- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344039452
感想・レビュー・書評
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それぞれの背景が描かれていて、作品に没入していきました。
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北朝鮮に見切りをつけた軍人たちが、大規模演習中に潜水艦を乗っ取り、45年前に拉致された被害女性を乗せて日本を目指すという海洋冒険小説。月村さんの作品だし、とても楽しみにしていたのだが……。
なんだろう、この空虚感は。北朝鮮の軍人がこんなに簡単に祖国を裏切るのが信じられないし、潜水艦乗っ取り・脱出劇もあまりに順調すぎて説得力がない。その後の航路も推して知るべしで、わくわくどころか淡々と読了した。さすがにクライマックスで少しは熱くなったが、まあ予定調和というか、こうなるしかないだろうなあという結末だった。残念。 -
Amazonの紹介より
北朝鮮の陸海空軍による大規模軍事演習。国の威信をかけたこの行事で、桂東月(ケ・ドンウォル)大佐は潜水艦による日本への亡命を決行した。しかも、拉致被害者の女性を連れて--。だが、そんな彼らを朝鮮人民軍が逃すはずがない。特殊部隊、爆撃機、魚雷艇、対潜ヘリ、コルベット艦、そして……。息つく間もなく送り込まれる殲滅隊の攻撃をくぐり抜け、東月達は日本に辿り着けるか? 極限状況ゆえに生まれる感涙の人間ドラマ。超弩級エンターテインメント!
月村さんの最新作で、どことなく「土漠の花」のような要素が多くありました。
ヒロインと共に敵から逃げる展開、熾烈な攻防戦などあって、どうしても比較してしまいますが、面白かったです。
始まりは、拉致被害者の女性・珠代を連れていく所から始まります。主要メンバーは北朝鮮の兵士達なので、読み方が朝鮮語です。なかなか読み方でつまづいてしまいますが、ルビは時折何回もふってくれるので、そこまで苦労はありませんでした。
ただ、登場人物が多いので、誰が誰だか登場人物一覧と照らし合わせながら読んでいました。
多いながらも、現場の状況はテンポ良く進行するので、冒頭からアクセル全開でした。
潜水艦のシーンだけでなく、朝鮮人民軍側や日本の一般人側の視点も交えながら、物語は進行します。
普通だったら、過去の回想シーンをじっくり描きますが、そこはあまり加えずに現在のシーンを怒涛のごとく進行していくので、気づいたらあっという間に読み終えていました。
ただ、(どうしても「土漠の花」と比較してしまいますが)内容がコンパクトに収まっている印象がありました。
意外と「国」との攻防シーンが少なく、思ったよりもすぐに日本の領域に到着したので、もう少し緊張感を味わいたかったなと思いました。
しかし、日本の領域に到着しながらも、日本側や「国」側の違った緊迫感も味わえ、そこでの珠代の訴えに人生の重みを感じました。
他の登場人物も国に歯向かいながらも、それぞれが強く思う救えなかった思いに胸を打たれました。
日本側の対応には、焦ったさもありましたが、潜水艦の人たちを救うことができるのか?
最後まで、怒涛の展開で、物語の終わりの先も、どんな展開になるのか気になりましたが、読み終えた瞬間、清々しい気持ちになりました。