- Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336045010
作品紹介・あらすじ
惑星ソラリスを探査中のステーションで異変が発生した。謎の解明のために送りこまれた心理学者ケルヴィンの目の前に自殺した恋人ハリーが姿を現し、彼はやがて悪夢のような現実と甘やかな追憶に翻弄されていく。人間とはまるで異質な知性体であるソラリス。そこには何らかの目的が存在するのだろうか。コンタクト-地球外の知性体との遭遇について描かれた、最も哲学的かつ科学的な小説。広大無辺な宇宙空間において、理解不能な事象と愛の記憶に直面し、人は何をすべきか。タルコフスキーとソダーバーグによって映画化された新世紀の古典、ポーランド語原典からの新訳版。
感想・レビュー・書評
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発見から数十年経過しても謎に包まれ、基地に送り込まれた人々は不思議な体験を続けている。
未知ゆえ、ソラリス学なるものも生まれるも解明には程遠い。
緻密に編み込まれたソラリス学に圧倒される。 -
1961年ワルシャワにて初版。
以来30以上の言語に翻訳され「20世紀文学の古典」とされる作品。
構えて読み始めたが、沼野氏の訳は親しみやすく、前半は物語に引き込まれて一気に読んだ。
後半以降、度々展開される「ソラリス」研究のくだりは、あまりに学術的で、あまりに描写が鮮明で、もう何の話かついていけないけど、レムの頭の中すげえと恐れおののきつつ若干ページを飛ばす。(スミマセン)
「人間は他の世界、他の文明と出会うために出かけて行ったくせに、自分自身のことも完全には知らない」p265
ソラリスの意図が理解できないまま、長い歴史を人類は翻弄されてきた。
不可解な現象を前に右往左往する様は滑稽ですらある。
これまで描かれてきた物語では、地球外生物と出会った人類は、平和的関係を築くか、はたまた生死をかけて戦うか、どちらにせよ「地球上に認められる諸条件をただそのまま無限の宇宙に持っていっただけ」p363 であった。
一方、レムが『ソラリス』で示したのは、「コンタクト」そのものであり「理解不能な未知の現象に出会った場合の製作見本(モデル)」p364 であった。
ラストで、「海と会うため」p341 一人ステーションの外に出ていく主人公。
そこで「用心深い、しかし臆病とは言えない無邪気さ」を見せる海に触れ、「まるで一切努力もせずに、言葉もなく、何も考えることなく、この巨人に対してすべてを許せるような境地」p343 に至る。
異質な他者と対峙した時、それに対する「違和感を保持しながら、それでもなお他者と向き合おうとする」p359 姿勢をとり続けること。
親切な訳者解説で、この大作をどうにか理解できました。地球上においても、”未知との遭遇”を経験した際に覚えておきたい。 -
レムは他の作品で一度挫折したことがあり、難解なイメージ。だが、ものすごく惹かれるからいつか全作読みたい…と読力アップを心掛けていたが、ソラリスを手に取るとすんなり読めた!宇宙人ではなく、海という設定も、わだかまりを持ち続ける死人の蘇りも面白い。狂ってゆく過程は上質なホラーをも感じさせるし、SFのカテゴリーを超えた純文学だと思う。荒廃した美しい世界がいまも心に蘇る。素晴らしかった。
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惑星ソラリスに着いてから、ほぼステーション内で物語は完結。ステーション内には主人公ケルヴィン含め4人しかいないという、なかなか密度の濃い作品。リアリティが増す要素でもあるけど、ソラリスの「海」についての様々な論文が示されるが、そこが読むのにちょっと疲れた。
サスペンス要素あり、恋愛要素ありで、楽しめたけど、根底に流れるのは、
人間は人間以外と対等に関係を持てるのか?人は人の形をしたものを探し求めているだけではないか?
−人間形態主義(アントロポロムフィズム)−
という問いかけのような気がした。
それは、今の陳腐化したAIという言葉の世間での使われ方にも似ているのではないだろうか。
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先日読んだ『読書で離婚〜』で課題図書になってた本。ガチガチSFの古典というイメージで未読だったがかっこいい装画と出だしのサスペンス感で期待。が思ってた以上に頭がついていけなかった‥。訳者沼野さんの解説で少しは理解できたかな。
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~はるかな宇宙には『未知なるもの』が待っている by スタニスワフ·レム~
著者自信の言葉がすべての感想をかっさらっていった。
人間形態主義を越えて、人類が見いだせるモノはあるのだろうか?世界観について深く再考させられる本書でした。 -
惑星ソラリスでの非日常的世界とのコンタクトと地球人間の恋が描かれる。「海」は簡単には受け入れてくれない。意志をもって「日常」に疑問を抱かせる。狂気と紙一重の人物たちの思考も面白い。ポーランド語からの訳でこなれていて、いい訳だ。解説での著者自身の本作の言及があり、助かった。興味深い。映画化のできには不満もあったようだ。念願かなっての読書であった。
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