ナオミとカナコ

著者 :
  • 幻冬舎
3.99
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本棚登録 : 2683
感想 : 463
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026728

感想・レビュー・書評

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  • ハラハラドキドキ

    凶悪犯罪者なのに読み進むにつれて何故か応援したくなる感覚になりました。
    弱い面が目立つかなこが任意同行されてから、人が変わった様に強くなっていく様が、もしかしたらどんでん返しのハッピーエンドもあるのでは、と淡い期待感を持たせてくれたのもあり、最後の最後までハラハラドキドキでとても楽しめました。

    余談ですが
    重箱の隅をつつく様な疑念は捨てて読む事をお勧めします。

  • 親友と夫を殺す話

    義実家の人々が憎たらしくて
    殺人犯サイドの肩を持ちたくなる
    夫を排除した罪悪感は微塵もなく
    それが読後の爽快感に繋がっている
    冷静な状態で練った計画ではないから脇が甘いのが少し心配になったけど最後の小姑との鬼ごっこはハラハラドキドキして一気に読了!面白かった!

  • 大1 ◎

  • 初奥田英朗作品。

    DV夫を殺す完全犯罪。
    読み終わっても、しばらく胸がドキドキしたままでした。自分も一緒に追い詰められたような緊張感や焦燥感がこみ上げてくる。そして、上海へ逃げおおせることを祈っていた。
    そして彼女らの唯一の救いは、DV夫を殺したことへの後悔や恐れがないことです。「心の中に避難場所を作れるようになった」これは、多重人格に結びつく世界(加奈子の歳ではそこまでいかないが)に違いない。そこまで追い込まれていることを、DV夫は理解できない。これは何があっても許されていいわけがない。精神的に支配され、逃げることもできず、黙ったままに過ごす日々。自分を失うことでしか耐えられない世界に。

    二人が追い詰められていく展開がすごい。「わたしにも確固たる意志がある訳じゃない。でも、何か行動しないと、辛くて、辛くて」「自分でも説明がつかない。でも、主な理由はあんたが無抵抗だからだよ。」の直美の科白が私たちの気持ちに木霊する。見ているだけで辛い世界が。そして抜け出せない世界が。

    犯罪計画は、偶然とラッキーでうまくいったようなものだが、その過程で、加奈子がどんどん強くなっていくところは見どころです。自分(直美、お腹の中の子どもも含め)の生存がかかっているからでしょうか。自分を取り戻す選択に、自分をかけたからでしょうか。
    そして、きっと、上海でも(ビザも何もなくても)二人ならやってゆける。そう信じれるエンディングでした。

  • 大学同級生の2人が殺人を犯す。完全犯罪はなりたつのか、と言った切迫感のあるストーリーが軽妙に、しかしスリリングに展開して行く。いいよーいっちゃえーみたいに応援したくなるやら、バレたらどうするのと心配したり、なかなか楽しかった。ありそうで、あまりない軽いけど本格ミステリ。

  • P212
    女にとって車道は弱肉強食の世界に見えた。車を運転したがらない女が多いのは、そこが男社会で、思いやりの気持ちがほとんどないからだ。少しもたついたくらいですぐにクラクションを鳴らす。女が運転していると見ると、露骨に顔をしかめる。きっと大きな鉄の箱を操ることで、男たちの頭の中に全能感でも湧いてくるのだろう。思い返せば自分の父も、ハンドルを握っているときは、ほかの車に対して「この下手くそが」としょっちゅう毒づいていた。これからそんな世界に身を投じるのかと思うと、直美は心底憂鬱になった。

  • 前半ナオミ編、後半カナコ編。
    DVの夫を完全犯罪で「排除」した2人だが、全然完全犯罪じゃなかった。著者の初期の名作「最悪」のワクワク感がよみがえるような名作。

  • 久しぶりに読書の波が来たけど、久しぶりすぎて何から読めばいいか…と思ったときに目に留まった作品がこれでした。
    奥田作品といえば伊良部シリーズの印象だったので軽い気持ちで読み始めたら、DV旦那の殺害からの急展開で、後半はハラハラしながら一気に読みすすめました。

    殺人が最良の選択とはどうしても思えないけど、最後は応援してしまっていました。

  • 続きが気になってぐいぐい読み進めてしまう本。
    DVについて昔調べていたので興味を持った。
    前半、直美の章で出てくる外商の仕事内容も個人的に興味深かった。

  • DV男を排除する手に汗握る話。逃亡のあたりなんてもう。
    朱美と直美のやり取りは痛快だったなあ。
    陽子、もうね。
    ナオミがカナコの被害に執着しすぎるところに理由が欲しかった。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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