野球の国

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334973865

感想・レビュー・書評

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  • 地方球場で行われる野球の試合を追いかけたロードムービー的エッセイ 
    『小説宝石』に連載されたものとのこと

    沖縄に始まって、四国、台湾、東北、広島、九州の球場を巡り歩く
    奥田さんが小さい頃から中日の大ファンだということは他の著書でも語っておられるが、それに留まらず

    プロ野球も一軍だけでなく二軍の試合、引退された選手たちのマスターズリーグ・アマチュアの試合、草野球.
    さらに試合だけでなく、野球場に集う人々を含めたその雰囲気が心底好きなんだと思った

    沖縄読谷球場を訪れた時の一節

    一面がサトウキビ畑のなだらかな丘をのぼっていくと、稜線の向こうに、森が徐々に姿を現してくる。ああ、あの中に野球場があるのかー。そう思っただけで、じんときた。
    丘の上の野球場。なんて素晴らしいのだろう。丘の上に何を建てるかで、町の民度がわかる気がする。住民のやさしさがわかる気がする・・・

    私も行って、丘の上の野球場を見たくなった
    ケビンコスナーの「フィールド オブ ドリームス」という映画を思い出した

    ファウルのたびに野球少年がボールを拾いに駆けずり回る
    外野席の芝生で、お弁当を広げピクニック気分の家族連れ

    そんな人々を見つめる奥田さんの目がとてつもなく優しい

    さらにこの本のおもしろさは、奥田さんが日頃のストレスを臆面もなく吐露し、弱音を吐き、毒を吐いている
    ところだ

    読んでいて、何度声を上げて笑ったことだろう
    なかなか気難しい性格のようだが、私には正直でとてもかわいい人に思えるし、同じB型人間の私は、似たところも数多くあり、親近感を持った

    やっぱり奥田英朗はいい







  • 奥田英朗が野球のキャンプや地方の公式戦やイースタンリーグ、果ては台湾での試合にまで出かけていってしまうという、男一人旅の紀行文なのですが、野球に詳しくない私にもすっごく楽しめる素敵な一冊でした。


    ただいま、奥田英朗のスポーツエッセイ追っかけ中です。(*^_^*)

    奥田さんは野球ファンで、ご贔屓は中日ドラゴンズ。
    でも、これはガチガチの中日応援歌ではなく、「野球をやっている男たちに対する愛情溢れる奥田さん」を語る一冊なんですね。

    野球は面白くなければいけない、とはよく新聞でも言われていることだけど、私にはその加減がさっぱりわからない。でも、観ている人たちを第一に考えれば、野球場でも試合運びでも、もっと面白くなるものなんだ、ということががこれを読んでひしひしと(*^_^*)伝わってきました。

    奥田さんは、野球という特殊な力を持つ男たちによってスカッとした気分を味わせてもらいたいんですね。勝てばいいってもんじゃない、「いいもの」を見せてくれよ!という気持ちが私なんかにもよくわかりました。

    奥田さんは、応援団で野球を見に行っているわけではないので、各地の空気や食べ物も楽しみます。観光は苦手のようで、その偏屈さがまたちょいと可笑しい。
    主人にも勧めたら、これを読んでると眠くなるなぁ、だって、のんびり野球を観て、ビールを飲んで、マッサージしてもらって、の繰り返しなんだもの、と。あはは・・・ホントだ。(*^_^*)

    文章には、自分が世間の多数派ではないことに対する誇りとほんの少しの寂しさが感じられ、(とんだおセンチ野郎だった、なんて前の文を反省したりしてね)そこがまたいいです。
    軽妙な文体で笑わせられるのに、どこか、それだけじゃないぞ、ってところも。

    うん、いいなぁ、奥田さん。
    今日もマッサージ、してますかぁ??

