「知の衰退」からいかに脱出するか?

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334975609

感想・レビュー・書評

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  • 丸投げせず自分で考えることが重要。
    この教育、資産は自己防衛するしかない。
    これからの社会を生き残っていくために必要なことを教えられた本。

  • 個人個人の能力は高くとも集団となると何故こう愚かなのか。

    日本で生まれ育った評者は常日頃、そういう思いを抱かずに入られなかったが、大前研一はそれを「知の衰退」として嘆いている。

    政府(文脈からしておそらく70年年代半ば―三木か福田?)が愚民政策を行っていると明言していたというのには驚いた。

    残念ながら、その政策は大成功だっただろう。

    思考停止という状態がその一番の元凶である。

    「漠然とした不安」という理由で自らの命を絶ったのは芥川龍之介だが、今の日本は全体として晩年の芥川の状態にあるのではないか。
    KYという言葉に象徴されるように、その場の雰囲気に流されることが美徳であるかのようになっているこの国には不穏な空気が立ち込めている。

    折に触れ本書を手に取り、自らの頭で発電し発言するよう努めたい。

  • パワフルな人だなあ。でもこういうギラギラしていてパワフルで格好いいオッさんって自分が子どもの時に沢山いたような気がするけど・・。

    本書のほとんどに共感はしますが、ひとつだけ「ちょっと」と思う所は お笑いブームについてです。現代のような殺伐とした世の中でお笑いブームが生じるのはある意味健康的なことだと思います。ただ、今の日本はその度合いが酷すぎるのではないかと。

  • 目次
    p005 Introduction
    p029 第一章 「低IQ社会」の出現 あなたは「低IQ社会」の一員に甘んじてはいないか
    p079 第二章 感性不況の根は「知の衰退」
    p119 第三章 1億総「経済音痴」
    p161 第四章 政局と「集団知」
    p201 第五章 ネット社会と脳
    p239 第六章 無欲な若者と学力低下
    p275 第七章 「集団IQ」を高める教育改革
    p319 第八章 「低IQ社会」で得をしているのは誰か
    p353 第九章 勝ち組から学べ
    p399 第十章 21世紀の教養


    第一章
    p064 最近では国際的なビジネスマンのディナーの席では、会話がYouTubeの話題にあることが多くなった。
    p064 放送は通信のワン・オブ・ゼムになろうとしている。
    p074 日本の経済規模から言えば、おカネを取って世界中で話ができる人材が100人ぐらいいてもおかしくない。

    第二章
    p092 (外資系ファンドによるブルドックソース買収の件)1社が生き延びた陰には累々たる中小・零細企業の骸が転がっていることを忘れてはいけない。
    p096 完了の権限強化が進むと経済的非効率性は増大する
     消費者保護 食品安全、建築安全、貸金業上限金利
     投資家保護 金融商品取引法(窓販売、J-SOX、ファンド規制)
     労働者保護 覇権労働法、社会保険庁
     青少年保護 携帯有害サイトアクセス制限
    p105 日本の消費者は”自分で考える”ということを放棄し、安全をすべて他人任せにしている。
    p110 ”持たざる口”日本がエネルギー大国になるための具体案>「原子力発電へのシフト」
    p115 第一次石油ショックのあと、当時の通産省は見事に産業構造の転換を図った。

    第三章
    p124 ゼロ金利政策を通じて家計から金融機関及び企業へと所得移転が進んだ。
    p131 孫正義氏「失敗しても生まれたときの状態に戻るだけだ」
    p136 日本人は死ぬ瞬間がいちばん金持ちである。
    p139 葬式代というものは、生きている間に交渉すると3分の1程度にコストを抑えることができる。
    p139 ”いざ”という時のために貯められるだけ貯め、しかしながら、その”いざ”が定義できていない。
    p140 パソコン上に「鱗捕集機」というものをつくって、「目から鱗」と思ったときは、それを集めておきなさいと指導している。
    p145 アングロサクソンの世界では、相続税がほとんどないので、貯えたものを次の世代に受け継がせることができる。ファミリーは必死になって子供に資産運用について教え、その教えが継承されていく。
    p147 「去年の自分の資産の運用実績を見せろ」と顧客から言われて、手口まで含めて開示できるFPがどのくらいいるのか。
    p149 資産課税:国民金融資産1500兆円に対し1%の資産課税をすれば、15兆円の税金になる。固定資産・不動産が2000兆円、1%で20兆円の税金。
    p150 サラリーマンの源泉徴収を一国も早く止めるべき。
    p151 付加価値税は道州の産業基盤づくりのため、資産税は地域コミュニティで安全と安心を得るため。
    p153 なぜ、勤務先の会社があなたの個人情報をすべて握っているのか、疑問に思わないのだろうか。
    p154 (源泉徴収制度は)戦時中に政府が戦費を調達しやすくするためにできた制度。
    p155 おカネのことを自分自身で考えない人間が、自己責任など取りようがない。

