分悲しんでいることが、祐理には伝わっていない。それがあおいには何より切ないのだった

    あーこれ恋愛あるあるーと思った

  • けっこう面白かった。ストーリーは、主人公「広美」の行動や思いを、過去と現在で交互に展開させながら進んでいく形式。
    過去では、「母親のいない子供(たち)」の世話をするために、好きでもないその子供(たち)の父親と付き合い、そして数ヶ月、数年たって別れていく「広美」を、その父親の観点から描いている。また現在では、「世話してもらった子供たち」のうちの1人で、苦学しながら教員か公務員を目指す「祐理」とその恋人「あおい」が、「昔をあまり覚えていない広美」に対して抱く、深い思いや感情を描いている。
    「広美」が何故、縁もゆかりもない「子供たち」を母親代わりに世話をするのか?はあまり重要ではない。小説の最後の方でその理由が分かるが、けっこう平凡で、ある意味期待外れだった。
    それより、世話の必要なくなったとたん、「広美」は彼ら父子から離れていく。子供たちは「広美」がいなくなることに納得していないが、父親たちの方は何故か「広美が何時かは自分達の前から姿を消す」ことが分かっていた。勿論、何故自分達の前に表れ、何故突然に自分達の前から姿を消すのかは分からないにしても。
    読んでいると思うことは、「広美」にとっては「子供を世話すること」が大事で決して「その子供が好きなわけでも、ましてやその子の父親が好きなわけでもない」ということ。だから、子供たちが大きくなって「広美」に会いに来た時、本当の母親かと聞かれても「いいえ」と簡単に完全に否定する。そして感謝する彼らに「助けてもらったのはこちら」と彼らの感謝も拒否する。この「広美」の行為と思いは、何だろう?自分の実の子供に対する贖罪とか、子と無理やり離された不条理に対する彼女なりの抵抗とかは、何か安易だ。
    よく分からないが彼女は「世話する子供」がいないと自分自身を生きられないのかもしれない。
    最後の最後、「世話の必要のない」大人についていった「広美」は何かを吹っ切れたのかもしれない。

  • 何を求めて転々と他人の家族に入っていったのか。別れた子供と会うためなのか。母親として転々とする中で、小さな子供は本当の母親だと誤解してしまう。でも広美はそうは思っていない。子供の心は正直だし素直だ。一緒に住もうと言ってもまた消えてしまう。なんとなく広美の気持ちもわからなくもないが。すっきりしなかったなあ。

  • 映画化したら見てみたい。

  • 慣れきった日常をキラキラした時間に変えるのは、外からの視点が必要。母親不在で壊れかけている家族に、野良猫みたいに、そっと入って来て、何とか持ち直した頃に、またそっと出てゆく。母親不在の荒れた家族に、ふらりとやって来て、またふらりと去っていく話。

  • 父子家庭を渡り歩く主人公の広美は、様々な環境で必死で生きているこどもたちを、少しでも支えてあげたいという一心で、日々を過ごしている。
    それは、広美のエゴのようにも感じられるし、実際に育てられたこどもの何人かは、大人になってからも、広美の存在に振り回されているし、とはいえ、広美がいなかったらまっとうに成長できていたかも危ういし。
    納得いく部分と、しっくりこない部分とがある一冊だった。

    私には、ここまで自分を犠牲にしてまで、こどもたちのサポートにコミットできるとは思えない。
    広美にどんな過去があるのか、お話の中では明らかにはなりきらないが、そういう人生もあるのか、いや現実にはないだろう。
    ただ、それくらいの気持ちで、自分のこどもや、場合によっては生徒たちなどと向き合う人たちには、本当に尊敬しかない。

  • 各地を放浪して、子供がいなくなったさみしさを紛らわせる女性の物語。
    こんなに簡単に誰かの家に入れるのかと思うとびっくりするけど。
    登場人物が多くて「え?この子は以前の話に出てきた!?」と確認しながら読みました。
    虐待する男性を殺したんじゃないかという描写があったけど、殺すのはわかるんだけど、その後子供を施設に預けて出て行っちゃったんだ…と思うと複雑。
    逮捕されたときや、真実がわかってしまったときのことを考えてのことだったのかなぁ。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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