    • じゅんさん
      >たまもひ様 
      おっ!たまもひさんは、小林投手と共に阪神へ、だったんですか。確かにあの“事件”は噴飯物でしたものね。私は野球のことはほとん...
      >たまもひ様 
      おっ!たまもひさんは、小林投手と共に阪神へ、だったんですか。確かにあの“事件”は噴飯物でしたものね。私は野球のことはほとんどわからないのですけど、あの縦じまのユニフォームがカッコいいなぁ、とそれだけで阪神ファンを自負しております。
      今、矢継ぎ早に奥田さんのスポーツエッセイを読んでおります。どれも面白い!!
      ご紹介、どうもありがとうございました。
      2012/01/17
    • たまもひさん
      読みましたよお。楽しかったです!奥田さんの偏屈ぶりに笑いました。
      どこへ行っても、そこに住んで作家以外のものになる自分を妄想する奥田さんが...
      読みましたよお。楽しかったです!奥田さんの偏屈ぶりに笑いました。
      どこへ行っても、そこに住んで作家以外のものになる自分を妄想する奥田さんがおかしいような、なんか気の毒なような。
      マッサージで疲れを癒しつつたくさん書いてね、なーんて思いました。
      2012/01/25
    • じゅんさん
      >たまもひ様 
      うんうん、そうですよね。奥田さんって何かというと、“そうだったかもしれない人生”をシミュレーションされる・・。おかしい、だ...
      >たまもひ様 
      うんうん、そうですよね。奥田さんって何かというと、“そうだったかもしれない人生”をシミュレーションされる・・。おかしい、だけではなく、気の毒、と言われると、ホントだよね~~!と握手したくなります。(*^_^*)
      2012/01/25
  • お気楽旅行いいな

  • とても羨ましい。こんな旅行をいつかしてみたいものだ。

  • プロ野球に興味がゼロなので、選手名などはちんぷんかんぷんだったが、地方野球場の存在や、そこに集まる人たちの姿には、何かいいものがあるなと思わせられた。球団には興味がないけど、野球というスポーツが嫌いな訳じゃないし、筆者の言うように、野球場に出かけるという体験は存外に楽しいものなのかもしれない。いつか行ってみようかなとちょっとだけ思った。

  • おもしろかった〜
    今まで一軍の試合しか見たことなかったけど、今度是非に郡の試合も見てみよう!って、思いました。

  • 著者が日本のプロ野球をキャンプから二軍、シニアリーグなど、地方開催を追いかけて観戦した旅行記。少し笑えて、暇つぶしにはいいかも。

  • 野球を壮大に語る本でもなく、旅を推奨する本でもない。「紀行本」とあったがそんな優雅な雰囲気はない。食べ物の話も出てくるが、グルメ本でもない。愚痴と絶賛が交互にでてくる。私は、好き。

  • ☆☆$$面白かった。$$著者の野球への愛&毒が非常に良い。$$野球への見方を変えさせられた(良い方向に)1冊。

  • 奥田英朗の野球観戦のため地方を巡る旅の旅行記でして、2月の沖縄キャンプ地から始まり、四国編、台湾編、東北編、広島編、九州編と続いていきます。
    旅自体は野球観戦の空き時間に映画を見たり、土地のグルメを堪能したりとどこに行ってもワンパターンの繰り返しなのですが、僕がライフワークにしつつある野球場巡りに通じるものがあり、興味深く読み進めましたね。正直こんな旅してみたいと羨ましく思いました。僕に休みとお金を下さい(笑)
    特に2月の沖縄なんて各球団がキャンプをしているから旅したら楽しいだろうなあ…。行ってみたいなあ。さすがに原チャリでは行けないしなあ…。(当たり前だ)でも、フェリーと組み合わせれば…なんて考えてみたりして…。うーん、旅したいそんな気にさせる作品でした。

  • いやいや楽しかった!もうずっと読み続けていたいくらい。奥田さんのへその曲がり方がすごくいい感じだ。世の大勢とは確実にずれている。「まったくどうしてこうなんだろうね。でも仕方ないんだもーん」と言う声が聞こえてきそう。

    そう、本当に奥田さんのエッセイにはおしゃべりを聞いているような快さがある。読んでいて筆者に語りかけられているように思う文章に出会うと、本当に嬉しくなる。それは私にとっては、豊かな物語に浸るのと同等の、読書の醍醐味だ。