    第四章
    p164 2005年の総選挙で小泉自民党に投票して、2007年の参院選で民主党に投票した人は、ようするに何も考えていないのではないでしょうか?

    第五章
    p210 (インターネットにより)これまで情報を獲得するために使っていた時間を、今度はすべて思考に使えばいい。そうすれば、人間はどんどん賢くなる。
    p210 本を読むのに必要とした時間を1とすれば、5ぐらいの時間を「何が書いてあったのか」「それは自分・会社¥社会にとってどういう意味があるのか」、そういうことを考える時間に充てなさい。
    p211 あらゆるものを交配すること(クロス・ファータリゼーション)によって、人々の「知」が高まっていく時代である。
    p213 私のやっているSNS、アゴリア。アゴラとガイアを合せて名づけた。地球規模で議論をするという願いをこめて。
    p220 ネット社会は、シスオペやシスリーダーが出やすい社会。
    p221 リアル世界ではマスメディアの弊害が非常に大きい。マスメディアに従事する人たちは、非常に遅れている。
    p223 21世紀的な「解」を求めるなら、日本のリアル世界より、サイバー世界のほうがはるかに近道なのではないだろうか。
    p226 「誰が言ったか」ではなくて、「何を言ったか」
    p230 「ウェブ2.0」時代というのは、むしろネットを利用しないでいるほうがバカになる時代なのだ。
    p231 情報というものは、加工しないことにはなんの価値も生み出さない。
    サイバースペースから情報を抽出する私の方法
    p232 10年ほど前から新聞を購読していない。新聞ばかりかテレビのニュースも見ない。とくにNHKのニュースは人畜無害でなんの役にも立たない。
    p233 雑誌は、あえて編集方針に偏りがあるものばかりを購読する。
    p233 情報に対して受身であってはならない。
    p234 自分で加工して読み込んだ情報を4回見直す。ほとんどの情報が記憶に残る。
    p237 「あらゆる技術は軍事目的で開発され、ポルノ目的で広まる」
    p237 「次の段階」−それは人々が学び、情報武装して賢明な市民となり、マスメディアのバイアスから解放されること。

    第六章
    p254 首相は私にこう言った。「大前さん、わが国は愚民政策を施しているから大丈夫だよ」

    第七章
    p291 最近の北欧諸国では、「teach」の概念は教育においては間違いだと考えられており、むしろ生徒が「learn」するのを助けるのが教師の役割であるという認識に変わっている。
    p293 気がつけばアジアで日本人だけが英語を話せない。
    p297 台湾は日本語で日本から機械や部品を買い、中国大陸において中国語で中国人を使いまくり、英語で世界中に売りまくる。
    p297 ドイツや韓国、「今後は英語で海外の工場経営をできなければ部長以上にしない」
    p297 英語の教員を総取り替えする。
    p298 法律を改正して、英語を母国語とする国で教員免許を取得している人間を、日本でも正式な教師として認めることだ。
    p300 どうすればいいのか?社会人全員が学校教育に参加するくらいのドラスティックな変化を学校にもたらすことである。
    p301 現在の職業教師に改革を期待しても無理である。
    p308 戦前の産学協同が産軍複合体をつくって国をおかしくしたから、戦後は産学協同を断ち、大学をアカデミックにしようとした。その結果、象牙の塔、学生のレジャーランドと化してしまった。

