丁寧を武器にする

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396614355

感想・レビュー・書評

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  • 関西の超有名パティスリー、「パティシエ エス コヤマ」のオーナーパティシエである小山進氏による初のビジネス書。
    人気商品「小山ロール」の開発秘話や、独自の人材育成法、商品作りや店作りに対する熱い思いが綴られている。
    コヤマファンなら気になる「なぜ2号店を出さないのか」「なぜ兵庫県三田市という辺鄙な場所に店を構えたのか」という疑問にも答えている。
    洋菓子作りや店作りに関する部分は非常に興味深い話が多く、得るところも多い。
    小山氏の作る洋菓子は「コヤマイズム」とも言うべき独特の「思想」で貫かれている。
    商品一つ一つに「ストーリー」があり、「伝えたい思い」で溢れている。
    洋菓子に限らず、包装や店の外観にも異常なほどのこだわりを見せ、決して妥協しようとしない姿勢に思わず「神は細部に宿る」という箴言を思い出してしまう。
    コヤマイズムが幼い頃の経験を懐かしむノスタルジーをもとに作り上げられた点は意外であった。
    小山氏の原点は野山を駆けずり回り昆虫採集に精を出した自分であり、寡黙な菓子職人の父親の背中を見ていた自分なのだ。
    洋菓子作りにおいてここまでノスタルジーを表現するパティシエはそういないのではないか。
    この点だけでも読む価値がある。
    しかし、人材育成の部分に関しては正直言ってあまり参考にならず、読んでも「まぁそりゃそうだよな」という感想しか出てこない。
    もう少し洋菓子作りや店作りに対する独自の「思想」を深く掘り下げて述べても良かったのではないか。
    そうしておけば他にない唯一無二の本になっただろう。
    会社の中でどう振る舞うべきか、上司との関係はどういうものにすれば良いか、新入社員の心得、などこの本で書かなくてもよいことが必要以上に紙数を割いて書かれている。
    他のビジネス書でも散々書き尽くされていることだし、本書であえて小山氏が普遍的な人材育成論を述べる必要は全くない。

  • スイーツの達人として有名な著者、そのカリスマ性が注目されることも多い。しかし本書からは、ケーキに限らず、パッケージや店のレイアウト、庭の作り方、経営者としての考え方、人を育てるということなど何に対してもまじめで職人気質の人柄が読み取れ、とても魅力を感じた。 「丁寧」は「おもてなし」のように、簡単に説明できない深い日本語なのではないかと思った。

  • 仕事に対する意識と積み重ねの大事さを学べる一冊だと思う。

    どんな仕事をやっていてもルーティンワークというのはあるんだよね。何となくやってればマンネリ感を抱いてしまう。「何となくやってる」に何も生まれないという考え方は自分も同感だ。単純と思えることでも考え方を少し変えてみれば新たに発見するものが出てくるかもしれない。そういう意識を持って日々を過ごしていきたいものだ。

    また、小さな積み重ねや細かい部分にも気付く注意力を身につける大事さも勉強になった。小さな積み重ねを繰り返していくことで感覚が体に染みついていくものだし、細かい部分に気付ければ周囲へのさりげない気遣いや事故を未然に防ぐことができると思う。自分もそういうのをより一層、意識していきたいと思う。

    日々の意識を改めて見直し、新たに学ぶにはいい一冊だった。何度も読み返してみたい。また、著者の店にも一度行ってみたいと思う。

  • 僕が一番美味いと思っているバームクーヘンを作っているエスコヤマの小山進さんの本。小山さんの職人的面では無く教育者、経営者的面が多く語られています。

  • 「自分がその場所で何を伝えたいのか明確にならないと、どこで店を開いてもうまくいかないだろう」
    響いた。コンセプト。信念。そこにオリジナリティが宿り推進力になる。

  • モノづくりの素晴らしさを知れる気がしました。
    小山進さんのスイーツを食べたいと思いました。
    そういう素晴らしさが、ふんだんに盛り込まれた本だと思います。

  • ヨーロッパで400年のショコラに対応するには日本のものづくりの心で挑む。
    味噌、醤油、京番茶、黒七味、ゆず、抹茶、金ゴマ、大徳寺納豆の8種。
    数百年受け継がれてきた伝統の食材。しょっぱいと甘いが混ざると、思いがけない化学反応が起きる。
    そして、全てのストーリーを商品に入れ込む。

    ロールケーキはどこにでもあるケーキなのでお客様が比較しやすい。
    3年かかってできた普遍的なロールケーキ。
    ふわふわでもっちりした触感の生地でありながら、フィルムにくっつかない。
    卵黄と卵白を別々に泡立て、生地にたっぷり牛乳を入れ、オーブンで30分じっくり焼く。
    生クリームには少量のカスタード。
    祖母が炊いた栗の甘露煮を再現。やわらかくホクホクしている。
    生ケーキは鮮度が命なので賞味期限は1日だけ。
    本店だけで売る姿勢を貫き続ける。
    1500坪の敷地に店を構える。
    今のエスコヤマがあるのは、僕とスタッフとお客様とで作り上げた空間だから。

    「唯一無二になれ。」
    それに必要なのは常に新しいニュースをたくさんもつこと。
    プロとして「これがあなたの欲しいものではないですか?」と提案していかねばならない。
    今の時代、専門店に求められているものは、「何を大切にしているのか」というぶれない自分軸。

    「いい仕事」は自分の評価で決まるものではない。周りの人に評価されて、はじめていい仕事となるのだ。

    人脈を作るのではなく、「人が集まってくる自分になれ」
    結局のところ、自分はどれだけ人の役に立てるのかに関係する。

    最初に就職したハイジの面接では、社長に「なんでここを受けたんや?」と問われ、
    「僕は、ここの社長になりに来ました。」と答えた。

  • 巻末についてるレシピが嬉しい

  • とても良い本だった。
    考え方がとても好き。
    ビジネス本として、どんな職種、業界でも応用可能な内容だと思う。
    ときどき読み返したい一冊。

  • 丁寧が武器になるほど、心をこめて、力を注ごう。大丈夫。僕がそうだった。「丁寧な力」は必ず自分を助けてくれる。

    点をつないだら線になるしって、ジョブズさんみたい。こだわりの強さも。

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著者プロフィール

1964年京都生まれ。2003年兵庫県三田市に「パティシエ エス コヤマ」を開業。フランスのショコラコンクールでは初出品以来8年連続最高位を獲得し、2019年にはフランスで最も権威あるショコラ愛好会「C.C.C.」より、「世界のトップ・オブ・トップ ショコラティエ100」のうちの一人として表彰を受ける。また、2013年には敷地内に12歳以下のお子様しか入れないパティスリー「未来製作所」を創設。2019年9月にはメインショップをリニューアル。その創作活動はパティシエ/ショコラティエとしての領域に留まらず、2015年には絵本『The Lost Treasure』(作:小山進、絵:にしのあきひろ)を出版。フレーベル館でも2019年に絵本『ビートルくんと きんいろの バウム』(作:小山進 絵:松並良仁)の出版と、2020年には『幸せのボタン』パッケージデザイン依頼を受諾。ほか著作には『あなたの「楽しい」はきっと誰かの役に立つ』(祥伝社)等がある。

「2020年 『ショコラータはかせとしあわせのボンボンショコラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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