空飛ぶ広報室

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022171

感想・レビュー・書評

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  • 航空自衛隊の曲技飛行隊ブルーインパルスに入ることを夢見ていたパイロット空井。ブルーの内示が出ていたにも関わらず、不慮の交通事故に巻き込まれパイロットとして再起不能に…。
    その後航空幕僚幹部広報室に配属され、自衛隊を毛嫌いする元記者の新人ディレクター・リカと出会い、自衛隊の広報官とは何か模索していく。

    『県庁おもてなし課』のようにお仕事小説。広報室長鷺坂さんがまた素敵で…有川はカッコイイおっさんを書くのが本当に上手いなぁ。
    社内ニートの自分には、この小説の中で働く人々が終始眩しかった。
    恋愛要素少なめだけど、うん、今回はそんなに必要ない。
    最後の「あの日の松島」~あとがきまでは号泣必死。有川よく書いてくれた、あの当時の自衛隊の方々の活動を知ることが出来てよかった。

    本の厚さに一瞬ビビるけどあっという間に読み終わる。
    読者の誰かが言っていた「この本こそが自衛隊を広報している」ホントその通り。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「この本こそが自衛隊を広報している」
      有川浩って、PRが好きなんですね!
      ところで、4月から始まるドラマは、ご覧になられますか?
      「この本こそが自衛隊を広報している」
      有川浩って、PRが好きなんですね!
      ところで、4月から始まるドラマは、ご覧になられますか?
      2013/03/18
    • 香海さん
      はい、もちろん見ます!今からすごく楽しみです(^^)
      ドラマ放映前にもう一度読み返そうと思ってます。
      はい、もちろん見ます!今からすごく楽しみです(^^)
      ドラマ放映前にもう一度読み返そうと思ってます。
      2013/03/19
  • 航空自衛隊の航空幕僚監部広報室が舞台。

    自分には何ら非のない交通事故によって、幼い頃からの夢であったブルーインパルス搭乗を目前にしてパイロットの資格を失った空井大祐二尉が、広報室の先輩幹部たちなどにいろいろ引き回され(振り回され?)て、自身の苦しみや、自衛隊のさらされる苦境を乗り越えていく成長物語。

    広報室メンバーのキャラの濃さが半端ない。けれど、鷺坂みたいな上司の元で働いてみたいと思える。
    広報室付きのマスコミディレクター稲葉リカのツンツンからのデレがとてつもなく別人かも。

    広報室に関わるそれぞれの人物にちゃんとした背景や物語があって、それに少しずつ触れられて掘り下げられて。
    自衛官だって普通の人間なんです、という言葉にこの作品の全ての思いと作者に売り込みをかけた広報室の思いが込められているように思う。

    有川作品特有のベタ甘はないけれど、きちんとした取材をもとに描かれているため職業小説としてとても読み応えのあるものだった。
    東日本大震災での自衛隊の活躍の裏側なども書かれていて、自衛隊に対する見方が確実に変わる作品。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「広報室メンバーのキャラの濃さが」
      面白そうなので文庫化したら、即買う予定です。
      広報担当って目立ちたがり?と勝手に思っているので、「濃いキ...
      「広報室メンバーのキャラの濃さが」
      面白そうなので文庫化したら、即買う予定です。
      広報担当って目立ちたがり?と勝手に思っているので、「濃いキャラ」納得です。。。
      2012/11/07
  • 航空自衛隊の広報室という、一般にはなじみのない部署が舞台の小説。興味深く、サクサクと読め、登場人物も生き生きと描かれ、本屋大賞とかにノミネートされる作品かも。3.11以後に書き足されたという「あの日の松島」が、ピリッと作品を引き締めている。不慮の事故により、戦闘機パイロットの夢を絶たれた主人公空井、記者から意にそまぬ部署に回された美人D。なりたいものになれなかった彼らが、それぞれの場所で再生する成長物語。現在の就職氷河期に、望みの企業を目指し、悪戦苦闘する就活生にも読んでもらいたい本である。

    • しをん。さん
      コメントありがとうございます♪
      私も、この本読みましたよー(●^o^●)

      自衛隊について詳しく書かれていたので、あまり知らない者としてはよ...
      コメントありがとうございます♪
      私も、この本読みましたよー(●^o^●)

      自衛隊について詳しく書かれていたので、あまり知らない者としてはよかったです♪

      「あの日の松島」については本当に自衛官の皆様に感謝しかありませんね。。
      2012/10/10
  • 有川氏、久々の自衛隊もの。

    本作を読んで一番に思う事は、
    自衛隊隊員とは、ここまで人として扱われないのか?!
    ということだった。

    憲法9条問題、違憲合憲、、、さまざまな意見はあれど、
    陸上自衛隊駐屯地近くに住んでいた私にとって、
    自衛隊の隊員さんは身近な存在だったので、
    ここまでなのか!!との驚きが大きい。

