殺意の構図 探偵の依頼人

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929206

感想・レビュー・書評

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  • 放火殺人の容疑で逮捕された、被害者の娘婿であり養子でもある、諒一。
    彼が弁護人に指定したのは、さして親しくもなければ、刑事事件は専門外の弁護士だった。

    ミステリ。

    状況証拠が集まっているのに、信じがたい供述しかしない、諒一。
    次々と起こる、不可解な関係者の死。

    女性たちが、それぞれの視点で事件の真相を推測していく、第2章が面白かった。

    資産を持つ男と、その妻、娘、娘婿といった一族のドロドロと愛憎劇。
    携帯電話が登場するので、時代設定はそこまで古くはないはずなのに、昭和の作品を読んでる気分。

  • 関係図が最初分かりづらくてなかなか難しかったけど、最後の最後でビックリな感じの。探偵さん、そこで関わってくるのか、みたいな。

  • あまりにも綱渡り過ぎではあるけどすばらしい

     ダブルどんでん返しっていうのかな。この返し方は「そんなことあり得ないよなぁ」とは思うけれども、すばらしくかつ綺麗に決まる。人物が平坦に感じるから感情移入できないし、核心である梅酒ぎとてもわかりにくいし、偶然に頼ったトリックが多いと感じてしまうから現実感が薄くなるのだが、半分以降の真相解説からはなかなかの物語になるし、そもそもそんなことは些細だと思うほどのどんでん返しに感心。

     そして一番の驚きは作者さん自身にあった。1947年生まれ。東大法学部の弁護士さんが、60過ぎてから執筆開始だって。すばらしいなぁ。まだまだ現役で頑張ってほしいな。

  • 2016.4

  • 資産家一族を中心とした、放火の冤罪事件を巡って話が二転三転する。誰が真実を知っているのか。偽りの行動を取っているのは誰なのか。話も語り手が交代しながら進む形式だが、語り手が変わると当然ながら、見えなかったものが見えてきて、また新たな疑惑が持ち上がり展開から目が離せない。まるで、コーヒーを飲みつつプロローグを読み、そこから話にはまり込み、これで解決かと思いながら飲み忘れていたコーヒーの存在を思い出し飲みつつエピローグを読んでいたら「そのコーヒー、こっそりヒ素を入れました」と言われたような背中がヒヤッとする衝撃的ラストだった。

  • 冤罪事件で無実判決を勝ち取った諒一だが、言動が胡散臭い。章が変わり暮葉の視点・佳苗の視点それぞれが興味深かった。あの人もこの人も怪しいように感じる。どんどん複雑になってくる。当然、私も混乱してくる。

    別荘の地下室にたまった水の水道料金、さぞかし大変な金額になったことだろう。そんなにたくさんの水がジャブジャブと流され続けて・・・あぁもったいない。さらに地下室のカビや腐食も気になるところ。そんなこと私が心配してもしょうがないんだけどさ。

    親族関係である峰岸家、今村家で次々と死者が出てしまう。壮絶な死に方。苦しかっただろうなぁ。

  • 犯人がろくでなしという点では前二作同様だが、周囲の人物にまだ救いがある。

  • 途中まで淡々と進んでいくけど最後におぉっ!!ってなった

  • 2014.7.14.真相、真犯人がわかってもあまり興奮がなかった。それほどでもないなって思って、最後まで読んだ瞬間!な、なに?そうだったの?なにより驚きました。さいごの一撃もの?というのでしょうか。わけありな人物が早々に死んでいく展開にはてな?だった一筋縄ではいかない展開にもっと一筋縄ではいかないラスト。ラスト3ページまでは☆3つ。ラストで☆5つかな。ちょっとアンフェアなものを感じるけれど最後の最後でしてやられて満足しましたo(^_-)O

  • 街の弁護士・衣田征夫は、不慣れな殺人事件を担当することになった。容疑者は知人の峰岸諒一。彼は妻の父で、養父でもある巌雄宅に放火、殺害した疑いで逮捕された。現場には諒一のライターが落ちていて、巌雄を罵倒する声を聞いたという証言もある。さらに彼の顔と手には火傷の跡が…。だが、諒一は否認を続け、弁護人の衣田にも詳細を話さない。そんなさなか、諒一の妻が別荘の地下で水死した。すると諒一は言った。「妻が死んだ以上、もはや秘密を守る必要はなくなりました。すべてをお話しします」―。とある冤罪事件に端を発する連続不審死。複雑に絡み合う家族関係、見えない利害対立、狡猾な犯行計画―。(あらすじより)

    元弁護士の作者による本格ミステリ。
    非常に落ち着いた文章で、なぜか昭和の香りがする。あと二時間ドラマ。思いがけずどっしりした作りだったけど、二転三転する展開が面白く、最後までするすると読めた。
    ただ、あまりにも淡々としていたので、新聞記事を読んでいるかのようで誰に対しても共感しづらかった。憎悪や敵意、執着、空虚感はひしひしと伝わってきたが、いまいち愛情が感じられなかったので、みんななんでそこまでしたの、という印象だった。

著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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