- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344419094
作品紹介・あらすじ
父を喪い1年後、よしえは下北沢に引っ越し、ビストロ修行に励んでいた。
父のにおいはもうかげないし、言いたかった言葉は届かない。
泣いても叫んでも時は進んでいく。
だが、母が淹れる濃くて熱々のコーヒーにほっとし、父の友人の言葉で体と心がゆるむ瞬間も、確かにある――。
殺伐とした日々の深い癒しと救済を描いた、愛に溢れる傑作長編。
感想・レビュー・書評
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父親が愛人と心中してしまうという、
なんとも重い感じから始まるこの物語…
残された妻と娘が踠きながら徐々に
深い悲しみから立ち直っていくお話。
これから何かを始めようとしている方や
これからどうしようかなと迷ってる方は
この小説を読めば希望や前に進んでいく力
を少しは貰えるのではないかと思います。
父親が心中で死ぬという重い内容ですが、
そこは流石に吉本ばなな先生!
とても軽快で読みやすい作品になっています♪
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2020.9.22
とても良かった
素敵な表現がたくさん
たとえば
星が氷のようにきらりとひかるみたいな表現(何ページか忘れた)が、冷たい空気にキラッとひかる星を的確に表現してるなって。
内容的には(出来事)は重い話なのに、読み終わると救われると言うか、全体的に優しい空気に包まれている話。
秋〜冬の話だから読むタイミングも秋の初めの今で良かった
下北沢には去年の秋に一回しか行ったことないけど、その風景と空気感が蘇っていて、とても良かった。下北沢に行きたい。秋にね。
よっちゃんと新谷くんの関係、山崎さんとよっちゃんもいいなと思えた。恋愛のような、でも幼い気持ちとか。こういうのいいなって純粋に思えた。
よっちゃんと母の関係もいいな。
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最初から最後まで「死」がまとわりついたお話しでしたが、舞台となった下北沢という町並みが重たい空気を包み込みあたたかく見守っているように感じられました。
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癒された。いっつも、疲れてはばななさんの小説に立ち返り、ああ癒されたなあと思って、その心地良い感じを求めてまとめて何冊かばななさんを読む。でももう一冊目で大きく癒されてるから二冊目からはなんとなく薄味に感じられて、四冊目くらいでもういいやと思って離れ、また一年後くらいに帰ってくる。いつまでもその繰り返しなんだろうなあ。ばななさんの小説は似たような話しかない、って批判することもできるけど、でもそのことがいつもいつもわたしを支えてくれている。
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街に癒される。そういう気持ちは、結構わかる。だからこそ自分も、自分が好きだと思える街に戻ってきた。下北沢にも行ってみたいな。主人公が、人生を前向きに歩き出した街の空気を感じたい。
ひとつひとつ、字を追っていると、なぜかふわりと地に足が着くような感覚に陥った。日常で忙しくてあっちこっちに飛んでいる頭が、本の世界に入り込んでふっと落ち着けたんだろうな。 -
下北沢の書店で見かけたので購入。あっという間に読み終わり、マイよしもとばななベスト3に軽やかに入ってしまった。喪失と共存する心のうちは意外と澄んでいる。
いま欲しい、もしくはずっとずっと欲しかった星のような言葉があらゆるページに刻み込まれていて、ほかの小説には跡がつくから絶対にしたくないのに、ドッグイヤーがたくさんついてしまった。
涙でぐちゃぐちゃになりながら読んだ。最後にたどり着いたのは、希望だ。私がここに生きる意味だ。愛だ。すごい、よしもとばなな作品の、ひとつの金字塔ではないのだろうか。
私は私で、両親がただ愛情表現がへただっただけで、よっちゃんのお父さんとお母さんみたいに、ただ大人として自由で、これといったスキンシップはなくてもしっかりと愛をそそいでもらっていたと、信じてみてもいいのかもしれない、って、すっかり癒されてしまった。 -
以前、よしもとばななの本を読んだのはいつだったか?
題名のゆるさに軽めのエッセイ?くらいの意識で手に取ったら、とんでもなかった。
そう、以前の「キッチン」も「つぐみ」(って何年前よ?)もそうだった、とにかく救われる本だったのを思い出した。
父親(夫)に死なれた母娘の再生物語なのだが・・・
この人の文章に出てくる「言葉」がとにかく私を救ってくれる。
夫に死なれて、地面に必死で足をつけようとする母、と、父に死なれて、生きてく道の迷子になった娘。それぞれの思いが、口にするセリフが、私の心の底、自分でも気付かないほど奥底に澱のように溜まっていた気持ちを言葉にして解放してくれる、そんな感じ。
この紡がれた「言葉」のパワーたるやものすごいものがある。
とにかく、今回もまた最上級に救われました。
いろんな意味で「生きてることは生々しくて残酷」だけど「ちゃんとしなくちゃいけないって思わなくていい」んだと。 -
長くてダラダラと書いているような気になるけど、実際とはそういうモノだろうと思う。
上手く言葉に出来ないだけで、たくさんの想いがあって、この人はそれをすべて言葉にしてくれる。
だから「そうだ。そういうことだったんだ」と想うことが、いつもある。
私にとっては、それを気づかせてくれる、数少ない作家。
その為、この人の小説は、読むのがキツイ時もある。 -
文庫化しましたので、再読です。
前回よりも丁寧に読めました。
よって、最悪な形で父親を失った主人公の、
そして母親の再生の流れを味わえたと思います。
干からびた大地にじわじわ水がしみこむように。
乾いたスポンジと違いますよ。
あくまでもじわじわ、じわじわと。
ただ、ラストの突拍子のなさがやはりわからん。
えぇー、そんな重要ポジだっけ、この人。
いや、彼だとおかしいのではなく、唐突さがおかしい。
そんな伏線あったか? 読み落としたのか?
皆様、納得できました?