- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396633738
感想・レビュー・書評
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機内で映画が途中までしかみれなくて、本で読むことに。映画も緑が目に飛び込んでくるような感じだったが、本でも時期折々の景色が色鮮やかに浮かぶようでこれは映画化したいという気もよくわかる。
謎解きの要素あり(ナゾ自体は割と早めにわかってくる)、勧善懲悪のスカッとする部分もあり、泣ける友情あり、切ない昔の恋も今の成就する恋もあり、よくできたエンタメ小説。
老中を囲んでの朝食会が若手の登竜門で今日の仕事は全て決めるとか、まんまよくある会社でで、時代劇の体を借りた会社小説だ。おっさんになるほど、時代小説にハマるのもよくわかる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
男の強さは力だけではないと改めて確認。
強い…
展開もおもしろく、一気に読了。
映画を観るか迷うところ… -
私はおしゃべりだと思う。でも、それは話すのが好きなわけではなく、気弱で沈黙に弱いから。
帰って、テレビをつけない日がほとんど。
そんな私は、結構静かな雰囲気が漂う作品が好きである。
これもそんな作品。
直木賞受賞、かつ映画化というだけあって、設定などは小憎らしく上手い。
藩の命令で10年後の切腹を期限に、藩主の歴史を綴る秋谷。そこへ同じく刃傷沙汰を起こし、見張りとして蟄居七年目に送り込まれた檀野。
清廉潔白な態度の秋谷、そしてその家族と過ごす日々の影響を受ける檀野。
でも。。。あと一歩感動まで足りなかった。
なぜだろうと思い、もう一度読み直してみたが、やっぱり後一歩がない。
これは、海賊と呼ばれた男でも感じたことだけれど、本をコンパクトに抑えようとしすぎて、大事な部分をはしょりすぎている傾向にあるからではないかと思う。
プラス、このヒトの作品は「冬姫」もそうだけど、現実の苦労感や必死感がなく、嘘っぽいためかもしれない。
同じ静かな作品なら、三浦しおんの「舟を編む」の方が素晴らしいと思った。キャラクターが小さな事にも狼狽したり、失敗したりだけど、一生懸命で好感が持てる。それに対し、蜩の秋谷は、いかでかして生きたいという熱意に欠けていて、ある意味で周囲の自分を思ってくれる人たちにどうしようもできない悔しい気持ちを与えている。 -
さすが直木賞受賞作品。
面白かったです。
10年後に切腹を命じられた戸田秋谷の監視役として、秋谷とともに生活をするようになった主人公の檀野庄三郎。
庄三郎という第三者目線から見た秋谷の生き様、潔さが淡々とつづられています。
とくに盛り上がるところなく淡々と。
そのため、余計にその凄絶さが浮かび上がってくるような印象を受けました。
主人公をはじめとして秋谷の周りの人たちも、まっすぐで一本気のある人間として生まれ変わっていくようで、ぐいぐい惹きこまれてしまいます。
勢いで「潮鳴り」も手に取ってしまいました。
こちらも出だしから面白そう♪ -
◆武士の生き様に心ひかれました!◆
七年前に犯した罪で家譜編纂と十年後の切腹を命じられる主人公秋谷。その秋谷の監視と七年前の事件の真相探求を課せられた庄三郎の話は淡々と進むが、秋谷の悲しくなる位の実直さと虐げられた者への優しさは、敵対する家老にも言わしめる。「そなたは目立ったことをなすわけでもないのに、関わる者は生き方を変えていくようだ…」と。読む者に清々しさと日本人の理想とする生き様を示す。最後は涙だがカッコいい。(第146回直木賞受賞作) -
時代故の理不尽な運命に静かに向き合うそれぞれの精神に脱帽。静かだけど読み応えあり。
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ハズレのない重厚な歴史小説を次々と発表する著者がついに直木賞。映画化にもなり、期待して読み終えたのだが、出来栄えは微妙。
時は江戸時代。些細な失敗で山奥に流罪となった青年武士が、将来の切腹を命じられた老武士と交流し、運命を受け入れることの大切さを知り、成長していく感動作品。主人公の青年武士、老武士の息子、さらに敵方の家老まで老武士と交流した誰もが人生を見直そうとする。信念の強い人間の影響力を思い知る。
読み終えて、泣ける優れた小説だ。しかし、著者、葉室麟作品はこんなもんじゃない。ファンとすれば、「橘花抄」あたりで直木賞を受賞してほしかった。この作品が「直木賞=著者の代表作」となってしまうのがちょっと残念。 -
11/12
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元々時代劇(時代小説?)は得意ではない.
しかし,これには何故か引き込まれてしまった.
誰にも恥ずかしくない真っ当な生き方とは何か,考えさせられた. -
家譜編纂と10年の後切腹を命じられた男、とあったので結ばれなかった恋心と武士道と主君への忠誠に苦しむ男の生涯的なものかとおもっていまして、積ん読だったものを映画化をきっかけに読みました。
切腹を命じられた原因を目付役として派遣された男が探っていくのですが、羽根藩の世継ぎに纏わる陰謀、博多商人播磨屋との癒着、百姓一揆の予兆など、様々な要素が集約していくラストは良かった。秋谷にであって変わっていく庄三郎の様子の描写もとてもよかった。静かな湖面の様な日々に庄三郎という一石が投じられ、様々な波紋が浮かび上がってゆく。
ベロだしチョンマが、すべて持って行った感があったのですが…笑