- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396332976
感想・レビュー・書評
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表紙には、コルビジェが設計したかのような白い建造物ある。
窓もない、潔く白い四角い箱をいくつかの脚が支えている。
脚の奥は影で見えない。
建造物は広い芝生の敷地にあるようだ。画面の左上に空があり、わずかに望める遠景は、この建造物がぽつんと建っていることを感じさせる。
ぽつんとした孤立感は、人がいないことにも強調されている。
本書を読み始めたとき、この表紙画のイメージのような話が書かれているのかと思った。
1編目が高校生が主人公の話だった。
青春、恋愛、苦悩、そんなことが頭をよぎった。
しかし、すぐに、よい意味で期待を裏切られたことに気付かされた。
ざらっとして、心に引っかかるものを残す話。ところが、苦味の後には微かではあるが甘さを感じる。心地よい余韻とまではいえないものの、ほんのりとした希望が残る。
生きていれば、嫌なこともある。
この嫌なことを“陽のあたる場所”に持ち出し、明らかにしたとき、そこから“FINE DAYS”は始まるのだろうか。
4つの短編を読み終えた瞬間の感想だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編集は苦手だ。。。
読書はやっぱり長編をじっくり読みたいなぁ。。
MOMENTが短編集でもシリーズ物だったのでよかったが、
こちらはまったく関連性のない短編集だった。 -
4つの恋愛小説からなる短編集。初読は高校生の頃だったか。
村上春樹チルドレン(らしい)著者の文章は、やはり回りくどく
会話も不自然なほどに皮肉やユーモアを強調していて
読みにくくもあるのだけれど、著者自身それを自覚しているのか
回りくどい文章のあとにはそれをかみ砕いた同じ意味の文章が
続けられていて、高校生のときはそれがつまらなく
陳腐に感じたのだけれど、今になって読んでみると
そこがちょっと面白かったり助かったり。
あぁ、そういうことが言いたかったのね、となる。ある意味で親切。
それぞれの話が恋愛物なのだけれど、王道な恋愛物は
4話目の「シェード」くらいで、あとはミステリーとか
ファンタジーっぽさをもった不思議な作品だった。
個人的には表題作の「FINE DAYS」がいちばん好き。
安井の生きていく中での自分への屈折したどうしようもなさが
降り積もってうず高くなり、最悪の帰結を迎える。
だけど、それは闇に葬り去られる。
だって、しかたがない。今日も空が青かったのだから。 -
さらっとしてる感じ。
さわやか、っていうか。
4つの話があったんだけど、どれも雰囲気が全く違って、なんか全部違う人が書いたみたいな。
シェードは綺麗な話だった。よくあるような、でも特別な感じ。
FINE DAYSと眠りのための暖かな場所は途中ぞくっとするような。
イエスタデイズはなんか、思ってた感じと違ったなー。
まぁ
読みやすさはありました。読みづらさもありました。
といった具合です。 -
最近の小説を久しぶりに読んだらすっごい高速で読み終わることに驚いた。
恩田陸と伊坂幸太郎を3:1くらいの割合で足して薄めた感じ?
ちょっと不思議な感じ。ファンタジーというか、ミステリーというかが混じっている。微妙に地面から浮いてる感じ。
そういうのが苦手なので苦手でした。
登場人物のキャラクター造形はぜんぶ好きです、青春っぽくて…
本多氏のを読むのが初めてで、無難にWILLとか読んでおけばよかったかもしれない。と後悔しました。 -
4つの短編集。
死に瀕した父の最後の願いで、父の初恋の人を探す「イエスタデイズ」と、中古家具屋でみつけたランプシェードにまつわる話が語られる「シェード」が気に入った。
グッドエンドだかバッドエンドだかわからない微妙な線のエンディングを迎えるあたり、空気感は同作者の『MISSING』に通じるものがある。 -
大学の時にはまって読んでた本
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短編集はたいがい「んー」と思うのが1つはあるのですが、そんな外れがなかった。
文章も背景も別に普通だけど、話が思ったより独特な世界であきない。
作者が初めて恋愛小説を書いたからかもしれない。
心に残るセリフはなかったけど、心に残るシーンが多い作品はめずらしい。