- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344980976
感想・レビュー・書評
-
タイトルからは分かりにくいけど、本当の「保守」とは何かを主張する本。国が豊かになり、自由や民主主義が過剰に浸透した結果としてニヒリズムが蔓延してしまった現代社会に対する処方箋が、いわゆる「保守」思想であるという。著者は、単なる進歩主義として自由や民主主義を追いかけるのではなく、地域における伝統や慣習を活用して社会秩序を継続していくことが「保守」の基本的な考え方だと主張している。全体的に専門用語が多くて、政治学の基礎を知らないと論旨をきちんと捉えることが難しいのだが、タイトルは刺激的で面白いし、実際、自由や民主主義が日本でうまく機能しているようには思えないので、提起された問題は的を得ていると思う。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の最新作
『経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ』講談社現代新書
http://booklog.jp/item/1/4062881713
を読む前に是非とも読んでおくべき一冊と思い先に通読しました。
著者の本では、『「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理』
http://booklog.jp/item/1/4061491504
に感銘を受けました。
決して、経済を数字と数学モデルのおもちゃにしていいように政治と社会制度変更の手段としてはならないと思います。 -
4年前に刊行され、当時すぐに読んだのだけど、再度読み直しました。一度読んだ本を読み直すのは非常に稀なのですが、この本はいつかもう一度読もうと思っていたもの。激動する、社会や政治の状況を一旦整理してためには非常に秀逸な著作です。これまた、すぐに読めるので選挙前にぜひ。
-
アメリカ的自由と民主主義への批判。
-
(2011.11.18読了)(2010.10.31購入)
【11月のテーマ・佐伯啓思を読む(その3)】
☆佐伯啓思の本(既読)
「「欲望」と資本主義」佐伯啓思著、講談社現代新書、1993.06.20
「「市民」とは誰か」佐伯啓思著、PHP新書、1997.07.04
「新「帝国」アメリカを解剖する」佐伯啓思著、ちくま新書、2003.05.10 -
そそるタイトルだが、本書では実は自由と民主主義を否定してはいない。むしろそれは前提だと。問題は、自由と民主主義で何を目指すかだと。それはそうだな。
-
保守とはなにか?左翼とはなにか?
正直よくわかってなかったんですけど、よくわかりました。前半は非常におもしろかった。
後半はどうでしょうね。意見が分かれそうな気がするが。
まぁとりあえず、いまがニヒリズムに陥ってて迷走しているというのはよくわかるし、
それに対してなんとかしてくれそうな人が絶望的にいないというのもよくわかる。
大学のときにこういう本を読んでも、たぶん???だったと思うけど、最近になってようやく分かるようになってきた。 -
就活のときに、読み、当時の最高の1冊。そして再読。
いやーやはり秀逸。
実際、僕たちの年代は、保守・革新だとか左翼・右翼とか言われても、自分に関係なく、ちょっと怖いものだったり、怪しいものってイメージのみ。
今は、実際そんなくくりでは括れない、もっと根本的なレベルで、精神の中にあるもの、日本という国を見直していきましょう。
という本。だと感じたら、
あとがきに、
「本書は、日本における保守主義について論じたものです」
って書いてあって、自分は保守主義ってものなのかって意外な感じがしました。
まぁそういった括りとか関係なく、もっともっと考えを深めていこうと思わせてくれる1冊です。
自由と民主主義に対する絶対視の問題、
生命至上主義の問題、
ニヒリズムの問題。
第3章 成熟の果てのニヒリズム
だけでも、是非。