戦争民営化: 10兆円ビジネスの全貌 (祥伝社新書 18)

著者 :
  • 祥伝社
3.04
  • (2)
  • (3)
  • (15)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 73
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396110185

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【選読理由】
    戦争ビジネス、普段日本で生活している中ではあまりにも馴染みがない領域の話であるが、そこで多額のお金が動いているということと、日本はその市場をおさえきれていないということはなんとなく知っている。
    ーそんな状態から、その実を幾らか知りたいという理由で読んだ。

    【概要】
    本書は2005年に出た本であり、「最新の」というわけではないが、その道の専門家である著者によって、世界の民間軍事業者(傭兵)に関する歴史や事実を紹介している。

    構成としては、
    第一章:執筆のきっかけとなった事件
    第二章:戦争ビジネスの歴史
    第三章:紛争地帯の戦争ビジネス
    第四章:アジアの戦争ビジネス
    第五章:現代の戦争ビジネス
    といなっている。

    【感想】

    概ね私が知りたいと思っていた様な知識を幾らか得ることができて、「こんな世界線で外交等が進んでるのか」といった発見があった。とりわけ、国連安保理の常任理事国がさしずめ「死の商人達」という表現は言い得て妙であった。
    一方で、本書全体を通して「細かなケースの羅列」というような書かれ方をされており、一般的な本を読んだ時の様な「体系的な知識を得た!」という感覚には至らなかった。

  • 2005年刊。著者は千葉工業大学他講師。戦争は古今東西、人々の飯のタネであった。その事実を古代ギリシャ・ローマ、仏革命時のスイス人傭兵、戦中戦後の米人傭兵など史的展開を織り交ぜつつ解説。しかし、やはり現代事情が最も興味深い。現代は、傭兵供給よりは、武器仲介・兵士の訓練・装備の更新やメンテ等が飯のタネの中核。中でも中東の各戦争はこれら武器流入が主因という点には深く得心。と、ここまではよく言及される内容。だが、かつて中東の石油マネーが西側先進国製の武器購入に走らせていたが、今やその買い手はアジア諸国に変貌。
    発端が、スプラトリー諸島(中・台・越・比・マ等が領有主張)の帰属問題。余波でタイすら空母保有に。しかも、外貨のない諸国は農産物と武器とのバーター取引を展開し、結果、従来の国防総省だけでなく、農務・商務・外務とも関わり、利権争いに発展。ここは他書ではお目にかかれない内容。さらには、南米コロンビアの麻薬マフィアと政府軍、そして共産ゲリラとの三つ巴の戦いに巻き込まれ、時に翻弄される傭兵と戦争請負会社。かかる具体的事例は未知多し。そして「武器輸出禁止三原則」やその緩和による影響にも思いを致した点(参考例かも)。
    武器輸出で肥え太るのは誰か(本書を読む限り、少なくとも輸出国の一般国民ではなさそう)、武器輸入により容易になった戦争で不利益を被るのは誰か。判り易い先行例を示したものと言えそう。新幹線や地下鉄、高速道路体系といった民生品のシステム製品群の輸出とは全く異質だという事実が、容易に推測できる。ただし、「武器」の定義づけは難しい問題を孕みそう。銃・戦車・戦闘機なら判り易いが、航空機・ミサイル・原子力発電の技術ならどうなのか、という疑問は解消されない。

  • なかなか面白かった。

    冷戦時代はCIAにより各地で傭兵が雇われ、戦っていた。
    冷戦が終わり、中東やアジアに兵器会社が最新兵器を売るようになり、兵器の高額化も重なり、さらなるビッグビジネスへ。
    さらにイラク戦争などでは民間会社が元特殊部隊隊員などを雇い、軍へのサービスを行なっている。

