- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344003408
感想・レビュー・書評
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怖いもの見たさにも似たような気持ちだった。書かれていることの全てが余りに生々しく読んでいる最中にドキュメントかと思うほどリアルだった。こんな事件が起こっていたらいくらなんでも覚えてるだろうと思う反面、知らなかっただけで実際に今も片腕や足を切断した老人がいるのかも知れないと思ってみたり・・・。この先、確実に訪れる超高齢化社会にはこんな治療法もアリなんだろうか?手足切断という禁忌を麻痺してるから、どうせ動かないからとやってしまう世の中が来るんだろうか?グロテスクで空恐ろしい。良心や善悪の判断さえも揺らぐ世の中がもうすぐやって来るのかも知れない。
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すごい、やがて来る日か -
2009/05/14読了
すごいな、これがデビュー作か。
内容も構成も面白かった。ただ少しグロい…。
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2007年読了。
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ほんっとに驚かされるけれども、お勧めの一冊。
信じられないような話だけど、吸い込まれる。 -
「右腕が思うように動かない?
なら切っちゃいましょうか。
大丈夫です。まだ左腕がありますからね。
前向きに、前向きに。
動かない右腕を憂うよりも、動く左腕を上手く生かす方が大切ですよ。
最終的に手足を全部切っちゃっても、生きていて、そして本人が幸せならいいんです。
一番大切なのはQOLなんですからね。」
気持ち悪い?わかります。
でも、きっとそれはなんとなーく嫌がっているに過ぎないのです。
そもそも昔は手術や輸血だって気持ち悪かったことなのです。
慣れだよね、人間。
「手術や輸血は仕方ないからいいんだよ」って人がいたら、その人は全く介護の現場を理解しておりません。
究極に人手不足の老人介護。
それはこれからも、進行していく。
限られた資源を上手く割り振らなきゃいけないのはどこの世界でも同じ。それが政治でも。介護でも。
いらないものを切り捨てて何が悪い? -
久坂部さんのデビュー作。
無痛が面白かったので読んでみました、
無痛に比べるとエンタメ度は下なんですがメッセージ度ははるかにこちらのほうが上で現代の老人医療制度について深く考えられさせます。
小説としての完成度はともかくとして読んでみる価値はある本だと思いました。 -
★テーマ、手法ともにうまい★動かなくなった手足は重いだけの邪魔者。なぜそれを切断してはいけないのか。答えが見つかりにくい問いを小説にしてなげかる。「廃用身」という言葉とあわせ、テーマ設定が非常にユニーク。まさに書きたいことがある小説なのだろう。もうひとつ、小説としての書き方に工夫がある。処女作で三人称の文体は容易ではない。だが一人称では平板になりかねない。そこで医師と編集者という二人の主人公を前後半に配し、書籍という形式をとって二人それぞれの一人称で話を運ぶ。アイデアだなあ。
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読み終わった後、「この物語はフィクションです。」という文字を見ても、
ピンとこなかった。自分で週刊誌やワイドショーで実際に見ていた感覚を覚える。
自分自身の老後と 廃用身の切断を真剣に考え、
私だったら、切断するかも・・と考える。
一方的な情報の怖さ。
奥付まで。 -
なんだこれーー!!!久しぶりにちょっと泣いた