- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334975609
感想・レビュー・書評
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大前研一らしい切り口から現在の日本の現状に警笛を鳴らしている。鎖国国家日本の行く末を、本気で変えなければいけないという気持ちになった。適切な武器を身に付けて、世界を舞台に活躍できるよう勉強していきたい。
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今、日本に暮らし、
これからも日本で暮らすなら、
ぜひ読んでおきたい一冊。
人生は人任せにできない。 -
自分自身が一番恐れていることが、「知の衰退」なのだと思う。そんな観点でまとめている本に関心があって購入してみた。大前本。最近感じる社会の低能化について、厳しい指摘がなされていた。個人的にも後輩としてみる人たちに総じて感じることであったので、深く共感した。その人たちは大変高学歴(東大理系学卒、院卒)なのに、どうも自ら問題・課題を見つめ、解き明かすための思考・整理し、プロセスと立案した仮説を検証するをはしょりがちだった。著者は集団となると低IQになってしまう点について特に危機感を感じて論陣を張っているが、やっぱり「政府・官僚の愚民化政策の成功」という指摘が一番ショッキングで恐ろしいことだと思った。また、マネーほどのスピードは無いかもしれないが、この状況を見極めた思考し行動できる人たちは既に国外へとシフトし始めているという現実にもっと関心が高まってくるのだろう。そろそろ私も国外逃亡プラン実行のときなのかな。まあ、少なくともマスコミを含めて、巷で流されているニュース・情報はそのまま鵜呑みにしないで自分なりに考えながら取り込む努力を続けるようにしよう。(WBCが韓国では凄く盛り上がっているような報道がされているが、韓国TVの視聴率を見てみると実はドラマの方が視聴率が数%高く、新聞が書きたて煽っているに過ぎないとか、いろいろあるよね)
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【知の衰退からの脱出】
A.パスカル:考えることは疑うことからはじまる。
B.バカっぽく見えるのは考えていないからだ。
C.原発を完全な形で供給できるのは会社は4社。日立、東芝、三菱重工、アレヴァである。
D.大前研一ライブ(bbt757.com)
E.毎週土曜日に3時間時間を作り自分が関心があることについて、Googleでネットサーフィンをする。そしてどういうことであるか?私ならこう考えるとレポートにまとめる。自分の知識の棚が増えていく。 -
参考図書
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著者が言うように日本人の知力低下は心配だが、本当は二極化しているだけかも。
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参考になる!
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すばらしい!
偏差値教育の問題点、自分で考えることのたいせつさ。
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日本人の知的衰退を憂う著作は山ほど出ているわけだが、本書はその大前版。
知的衰退を実感した出来事として、自分の本が以前ほど売れなくなったことを挙げているのはいかにも大前らしい。
いわく、“自分は1980年代に『新・国富論』や『平成維新』といったミリオンセラーを出したが、いまあのような本を出してもそんなに売れないだろう。政策提言集のようなお堅い本は、いまやすっかり売れなくなったからだ”(趣意)。
そして、藤原正彦の大ベストセラー『国家の品格』を、“内容は「思考停止のすすめ」「鎖国のすすめ」「スモールハッピネスのすすめ」でしかない”とこきおろしている。
「オレ様の本がミリオンセラーにならず、『国家の品格』があんなに売れるとは、日本人の知的衰退は深刻だ」……と、さすがにそこまでは書いていないが、行間にそんな含みが感じられる書きぶりなのである。
そして、大前は近年日本に起きた出来事の中に、日本人の知的衰退を読み取っていく。昨年の金融危機以後の「日本株一人負け」現象、ゼロ金利に甘んじて日本の銀行に預金しつづけていることなど……。いまや日本は「低IQ社会」に堕し、「一億総経済オンチ」状況に陥っている、と大前は言う。
後半は、“どうすれば我々一人ひとりが「知の衰退」から脱出できるか?”という提言が中心。
440ページの厚い本であり、内容も税制改革、教育改革の提言から世界のビジネス状況概観まで、盛りだくさん。卓見や有益な情報もちりばめられており、読んで損はない。
とくに、食品偽装問題や年金問題などに関する独自の見解は、「大前流メディア・リテラシー講座」という趣もあり、傾聴に値する。
また、第5章に大前流「情報活用術」が簡潔に述べられており、わずか5ページほどながらも有益だ。
そのポイントは、“情報はただ集めるだけでは無意味で、自分で加工するプロセスこそ重要である”というもの。そのため、大前は教え子たちに、週一回3時間ほどかけてネットサーフィンさせ、得た情報を要約して自分の考えを述べるレポートを書くことを義務づけているのだとか。
ただ、大前本ではいつものことだが、思いこみだけで書かれたトンデモ話も散見されるので、注意が必要だ。
たとえば、“日本人が自分の頭で考えないようになった最大の原因は偏差値教育だ”という極論が、堂々と展開されていたりする。
もっと噴飯ものなのは、『少年ジャンプ』まで槍玉にあげていること。
《『少年ジャンプ』で描かれるのは、編集方針でもある「努力・友情・勝利」という3つの要素が入った物語である。(中略)
しかし、その物語というのは、“近所で評判のラーメン屋の看板娘と仲良くなれたらラッキー"というような世界だ。勝利は社会的な勝利ではなく、極めて身近な狭い世界でのハッピネスなのである。(中略)
『少年ジャンプ』の編集方針は、商業誌という観点から評すれば素晴らしいものだ。しかしながら、そのおかげで当時の子供たち(いまの中核世代)がどういう思考回路を持つようになってしまったかを考えると、私は暗澹たる気持ちになる。粘り強さというものがなく、小さいことで簡単に満足してしまう。まさに、スモールハッピネス人間を大量につくってしまったのである。
たとえば子供のころから『三国志』などを読んで育てば、戦略論や組織論といったものを考えるきっかけとなったかもしれない。》
いまの中核世代(の男たち)がダメなのは、子どものころに読んだ『少年ジャンプ』のせいなのだそうだ(笑)。ツッコミどころありすぎだが、大前はどうやら本気で書いているらしい。
もう一つヒドイのは、第10章「21世紀の教養」で、“古典的教養無用論”をブチ上げているところ。
《私が世界のリーダーたちと会食してわかったのは、その席ではもう文学の話も音楽の話も出ないということだ。(中略)
世界のリーダーたちが古典的教養から遠ざかるようになったのは、知識としての教養が意味を持たなくなったからである。》
大前はそう言い、環境問題や社会貢献に対する見識をもち、サイバー社会の最先端に通暁していることこそがこれからの「教養」なのだという(なぜなら、“「世界のリーダーたち」と会うと、きまってその手のことが話題にのぼるから”だそうだ)。
大前にとって教養とは、“役に立つから身につけるもの”でしかないらしい。しかも、その「役に立つ」とは、エリートたちとメシを食うときの話材になる、という程度のことでしかないのだ。
日本のオピニオン・リーダーの1人・大前がそんな考えなのだから、なるほど、我が国の「知の衰退」はまことに深刻である。ここはぜひ、本書でケンカを売られた藤原正彦に大反論してほしいところだ。