脱北航路

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344039452

感想・レビュー・書評

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  • ノンフィクションを元にしてるのかと思っていたけど(脱北方法とか状況、心情等)、まるっとフィクションだった。作戦決行から終了まで。その前後がなくてもうちょっと読みたかったなー。内容はなんとなくどこかで読んだことある感…?ベースは違うだろうけど。名前を覚えるのは大変だけどそれ以外は読みやすく思ったよりサラッと読める。面白い

  • 月村了衛「脱北航路」を読んだ。

    北朝鮮の海軍軍人たちが潜水艦に日本からの拉致被害者(横田めぐみさんがモデルと思しき人物)を保険として同行させ、日本への亡命を目指す物語。
    北朝鮮からの追手との死闘をくぐり抜け、やっと辿り着いた日本近海で沈没しそうになりながら、事なかれ主義&意思決定できない日本という国家にジリジリ。

    潜水艦ものは小説も面白いのか。
    面白くてあっという間に読み終えてしまった。
    でもずっと一本調子で(初めから終わりまでずっとフルスロットル。笑)、読み終えると何も残らない感じ。
    面白かったからいいけど。
    艦長のライバルとの対決はわりとあっさりだったね。もっとケレン味たっぷりにくどく見せてくれても良かったのに。

    救助後どうなったか、乗組員の行く末、日本と北朝鮮の関係、漁船や海保の扱い等、シミュレーション的にもう少し読みたかった。でも蛇足かな。

  • ほぼ潜水艦の中の内容。
    文章で描き切ったことは本当にすごいと思う。特に北朝鮮との戦闘。潜水艦同士の戦い。これは文字で描くのは大変だったと思う。頭の中でイメージしながら読むのもなかなか大変だったけど。

  • いろいろとリアル。

    とても扱いづらいテーマかと思うのですが、その分考えさせられる。最後の日本政府の対応なんて「あぁ、そうなりそうー」と大きく頷いて納得してしまった。

    結局頼りになるのは現場の判断。

    自分あるあるで、キャラクター名が日本人の名前でないとイメージがしづらく相関関係を描きにくいのが難点。なので人物紹介は非常にありがたい(笑)

    あと、戦闘用語が馴染みがなく、本来臨場感満載であろうシーンであまりのれなかったという自分本位な星4つで申し訳ないです。

    そして、あの日本政府の対応だと珠代さんはいいとして、他の潜水艦乗員の今後が心配でもあります。
    どうなるんだろう??

  • 220524

    北朝鮮の悲惨な現実を改めて知った。

    生まれたくもない国に生まれ、行いたくもない悪事に手を染め、従いたくない権力者に従う。

    何十年間も過去の自分の行いを悔いたり、自由な暮らしを送れなかったり、というような苦しい人生を送ってきた登場人物のことを考えると、自分の今の状況がいかに恵まれたものなのかと強く思った。


    他の本でも感じたような気がするが、北朝鮮人を一括りにして考えるのではなく、一人の人間として、相手のことを考えるべきだと思った。





  • 「それぞれの国が勝手につけた海の呼称などどうでもいい」
    まさしく、その荒波の中で鍛えられた海の男たちの
    矜持を持った生き様、死に様に
    瞬く間に心を持っていかれた…。
    「国家」と「政治」と「人間」の虚実を見事に描き、
    そして、日本という国への警鐘を鳴らす問題作でもある―。
    世が世ならば、
    とても刊行できなかった!?
    だが、これぞエンターテインメント!
    恥ずかしげもなく、
    “感動作”と呼ばせてもらおう…。

  • 四十五年前に日本から拉致された女性を連れて、北朝鮮から日本への亡命を試みる桂東月大佐。潜水艦によるその亡命に、次々と襲い掛かる追っ手の攻撃。彼らは無事日本にたどり着くことができるのか。その一方で日本側はどのような対応をするのか。アクション感も満載の、スリリングなサスペンスです。
    北朝鮮に対していいイメージを持つ人は少ないと思うのですが、しかし北朝鮮の人であっても自国に疑問を持つ人は少なくないと思います。だからこそ逃げ出そうとする彼らにはひたすら頑張ってほしいという応援の気持ちばかりでした。とにかく熱い、どこまでも熱い物語に打ちのめされます。
    その点、日本側の対応には冷めた目線になってしまいますね。ほんと、こういうことってありそうだもの。そんな中で四十五年前の悔恨を抱えたまま、現状に立ち向かおうとする二人の老人が実に素敵。ラストはまあ大団円を予想しますが。それでもどきどきさせられました。

  • タイトル通り北朝鮮からの潜水艦の亡命エンタテイメント。

    出だしから緊迫感が半端なく、一気に読ませられました。
    見どころの一つは潜水艦による戦闘で、漫画「沈黙の艦隊」や映画「レッドオクトーバーを追え」を彷彿しました。
    もう一つの見どころは、日本人拉致被害者への思いで、日本人拉致被害者を載せて亡命するというところは亡命者たちの計算とはいえ、日本での受け入れ側で日本人の良心が爆発するところですね。
    最終章のタイトルに「絶望の朝」とあったので、ラストまで手に汗を握ってしまいました。
    日本人側の政治家や官僚の中にも良心があるというところが無かったのが絶望なのかな。

  • ハラハラドキドキ、これぞ冒険小説!拉致は
    酷いし、必ずしも、単純な話しではないのだろうが潜水艦の戦いは、眼を離せない。

  • 苦しい~!
    「君の父親が犯罪者と言うのならば、この国に犯罪者ではない人は存在しない」
    苦しすぎて奥に刺さった。
    腐敗している社会の中で、家族を守るために自分を消して、押し殺して、生き抜いてきた男達が祖国に反乱するストーリー。

    北朝鮮系の話っていつ聞いても苦しいし、悲しくなる。
    映画を観てるかのように頭の中で情景が浮かんできて、ストーリーとしても最高。名前が漢字ばかりで、専門用語?も多くて読みにくかったけど、話の展開が面白すぎてぐんぐん惹き込まれた。めちゃくちゃよかった。人に勧めたい。
    最後はハッピーエンド。久しぶりに泣いた。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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