- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334925871
感想・レビュー・書評
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事件が起こった時、理屈に合った動機を無理やり作るのは必要ないと常々思う
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現役弁護士による裁判小説とまとめるとカチカチの鋼鉄に思えるが、事実と「人間の想い」の混ざり具合がちょうどよく、絶妙な硬度であった。
ある殺人事件で容疑者となるが冤罪を主張する看護師。彼女を巡るメディア・警察・検察・弁護側の攻防を通して、捜査・裁判・報道は全て人間が関わっているのだからいつも同じ結果が出るとは限らない、という筆者のメッセージが伝わってくる。
彼女が実際に殺人を犯したのか、冤罪なのか、それは最後まで明らかにされない。私たちがいつも現実において真実を知り得ないように、この小説でも真実は明らかにされず、残るのはただ人間による裁きだけ。それが社会秩序をつかさどる司法の仕組みなのだと思った。 -
毎朝新聞社会部の遊軍として働く打野の元に、早朝6時から電話をかけてきた河本絵里は、「あたし、任意同行かけられちゃった」とだけ告げて電話を切った。彼女は元看護師であり、現在はスナックを経営している女で、以前働いていた有料介護老人施設「ロワジール奥多摩」で入所者の生爪を剥いだり、入所者の2人を川に突き落として殺した容疑で以前から警察に疑われていた女だった。
スナックで飲んだことで面識があり、好意も寄せられている女が、本当に事件の犯人なのかそうでないのか。記者としての職業意識と、男として河本を可哀想で信じてやりたいと思ってしまう感情との間で揺れ動く打野。警察は法律ギリギリのラインで自白をさせたことが明白で、河本は自らを支持する者たちの先頭に立ち、冤罪を訴える。…が、その姿はどこか浅はかで薄っぺらさが漂う。防犯カメラの件で事件がひっくり返るのも安っぽさを感じるし、いまいち入り込めなかった。 -
理由なき殺人、疑惑の元看護師。果たして事件の真相とは…?
新聞記者の視点から物語は進んでゆく。リアリティ溢れる裁判シーン等、さすが現役の法律家ですね。
途中はノンフィクションを読んでいるような感覚になりました。これぞ魔性の女、だろうか。 -
著者が弁護士さんということで、とてもリアルに仕上がった作品だった。
専門用語が多い割には、読みにくさはあまり感じなかった。
伏線を隠そうとせず、まるでドラマの予告のように使って表に出し、
後に引っ張る書き方には好き嫌いがあるだろうなと思いながら読んだ。
推理小説ではないし(一応白黒はつけなければならないが)問題はないかと。
やっぱり魅力を感じない女だった。なぜ肩入れしたのかも分からない。
間に挿入された同期の友人話のほうがうんと入り込めた気がする。 -
裁判についての話は初めて読んだかもしれないけど、とても面白かった。
実際に裁判員制度も始まっているのだから、いつ、自分の身に起こるかもしれないと思うと、本当にすごくリアルな描写だったと思う。
やはり漢字や聞きなれない単語が多かったので、途中読み詰まりになってしまったけど、時間がある人には一読する価値ありです。 -
映画の「接吻」をちょっと思い出した。
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高級老人ホームで2人の老人が殺される、容疑者としてあがったのは女性看護師。実際、テレビでも見かけるような、派手なパフォーマンス、言動を続ける容疑者、その容疑者に振り回されないよう慎重に取材を進めようとする新聞記者。事実を淡々と積み上げていくという手法。真相は明かされない。リアルなのかどうかわからないけど、法廷の場面が丁寧に描かれます。裁判員制度導入を控えて、勉強にはなるかも? でも、結局、裁判で判明するのも真実とは限らない、神のみぞ知る。
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冤罪をかけられ、まるでアイドルのようにファンを集める女性と
彼女に取材を続ける男性。
弁護士が書いただけあって、裁判についての内容が細かい。 -
老人ホームの職員の女性が容疑者として逮捕されるが
無罪を主張。
本当は白なのか黒なのか、読者を迷わせる。