    具体的な事例を挙げながら、それらが描かれているので最後まで興味深く読めた。

  • 日本の外では戦争はビジネス。
    日本がいかに平和に映ることやら。
    知らない人はこれは知らずに一生を
    終えるのでしょうね…

    だけれども、このビジネスが健常かといったら
    ずばりノーと言えましょう。
    特にある国が拒絶の態度を示しているのは
    個人的な理由。そう、その国の平和なんぞは
    二の次なわけです。
    決してその国に平穏が訪れることはないでしょう。

    もはや、人が人である以上
    平穏、平和、とはいかないのでしょうね…

  • 冷戦が終結して、米ソで軍人が不要になった。軍縮だ。それらの技術、スキルを持った人たちが会社を興して、ビジネスとして戦争を請け負う。戦争のアウトソーシング化がアフリカでも進んでいる。
    戦争がビジネスチャンスなのは周知の事実。
    そのビジネスチャンスにどれだけ儲けられるかがカギになるのだろう。

    紛争地にはビジネスチャンスがある。
    兵器の展示場ではロッキード、ダグラス、ダッソー(フランス)など名だたる兵器メーカのトップクラスがやってきて明るく派手にビジネスをしている。

  • [ 内容 ]
    二〇〇五年五月、一人の日本人兵士の戦士で俄かにクローズアップされた戦争代行業=民間軍事会社の存在。
    その数は全世界に三〇〇社、総年商は一〇兆円を超すといわれる。
    売春とともに人類最古の職業であるという“傭兵”産業が、現代において急成長したのはなぜか。
    彼らは何を請け負い、どのような報酬を得ているのか。
    彼らに戦争を委託する各国の思惑とは…。
    著者は厳選した情報と自らの紛争地域での体験をもとに、世界の民間軍事会社の実態に迫る。
    今や巨大なビジネスフィールドと化した戦争。
    日本人、日本企業はこれからどう関わってゆくのか。
    最新情報満載の画期的レポート。

    [ 目次 ]
    第1章 身近になった戦争ビジネス(民間軍事会社で働く日本人)
    第2章 古代から戦争はビジネスチャンス(古代ギリシャの戦争ビジネス;パックス・ロマーナと傭兵団 ほか)
    第3章 紛争地に戦争ビジネスあり(アンゴラのアメリカ人傭兵部隊;革命と戦争市場 ほか)
    第4章 アジアの歴史を変えた戦争請負屋(義勇軍フライング・タイガー;CIAのスカルノ政権を倒せ ほか)
    第5章 現代の戦争ビジネス組織(戦場に関するすべてがビジネス;収益率が魅力の戦争ビジネス ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 戦争は政治行為ではなく、経済活動

  • 二〇〇五年五月、一人の日本人兵士の戦士で俄かにクローズアップされた戦争代行業=民間軍事会社の存在。その数は全世界に三〇〇社、総年商は一〇兆円を超すといわれる。売春とともに人類最古の職業であるという“傭兵”産業が、現代において急成長したのはなぜか。彼らは何を請け負い、どのような報酬を得ているのか。彼らに戦争を委託する各国の思惑とは…。著者は厳選した情報と自らの紛争地域での体験をもとに、世界の民間軍事会社の実態に迫る。今や巨大なビジネスフィールドと化した戦争。日本人、日本企業はこれからどう関わってゆくのか。最新情報満載の画期的レポート。

  • 分類=戦争・経済・民営化・グローバル化。05年8月。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1947年高知県安芸郡生まれ。1971年明治大学政治経済学部政治学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科修士課程修了、政治学修士。ジャーナリストとしてアメリカ、アフガニスタン、パキスタン、エジプト、カンボジア、ラオス、北方領土などの紛争地帯を取材。
TV、新聞、雑誌のコメンテイター、各種企業、省庁などで講演。著書に『戦争民営化』(祥伝社)、『国際テロファイル』(かや書房)、『「極東危機」の最前線』(廣済堂出版)、『熱風アジア戦機の最前線』(司書房)、『日本人だけが知らない「終戦」の真実』 (SB新書)など多数。

「2021年 『知らないではすまされない地政学が予測する日本の未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松本利秋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×