    そんな状況下にある自衛隊を理解してもらうための部署、
    広報室で奮闘する面々が、
    有川氏らしいキャラの立ち方で描かれている。

    ともすると偏った中傷・批判をするメディアを相手どり、
    専守防衛を基礎に、ただ自衛隊を理解してほしいと
    柔らかく、そして硬く頑張る面々。

    クスとさせて、グスッとさせる有川ワールド。


    本当に自衛隊を「ジエイタイ」という一つの団体として
    嫌っている人がいるのなら、
    試しに読んでみるのもいいのかもしれない。

    ひと括りの団体には、一人一人の隊員がいて、
    人にドラマがあるように、隊員一人一人にもドラマがある。
    個人が集まって団体となっている、、、
    という事がわかるかも。

    東北大震災後にテレビで放映された
    自衛隊讃歌のような番組とはまた違った
    自衛隊の別の顔が見えてくるだろう。
    (とはいえ、小説ですから、カッコよすぎる点も多々あるが)


    しかし、まぁ、
    相変わらず飄々とした出来る中年を描かせたら、天下一品。

    こんな、、、
    部下の特性を見極め、見守り、
    有言実行、責任のとれるごり押し根回しの達人(茶目っけあり)…
    な上司がいたら、惚れてしまうに違いない。


    隊員の恋愛要素もほんの少し。
    有川氏のガッツリ恋愛系が大好きな人は、
    物足りなさを感じるかもな程度で、今後どうなったかも不明。

    いつか短編集でそのあたりを語ってほしい。



    ちなみに、本作は、2011年夏に刊行される予定が、
    2012年夏へと変更されている。

    これは、あの東北大震災を触れずに刊行することは出来ない
    と、有川氏の意思なのだそう。


    最後に収録された「あの日の松島」。


    前述した自衛隊讃歌のような番組とは違う真実が、
    ここからも見えてくる。


    救助活動以外で私有地に立ち入ることが法律で禁止されている自衛官を
    責任をとる腹を決め、無理やりな理由付けをし泥かきへと向かわせた隊長。
    救援物資は被災者のものだからと、基本受け取らなかった自衛官。
    そして、あの日、1台数億も数千万もする航空機を
    なぜ飛ばして被害を避けようとしなかったのか。

    語られなかった(聞き洩らした?)話がここにある。

  • 自衛隊といえば、憲法上の問題でもやもやしたものを抱えざるを得ないわたしですが、以前ノンフィクションを読んで、自衛隊の存在とは別に、そこの中で働いているひとたちに興味を持つようになりました。なぜ、自衛隊だったのか。
    そして、自衛隊員はどんな顔をもつひとたちなのか。いったい自衛隊内部はどうなっているのか。
    本書は、そんな疑問を少し解消してくれます。
    自衛隊員だって恋をする、とは、同じ著者の別の本の煽りでしたが、子供もいれば親もいる。生活があって、一般的なイメージとはちがう仕事だってしている隊員がいる。
    「自衛隊」という言葉だけでアレルギー反応を起こさずに読んで欲しい一冊です。

  • 自衛隊が益々好きになりました。

  • 自衛隊がかっこいいと素直に思いました!大震災を絡めた話からは学ぶことが多かったです。
    有事の際ばかり取り上げられる自衛隊を平時の広報という切り口から取り上げる有川先生はやっぱり凄いです!!

    • しをん。さん
      はじめまして!紫苑(しおん)と申します(●^o^●)
      私も、有川浩さんの作品を読んで本を好きになりました♪なので、フォローさせていただきまし...
      はじめまして!紫苑(しおん)と申します(●^o^●)
      私も、有川浩さんの作品を読んで本を好きになりました♪なので、フォローさせていただきました(*^_^*)


