- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344037915
作品紹介・あらすじ
あなたの心で鳴っている音に、あなたは、きっと気づいていない――。
”人の心に流れる音楽が聴こえる”という風変わりな店主が、南の島の小さな店で、お待ちしています。
発売前から書店員絶賛!の感動の物語。
「耳利きの職人が、お客様にぴったりの音楽をおすすめします」
ここは、お客様の心に流れる曲を、世界でたったひとつのオルゴールに仕立ててくれる、不思議なお店。
”小さな箱”に入っているのは、大好きな曲と、大切な記憶……。
北の小さな町にあった『ありえないほどうるさいオルゴール店』が、最果ての南の島で、リニューアルオープンしました!
今回も、7つの物語が奏でる美しいメロディーに載せて、やさしい涙をお届けします。
* * *
島を出て行った初恋の人を想い続ける郵便屋さん、音楽を捨てて都会からやってきた元ミュージシャン、島の神様の声が聞こえるババ様……彼らの心にはどんな音楽が?
みんな必ず、小さな寂しさを秘めています。
でも、自分で気づいていない「本当の気持ち」も、
他人に知られたくない、「密かな想い」も、
音楽となって、あなたの心に流れているのです。
そして、美しい旋律を奏でています。
* * *
「好きです。この小説」「涙がまりませんでした」「心が満たされる物語!」「心が激しく揺れた」など、書店員さんから絶賛の声が発売前から集まっています!
感想・レビュー・書評
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「ありえないほどうるさいオルゴール店」の続編。
前作では北の観光地が舞台だったが、今作品では南の島に店を移したようだ。ちなみに前作で店主に想いを寄せていた女性も出て来る。なかなかのバイタリティ。
相手の『心の中に流れている音楽』が聴こえるという不思議な能力を持つ店主が営むオルゴール店。
今回も様々な客たちがやって来る。
島に戻ってきた幼なじみにプロポーズしたい郵便配達員の青年、夫から離婚を切り出されて島に逃げてきた女性、一時滞在中の生意気な少女と仲良くなった島の少年、マイペースな研究者の夫と島で暮らすことになった外国人女性、メジャーデビューして直ぐに表舞台から消えた友人を追ってきた男性、島神様へ歌を捧げている『ババ様』、そして難聴の兄と共に島に来た女子高生。
オルゴールを作ってもらう人もいれば、店主と接するだけの人もいる。
いずれも共通するのは、このオルゴール店に来て店主と接していると気持ちが落ち着き焦りや不安などのネガティブな思いから一旦離れリセット出来ること。
短編集なのでそれぞれの結末がはっきり書かれていないものもある。だがどのような結末であれ本人が自ら一歩踏み出そうとするところはホッとする。
小さな島での話なので、それぞれの登場人物たちが後の話で交錯するのも楽しい。少年と生意気な少女との小さな恋は可愛らしい。
最後の話の耳の聴こえない青年はもしかして…と思ったらやはりだった。しかし第一話では三十代半ばだった店主が、最終話では青年と女子高生の『親くらいの世代』になったということ、もっと言えば前作から『二十年近く』経っているということは、この島が気に入って腰を据える気になったということだろうか。
※「ありえないほどうるさいオルゴール店」レビュー
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4344032926詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うれしい続編。
舞台は北国の港から南の果ての島へ。
1話40ページ弱の短編集で読みやすい。
いろんな立場の、些細な感情や出来事をテーマにした、オルゴールを聴くときのように穏やかな気持ちになれる作品。
前作と比べると、一つ一つ中途半端なところで終わって、その後が気になるのに…と思わせるものが多かった。
だけど今作もよき。
この本の中では、最初のカップルの「カンタナ」と、店主とババ様の「からっぽ」がすき。
そして何より、最後の「みちづれ」。まさか前作のあの子のその後が描かれているなんて!
あと、周りを魅了させるババ様の歌声が気になる。聴いてみたい。 -
その人の心の中に流れている音楽を聴きとって、オルゴールを作ってくれるお店が、南の島でNew Openしていました。
悩みや迷いを抱えている人の背中をそっと押してくれる音楽。それで全てが解決するわけではもちろんないけれど、一歩踏み出す勇気をくれる。 そういうものを求めている人ってきっと多くて、老若男女を問わないのだ。今回は、ちょっと背景が複雑で、ハッピーエンドが見えない話も多々あった。
職人さんの心の中もちょっとだけ見えて、次に彼がどこへ移るのか、そこでまた少し心の扉を開いてくれるのか楽しみだ。
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『ありえないほどうるさいオルゴール店』よりこちらのほうが、オルゴール店を訪れる人との関わり方や距離感が好き。
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誰にでも大切な思い出が詰まった曲が心にあるもの。その曲を誰かと共有できたり、素敵なオルゴールとして曲が流れていたら、その曲を支えにまた人は歩けるのかも知れないって思える作品です。
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お客さんの心に流れている音楽が、なぜか聞こえるオルゴール店の店主。
そのオルゴール店をいろんな縁で訪れるお客さんたちの模様を書いた連作短編集。
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オルゴールは「奏でるもの」なはずなのに、そこに「静かな」、しかも「もどかしいほど」という説明が加わることで、とても気になるタイトルになっています。
本タイトルとおなじ短編は収録されていませんが、「もどかしいほど静かな」を素直にとるのなら、なるほど確かにオルゴール屋の店主その人は、そこまで主張してきません。
読み終わって最後のページを見てみたら、「ありえないほどうるさいオルゴール店」という前作があるシリーズのようでした。
前作を知らずに「もどかしいほど静かなオルゴール店」から読んだとしても、1冊の作品としておもしろく読むことができました。
前作は本作と真逆の枕詞がつくタイトルなので、その差がどんなものなのか、とても気になります。
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ありえないほどうるさいオルゴール店 の続編。
北の港町のオルゴール店が南の島に舞台を移して話は始まります。
人の心に流れる音楽が聞こえる風変わりな店主。この本の中には7つのお話。
毎度、へそ曲がりな私は、彼が唯一音楽を聞けなかった、ババ様のお話が胸にささりました。
私の中に流れる音楽はどんな調べだろうか。