蜩ノ記

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633738

感想・レビュー・書評

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  • 再読。
    江戸の武士農民のドラマ。
    七人の侍に並ぶ傑作か。

  • 映画を観てから原作を読みました。

    文章の方が登場人物の心模様をイメージしやすかったけれど
    時代背景や事件については文章だけでは難しかったので映画を観ておいてヨカッタな~と思いました。

    登場する女性達の奥ゆかしさが印象的なのと里山風景描写が美しい物語でした。

  • 【2016.4.26】
    冒頭から緑が目に飛び込んでくる。
    政治を巡る城下での武士たちの駆け引きなんかどうでもいいような豊かな季節の表情が争いの馬鹿馬鹿しさを際立たせる。人の代が変わっても、きっと変わらない景色がそこにあり続けるんだろうと思えるような山村部が舞台。

    決められた「死ぬ日」に向かって生きている戸田秋谷と彼の“罪”を晴らして彼の命を救いたいと奔走する壇野庄三郎を中心に、藩内の政紛、農政に対する村の農民たちの不満、いろいろな出来事が同時並行して起きていく。陰謀や殺しや不穏な動きも現れてミステリーのようでもある。
    結末は予期できるようでもあり、できないようでもあり、勧善懲悪だとすっきり割り切れるわけでもないけれどそれでも秋谷の生き方はグッと心に迫るものがある。

    ボリュームがあるのにあっという間に読みきれる。とてもいい話でした。

  • 苦手な時代物でも、これぐらいだと読める。

    淡々としつつ凛とした文体の中から武士の、農民の、青年の、子供のそれぞれの息遣いが伝わってくる。そして静かに話が進む中で、いつの間にかその世界に自分を連れて行ってくれる。

    秋谷の切腹は回避して欲しかったけど、でもそれがあるからこそ、色々な事が伝わってくる、色々な事を感じさせる小説なんだろう。

    人として誠実に生きて行く事の大切さを感じさせてくれる本。

  • NHK FM 青春アドベンチャー「蜩ノ記(全10回)」の原作
    http://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2015007.html

  • 感動した‼️

  • 江戸時代豊後の架空の小藩羽根藩を舞台に、奥祐筆だった庄三郎は、不始末がもとで、切腹のところを罪一等を免じられ、7年前に事件を起こし山村に幽閉され、家譜を書くことを命ぜられていた元郡奉行の戸田秋谷の補助、および監視を命ぜられる。最初は馴染まず、家老や筆頭祐筆の顔色をうかがっていたものの、次第に、秋谷の高潔な人柄、正しいことを恥じずに生きる姿勢に心惹かれ、秋谷が起こしたとされる事件にも疑いの目を向けていく。村でのさまざまな事件や家譜の作成が進められていくうちに、次第に真相があきらかになり…と。ひっかかるとすれば、信念と先見の明で幽閉中の身ながらも打てる手を先手先手で打ってきた秋谷が、拷問も辞さない役人たちの到来を予期しつつ手を打たなかったこと。いっても詮無いことではあるけれど。ただ、信じた道を突き進み、関わるものを心服させ、心には心をもってし、最初から穏やかではなかったにしろ、ある時点で腹をくくり、最後は従容と…いったたたずまいは心にのこる/「ひとは誰しもが必ず死に申す。五十年後、百年後には寿命が尽きる。それがしは、それを後三年と区切られておるだけのことにて、されば日々をたいせつに過ごすだけでござる」p.21/「だが、先の世では仕組みも変わるかもしれぬ。だからこそ、かように昔の事跡を記しておかねばならぬ。何が正しくて何が間違っておったかを、後世の目で確かめるためにな」p.46/「疑いは、疑う心があって生じるものだ。弁明しても心を変えることはできぬ。心を変えることができるのは、心をもってだけだ」p.126/「あのように美しい景色を目にいたしますと、自らと縁のあるひともこの景色を眺めているのではないか、と思うだけで心がなごむものです。生きていく支えとは、そのようなものだと思うております。」p.180/心空及第して等閑に看れば、風露新たに香る隠逸の花 p.186/「あの日のわたしはどうかしていたと思うが、いまになってはどうしようもない。江戸に出て学問をして学んだのは、おのれを顧みるということだった。古の聖賢の教えを学べば、いまからどのように生きねばならぬかがわかってくる。わたしは歩むことになった道を前に進むだけだ」p.203/「さようなことは自分で申せ。友とはいつでも心を打ち明けて話せる相手のことだぞ」p.229/「善行からは美しき花が咲き、悪行からは腐臭を放つ実が生るとな」p.243

  • 泣きました。でも、なぜ秋谷は切腹しなければいけなかったのだろう。自分の咎でもないのに、10年後の切腹を命じられ向山村に幽閉され、なぜ従ったのだろう。主君から疑われたとふてくされてないで、弁明したらよかったのに。頑なすぎる。家譜の編纂にしてもそう。書状一つにあんな拘らなくても。そのせいで源吉を巻き込んで死なせてしまって。そういうことが起きるとわかっていたはずなのに。なんかいろんなことに憤りを覚える。武士は理解できない。最期まで笑顔だった源吉の死がとても哀しい。

  • ★3.5ですか。★4としなかったのは、10年間の命というそもそもの設定にちょっと無理があるから。
    それでも王道の娯楽小説、この暑さも何のそのという感じで読めましたので良い作品かと。オチなんかはほぅっ、職人技と感心してしまいます。
    映画はどんな感じなのか?こういう画が浮かぶような作品だと、映像化した際のギャップが激しいからなぁ、、、

  • 葉室鱗さんの直木賞受賞作を読了。映画化もされた作品だが、さすがにいい作品で読み応えあり。書き残したい会話がいくつもあった。もう一度読みたいくらい。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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