      確かに、この本を読んでみると、中々自衛隊というものに触れる機会がないので詳しく書かれていて色々学ばされるところありますよね…。
      それを、分かりやすく読者に伝えてくれる有川さんは凄いですよねヽ(^o^)丿
      2012/11/12
    • koshoujiさん
      n-iwgpさん。初めまして。
      レビューへの感想とフォローありがとうございます。
      喜んでいただけてなによりです。
      下記は私が自分自身で...
      n-iwgpさん。初めまして。
      レビューへの感想とフォローありがとうございます。
      喜んでいただけてなによりです。
      下記は私が自分自身で、よく書けて面白いと思うレビューBEST8です。(笑)
      綿矢りさ「蹴りたい背中」
      マンガ『おおきく振りかぶって 18』
      東野圭吾「 マスカレード・ホテル」
      瀬尾まいこ『ありがとう、さようなら』
      辻村深月「名前探しの放課後(下)」
      ノッティングヒルの恋人 [DVD]
      オケピ! The Orchestra Pit 2003 (PARCO劇場DVD)
      GOLDEN☆BEST キャンディーズ コンプリート・シングルコレクション
      です。本のレビューが少ないですが……。
      お暇なときにでも読んでみてください。<(_ _)>
      2015/08/25
  • 学生時代、入間基地の近くの居酒屋でバイトをしていました。
    バイトに向かう道すがら空を見上げると、自衛隊の戦闘機が轟音とともに頭上を駆け抜け、遠い空へと舞い上がって行く、この作品を読みながらそんな光景を思い出していました。

    私の見た自衛隊の方々は有川さんの仰るように、普通に電車に乗り、仲間とお酒を飲んで笑い合う「普通の人たち」でした。しかし、その頃は考えた事もなかったのですが、有事の時に対する覚悟を持ち「一番大変なときに、一番大変なところへ駆けつけてくれる」人達なのだと「あの日の松島」を読み改めて感じたのでした。
    そして大学卒業間近に起きたあの震災の時、私の出会った彼らもきっと人々の為に動いてくれたのでしょう。

    そして鷲坂や比嘉にモデルがいるなんて!笑
    本当に私たちは素晴らしい人達に守られています。

    彼らの姿を描いてくれたのが、決して美化するのではなく等身大で「普通」な彼らを伝えてくれる有川浩で良かったなと思いました。


    2012,7,26購入
    2012,7,27読了

  • 有川浩久々の自衛隊モノは航空幕僚監部の広報部が舞台のお話。
    相変わらず「現実がこんなに聞き分けがいい人ばかりならどんなにいいか」と思ってしまう。逆にそれが読んでいて気持ちいいのだが。

    面白さは相変わらずなのだが、個人的に気になった点が2つ。
    一つ目は主人公のパイロットに対する未練がずいぶんあっさりだなぁということ。
    ネガティブな部分吐き出してはい終わり!というのは少し乱暴な印象を受けた。こういう主人公なら多分、もっと「パイロットをやってた時の嬉しかったこと」みたいなポジティブな面を後生大事に抱えているんじゃないかなぁ、と元パイロット(さすがに戦闘機じゃないけど)としては感じた。

    もう一つは「航空幕僚監部」であることがもっと描けてると良かったかなぁと言うこと。
    詳細なディティール描写が得意な筆者が、航空幕僚幹部が航空自衛隊の組織でないことを描かなかったのはちょっと拍子抜け。
    あくまで「防衛省」航空幕僚監部であることを描けてるとさらに深くなったかなと、有川浩だからこそ要求してしまう。

  • 覚悟。この二文字につきる。
    ヒロイックな覚悟と、黒子的な覚悟の二つを持った人たちが活躍していた。
    事柄は、媒体を通せば必ず変質する。それは見ている側、という第二者でも同じことだ。
    見たことをどう処理するかで、もう事柄は変わって行くのに、それを繰り返したら、どんどん変わる。
    それを承知しながら、なぜ伝えたいのか、誰のためか、ぶれないように活動を行う人たちの姿に感動した。

    リカの、言われたことをやってたのに叱責され、泥沼にはまる姿も、人を相手にしていると意識し始めたところも面白い。押すのをやめて引いたときに聞き出せる物語がある、というのはぐっとくる。それが叶わなくなった上で、その頃を振り返ってばかりだとそこから余生だ、もパンチがあった。まったくそのとおりだ。
    柚木の、女のくせに、に対抗する手段としての女を捨てる行為が、逆に敗北、というのもまたまたぐさっときた。女性ならではの、というのは決して逃げではない、ということか。女を捨てなきゃ務まらない組織は情けない、という上官にも、ほんとに惚れる。
    女性なら、一度はぶつかるところだと思う。わたしはまるでそのまま敗北してたってわけだ!
    私、として役に立つことを考えよう。手に入らないおっさんになろうとするのではなく。

    広報として、元々受け入れてくれる相手にするだけでは認知は広まらない、というのはそのとおりだ。まず興味をもってもらわなくては。そういう意識でいないと、なにも始まらない。

    最後に、松島。苦しい。悔しい。ありがたい。感謝します。これからの復興に協力することを誓って。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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