    庄司薫、村上春樹、田辺聖子、佐藤愛子、三浦しをん、高野秀行、喜国雅彦、山下洋輔、椎名誠…、同じ話を繰り返し繰り返し聞いてまったく飽きない私のお気に入りの方たち。奥田英朗さんが新規参入。いやあ嬉しいなあ。お友達(と呼ぶのもなんだけど)が増えたようなすごく豊かな気持ちです。

    • じゅんさん
      同じ話を繰り返し聞いても飽きない!
      よぉ~~くわかりますよぉ~~!(*^_^*)
      奥田さんのリズム感がとても好きです。
      そして、ヘソの...
      同じ話を繰り返し聞いても飽きない!
      よぉ~~くわかりますよぉ~~!(*^_^*)
      奥田さんのリズム感がとても好きです。
      そして、ヘソの曲がり具合も。
      2012/01/25
    • たまもひさん
      「何回読んでも楽しい」、これって落語の感覚ですね。次こう来るとわかっているのに、いやむしろわかってるからこそ「ほら来たー」と嬉しがってしまう...
      「何回読んでも楽しい」、これって落語の感覚ですね。次こう来るとわかっているのに、いやむしろわかってるからこそ「ほら来たー」と嬉しがってしまうのですよ。

      我が夫は、以前読んだ本だと気づかないまま半分くらいまで読んじゃった、ということ以外に本を再読したことがないそうな。なんともはや…。

      好きな本をいそいそと読み返すのは人生のヨロコビだ!とわたしは言いたい。
      2012/01/26
  • 奥田英朗の野球話って、気ばらしに絶好。
    野球を観るために、あちこち行くだけの話なのだが・・。
    評論家ぶらずに、語り口があくまでも自分目線で、そこが抜群に面白い。

  • キャンプを見に行きたくなった。マッサージもいいな!

  • 野球には全く興味ないけど、僕の大好きな作家の紀行エッセイということで、手に取ってみました。

    内容は、野球のことはどうでもよく奥田色にどっぷり染まってて、作者が身近に感じるような軽〜いノリの作品。

    淡々として、毒雑で、自分を持ち上げ、貶めて。
    とぼけた感がまたいいバランスで、とってもおもしろかった。

    僕もこんな風にフラフラとどっかに行こ。GWはどうすっかなぁ。

  • 野球好きの奥田氏があちこちの球場に野球観戦に行った紀行文です。
    野球にはあまり興味のない私ですが、観戦にいきたーーーいと思いました。野球って楽しそう♪

  • 一人旅

  • 野球観戦記ではあるけれど、野球ファンならずとも面白い。ユーモアが随所にあり、読み物として仕上がっている。

  • 未読

  • 奥田さんは中日ファンだから読んでて面白さ倍増な気がした。でもでも、あれですね、もし私が野球の事知らなかったからどうなのかなーとも思った。案外知っている選手の名前がいっぱいでたから。やっぱり面白さは変わらないけど、

  • 旅ものシリーズ?第一弾。プロ野球にかこけて日本中を一人旅。ついでに台湾も。野球とマッサージと映画館と一部グルメの旅。何度も読み返してしまう、そんな本。

  •  野球観戦(←主)とマッサージと映画と服装のこだわりなどについて書かれています。奥田さんはなんだか神経質気味というか考えすぎというかうまくいえないけれどそんな感じかなと思います。ちょっと暗い感じに行きがちですが、突っ込みや書き方がおもしろいのでOKです。旅に出たくなってきましたー。

  • 野球観戦をメインにした旅行記風エッセイ。しかし奥田さん独特の視点で試合より観客席の方を見ていたりと一味違った感じで中々面白いですよ。

  • エッセイ。<br>普通。<br>書き言葉はいいけどね。

  • 本作の表紙を見れば、野球って青空の下でやるもんであると主張しているかのごとくである。
    <br>詳しい感想は<A HREF="http://torakichi.jugem.cc/?eid=100 ">こちら</A>

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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