    第九章
    p355 21世紀の勝ち組は中小国に目立つ。
    p358 なぜ日本は長期的停滞を続けているのか?その最大の原因は何かと考えれば、傑出したリーダー、国民を引っ張っていけるリーダーがいなかったからである。
    p360 21世紀のリーダーに必要な資質・能力
     ?方向を示す
     ?程度と方法を示す
     ?具体的にやって見せる
     ?できる人間を連れてくる。多くの国や企業が失敗するのは、すべてを国内、自社内でやろうとするからだ。
    p362 リー・クワンユー:「わが国は都市国家である」と彼はまず規定し、都市国家として反映するにはどうすべきかと考えた。それで、オランダ人のウィンセミウスを招いた。
    p365 アメリカから学ぶべきこと:移民政策、世界に開かれた国づくりをして、優秀な人材を集めるということ。
    p367 外国人労働者を受け入れて衰えた国はない。
    p370 日本が2番目に学ばなければならないのは「小国」、シンガポール、アイルランド、デンマーク、フィンランド、スウェーデン。
    p373 韓国の変化で驚くのは、まず大学教育であり、次にサムスンなどの大企業 あ
    の変化である。
    p373 世界から学ぶ。そして、世界に出ていく。そういう明確なビジョンを持っていた人物と言えば、福沢諭吉。
    p384 EU参加のための最低限の条件「マーストリヒト基準」
     ?インフレの抑制、?金利の低下、?財政赤字の削減、?政府債務残高の削減(GDP比60%以下)、?自国通貨の為替レートの安定
    p388 中央政府が地方を「勝手にやれ」と突き放したから、経済発展を遂げたのである。朱鎔基:中国人民銀行総裁、1998年から国務院総理。「生きるか死ぬかは自分で考えろ」
    p391 中国:「孔雀の論理」人・金・物が集まる。国単位ではなく都市単位での繁栄。

    第十章
    p404 地球市民としてあなたないま何をしているのか?
    p410 21世紀の教養は、「哲学」や「ギリシア神話」に代わって「ネット社会の最先端の動き」
    p412 自分自身がサイバー空間に身を置いていないと、知識だけでは話せない。
    p412 サイバー時代の現役人間なのか、それとも新聞で満足しているような旧時代人間なのか。
    p413 ウェルチ"Ken, What's new?" 「前に会ったときから、その後キミに起こった新しいことは何か?」前と同じことを言おうものなら「おまえは進歩していない」と言われてしまう。
    p414 彼はいくつかの社外重役をやっているが、その立場にいれば新しい情報はどんどん入ってくる。
    p419 頭でっかちの教養人よりも、与えられた命題を解いていく能力、そしてその能力を知識ではなく行動に移せるかどうか。
    p423 タクシン元首相「タイの国策をなんとかしてほしい」「一人当りのGDPが5000ドルの経済にまで持っていってほしい」
    p425 中国「ザ・プロフェッショナル」が「所望賞」を受賞した。
    台湾「ロウアーミドルの衝撃」が20万部売れた。
    かつて私の「新・国富論」「平成維新」が日本では100万部売れた。いまの中国人や台湾人は、すごい勢いで私の本を読んでくれるということだ。p425 (アジア地域の政治家・経営者の)関心は、私の関心とほとんど一致している。
    マハティール:「企業参謀」を50冊買って帰った。官僚のトップたちに配って、全官僚必読と指定した。私のところに電話をかけてきて「アドバイザーになってくれ」と言ったのである。
    p435 ポルトガルが衰退したのは、いつまでも植民地支配の夢を追い続け、近代国家への転換が遅れたこともあるが、それよりも、国民にまったく危機感がなかったことに尽きるだろう。

  • ビジネスの定説が覆され、なにが正しいか答えのない時代に突入した。本書は、このような時代の中のビジネスパーソンが生き抜くための指南書である。論理的、弁別的な著者だけに、全体的にドライなイメージはあるものの、「集団知」に対する考え方などは極めて参考になる。 EQばかりが注目されている感のなか、集団的IQの重要性をもう一度考え直す必要がありそうだ。

  • 図書館
    挫折

  • 現在の日本の状況を事実を元に述べられています。
    自分自身の現状に危機感を持つとともに、
    「行動せねば」と思わせられる一冊です。

  • 未読?

    第1章 「低IQ社会」の出現
    第2章 官製不況の根は「知の衰退」
    第3章 1億総「経済音痴」
    第4章 政局と「集団知」
    第5章 ネット社会と脳
    第6章 無欲な若者と学力低下
    第7章 「集団IQ」を高める教育改革
    第8章 「低IQ社会」で得をしているのは誰か
    第9章 勝ち組から学べ
    第10章 21世紀の教養

  • 時間があれば

  • 読了

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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