夜想曲

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910365

感想・レビュー・書評

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  • 広義のミステリーかな。謎はない。いわゆるエンターテイメント、一般小説か。前作「オルゴール修復師」の続編にあたる。主人公のレストア(オルゴール修復師)雪永鋼は、鬱病がやっと軽度化してきたところで、人と関わるのは苦手なはずなのだが、将来の優しさのためにいろいろと他人の厄介ごとに関わらざる得なくなってしまう。読者としては、人と関わることで鬱病が悪化しなければいいなと思うと同時に、雪永も関わった人も両方納得する形で、いろいろな事件を終結してほしいなと思ってしまう。でも、そこはちゃんと解決してしまうんだよね。あたたかい気持ちになる物語だ。

  • 「ㇾストア」の続編。まさか続きが読めるとは・・・。いつの間にか結婚していた鋼さん。お相手は、あの人ですか・・・。伴侶を得て、鋼さんの心も落ち着いてきてるんだなぁというのがうかがえました。ただ、前作をほとんど忘れていたので、私にはサプライズ効果があまりなかったのが残念。「ㇾストア」を再読してから読めばよかったわ。お話としては、思わぬ遺産相続に巻き込まれつつ、前作同様、オルゴールの修理を依頼する人たちの思いもㇾストアしていく様子が、優しく描かれていました。好きなお話なので、この続きもあるといいな。

  •  レストアの続編となる本作は、前作同様に穏やかなリズムで物語が進んでいく。この穏やかでしんしんとした雰囲気が太田作品のなかでも際立っている。それが主人公がオルゴール修復士であり、作品のキーアイテムにもなる「オルゴール」の音色を思わせ、独特の作品世界を形づくっている。
     前作では、主人公の雪永が負った心の傷に救いが与えられるところで結末。本作では、そこからどのような展開を迎えていたのかという楽しみがあった。いきなり雪永が結婚しており、いきなりの惹き込み。肝心のストーリーも、人の心を綺麗に切り取り描く太田作品らしい、素敵なミステリ作品。

  • 【あらすじ】
    オルゴール修復師・雪永鋼のもとに、遺産相続の話が舞い込む。いちど修理を引き受けたことはあるものの、直接会ったこともない洋服量販店の創業者が、所有しているオルゴールすべてを遺贈する、というのだ。理由がわからず、戸惑う鋼のもとに、相続放棄を唆す脅迫状が届く――。壊れたオルゴールが、鋼の手によって失われた音楽を取り戻したとき、奏でられた真実とは? 清廉な筆致で静かな感動を呼ぶ、傑作本格推理。

    【感想】
    オルゴールの修復師のお話。主人公に自分と似ているところがあったのがまず驚いたし、少し親近感がわいた。そして、オルゴールにまつわるいろんなストーリーがとっても楽しくて不思議でほんわかするお話ばかりだった。夢中になって読んだ。しばらくしたらまた読みたいなあと思うくらい良かった。

  • 以前、京都の嵯峨野にあるオルゴール博物館に行きまして。
    もしそこに行かなかったら、この本をこんなに楽しめなかったんでないかなと思います。
    オルゴールといえば、土産物屋のちまっちゃいものしか見たことなかったので。
    円盤のオルゴールだってその時はじめて見たので、それがなければこの本に出てくるオルゴールを想像することもできなかったと思います。

    これがシリーズになって、続編出てたこ知りませんでした。
    面白かったです。

  • シリーズ1作目をつい最近読んだので、わたしにとっては久しぶりという感じはないのですが、久々のシリーズ新作のようです。人との接触を避けていたはずの主人公が結婚していたことに驚きましたが、いろいろなことが穏やかに進んでいく、奥さんの役割は大きいですね。以前よりいい雰囲気の作品になったなと思いました。奥さんの喫茶店も完成したことですし、これからも続いてほしいシリーズです。

  • ミステリー

    連作短編集

    オルゴール修復師(レストア)雪永鋼と妻 真美、愛犬 ステラの家族を描いた物語

    鋼の元に持ち込まれるオルゴールにまつわるちょっとした謎を、繊細に丁寧に向き合い解いて行く

    オルゴールの音色のように穏やかなミステリー作品

  • オルゴールの修復師を主人公にした、優しい読み心地の連作ミステリ。ああでも二作目だったか。一作目も確か持っているはずなので読まなくては。
    あまりなじみのない職業ではありますが、オルゴールというのがそのあたりで売っているような雑貨だけではなくアンティークだということを思えば、深みがあって素敵な職業だと思えます。それぞれに思い入れのあるオルゴールを大事に持ち続けている人たちがいて、そんp気持ちに寄り添うことがこの物語のなんともいえない優しさを生み出しているんだろうなあ。
    お気に入りは「英雄」。ミステリとしての「真相」は、実ははっきりとわかっているわけではないのだけれど。物語としての「真相」はもうこれ以外にあり得ないでしょう。実際どうだったかよりも関わった人たちがそれが真実だと思えればそれで良い、そんな物語。

  • 2016.12.02読了

  • 修理したオルゴールの音色が聴こえたらいいのに。

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著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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