廃用身

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 386
感想 : 94
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344003408

感想・レビュー・書評

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  • 内容がリアルすぎて小説なのかドキュメンタリーなのかわからなくなってくる。
    自分も認知症の義母の介護に心が折れそうになったこと数知れず、虐待まではいかずとも登場する介護者の気持ちはよくわかる。
    このAケアは本人より介護者側の立場からは良策なのだろうが本人にとってどうなのか考えると複雑な気持ちになった。
    誰もが年を取る。認知症や体の不自由という問題が出てきたときの事を今から真剣に考えておく必要性を痛感した。

  • フィクションだけど、フィクションとは思えない……主に世論とマスコミのカス具合が。
    医師をただの善人にはしたくなかったのかもしれないけど、サイコ疑惑は扱いが半端な気がしたので、いっそ書かない方がすっきりしたかもしれない。
    読者を混乱させたままで放り出し、色々と考えさせることが目的なら成功していると思うけど。
    なお、実際に介護を経験した者としてはAケアもアリだと思う。

  • 不気味な本だ。麻痺した身体の一部を切断する。それで、健康が回復する。しかし、それ以上に介護の手間が大幅に改善される。そんな治療が生み出されてもおかしくないのではないかという仮説から生み出された小説だ。
    読んでいくと切断してもいいのではないかと納得させられる。これが怖い。

  • 2016.1.20

  • ドキュメンタリーかと思って読み進めました。
    最後までどきどきしっぱなし。
    奥付までも何度も何度も読み返しましたが、まだ興奮が冷め遣りません。
    終末医療、老人介護のあり方と可能性について考えさせられる1冊だと思います。

  • ノンフィクションだと思ってしまう程、あまりに現実的な老人介護問題の話。廃用身とはリハビリしても絶対回復しない体の箇所の医学用語。本人や介護する側にとっても厄介な部分だし切断を勧める医師と受諾するデイケアに来てる老人。切断したら体重も軽減で本人も快適、介護も楽になり良かったのだが…2003年に初版だが2015年になっても介護疲れから殺人が起き続けてるし普遍的なテーマだと再確認した本。

  • 一気読み。親を介護している身として、身につまされるノンフィクションのような、リアル感。なぜか、太宰の人間失格を思い出した。漆原の少年時代のエピソードのためか、小説の構造のためか。傑作。

  • 「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で動かなくなり、しかも回復の見込みのない手足のことをいう医学用語である。
    医師・漆原糾は、神戸で老人医療にあたっていた。心身ともに不自由な生活を送る老人たちと日々、接する彼は、“より良い介護とは何か”をいつも思い悩みながら、やがて画期的な療法「Aケア」を思いつく。
    漆原が医学的な効果を信じて老人患者に勧めるそれは、動かなくなった廃用身を切断(Amputation)するものだった。患者たちの同意を得て、つぎつぎに実践する漆原。が、やがてそれをマスコミがかぎつけ、当然、残酷でスキャンダラスな「老人虐待の大事件」と報道する。
    はたして漆原は悪魔なのか?それとも医療と老人と介護者に福音をもたらす奇跡の使者なのか?
    人間の誠実と残酷、理性と醜悪、情熱と逸脱を、迫真のリアリティで描き切った超問題作。

    今まさに問題になっている高齢化社会、そしてその中の老人介護に焦点をあてていてとても面白かったです。
    「Aケア」という突飛な治療法、現実味が無い様でいて凄く理に適っている気がしてしまいました。
    医療の話も絡んでいて難しい内容かと思ったけれど、凄く読みやすく、ノンフィクションであるかの様な手法が新しくて良かった。

  • 現実と区別がつかなくなった。
    でも、あってもおかしくない話。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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