蜩ノ記

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 436
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633738

感想・レビュー・書評

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  • 秋谷、庄三郎、郁太郎良し!!
    源吉は子供なのにとってもあっぱれ!
    泣きました。
    とっても良かったです。
    まだまだ私は人間出来ていません。

  • 「この世に生を受けるひとは数えきれぬほどおりますが、すべてのひとが縁によって結ばれているわけではございませぬ。縁で結ばれるとは、生きていくうえの支えになるおいうことかと思います」
    「あのように美しい景色を目にいたしますと、自らと縁のあるひともこの景色を眺めているのではないか、と思うだけで心がなごむものです。。生きていく支えとは、そのようなものだと思うております。」

    という場面が印象的でした。

    そして最後、秋谷が兵右衛門を殴りつけて去る場面。
    兵右衛門が秋谷が切腹することを受け入れた気持ちを同じ武士として理解していたこと。
    いずれ、息子が立ち向かってくることを、まぶしいものを見るまなざしで、楽しみにしていること。

    そしてもう一つ。
    秋谷が慶仙和尚を最後に訪ねたとき。
    未練はないといった秋谷に「まだ、覚悟が足らぬようじゃ」
    「未練がないと申すは、この世に残る者の心を気遣うてはおらぬと言っておるのに等しい。この世をいとしい、去りとうない、と思うて逝かねば、残された者が行き暮れよう」

    さすが和尚様。未練を残さないのが武士という者かも知れないけれど、人としてはそうとばかりは言えないでしょう、ということかな。

  • 真の武士の話。
    10年後に切腹を命じられた秋谷の凛とした佇まいが良い。
    温かい家族、見届け役の庄三郎の清々しさ、村の源吉の潔さが胸に染みる。
    武士ってこんなにも美しく哀しいものなのか...佳境泣かずにはいられなかった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「真の武士の話。」
      哀しい話なんですね、、、(未読)
      こちらも映画化、「博士の愛した数式」の小泉堯史が監督で、主演は役所広司、岡田准一だそう...
      「真の武士の話。」
      哀しい話なんですね、、、(未読)
      こちらも映画化、「博士の愛した数式」の小泉堯史が監督で、主演は役所広司、岡田准一だそうです。。。
      2013/03/26
    • メルさん
      nyancomaruさん

      >哀しい話なんですね、、、(未読)

      はい...でもグッときます。オススメです。

      こちらも映画化?...
      nyancomaruさん

      >哀しい話なんですね、、、(未読)

      はい...でもグッときます。オススメです。

      こちらも映画化?
      てか映画情報すっごく詳しくてビックリ!
      監督さんについても詳しいし。
      いつも情報ありがたいです。
      ありがとうございます(^∀^)ノ
      2013/03/27
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ビックリ!」
      いえいえ、放蕩息子なだけです。。。
      「ビックリ!」
      いえいえ、放蕩息子なだけです。。。
      2013/03/27
  • 初めて読んだ葉室鱗さんの作品。
    文章は端正でたいそう美しく、自然の描写や差し挟まれる情景を読むうち、自分の心が清められていくようでした。

    蟄居しなければならぬ身の戸田秋谷とその家族。
    目付の役を担った壇野庄三郎。
    村に暮らす人々と秋谷の息子の友、源吉もいて淡々と語られる日常。
    とはいえ、なぜ秋谷が幽閉される立場であるか、武家の権力争いや裏での悪事など、一筋縄に行かぬ人の世は今にも通じること。
    日々をおろそかにせず生きる志の高い秋谷が、この作品を品の良いものにしているように思います。

    源吉が幼いながらも示した生き方には胸が締め付けられました。
    郁太郎の思い、秋谷の思い、庄三郎の思いがじんじん胸に迫ってきて熱く心がうずいた作品でした。
    もったいぶらず、読みやすく、読者に親切な作家さんで好感を持ちました。他の作品も読んでみたいです。

    静謐な空気のなか、蜩の鳴き声に包まれるラストはやはり良かったです。
    この作品を堪能できる有り難み…。日本人に生まれてよかった(^ ^)!

  • 葉室麟さんの直木賞受賞作。
    初めて読む作家さんの美しい武士のお話でした。

    私にとって今年一番の作品。
    電車の中だったから我慢してたけど、どうにも我慢出来ず涙腺崩壊...
    源吉の健気なまでの真っ直ぐさに打ちのめされました。

  • 読み終わって、悲しくも清々しい気持ち。風景や人物、時代背景が細かく丁寧に書かれていて、いつも読むのが早い私もじっくりと読ませてもらった。登場人物たちの凛とした生き方に我が身を振り返らされる。直木賞受賞作品。

  • サイン会参加してしまった♪
    とても暖かいかたで、あぁ、人柄が作品に滲み出ているのだなぁと感じました。

  • 後半の展開から読むペースが早くなる。これが武士のあるべき姿なんだろうなぁと思わせられる。

  • 源吉がかわいそうでたまらず。
    ---わたしは源吉の生涯の友でいたいのです--- 郁太郎の決意を受け止めて見守る秋谷と庄三郎。庄三郎が秋谷と共に過ごすことで感化され、どんどん武士らしい武士になっていく。それなのに、そんな日々が期限の日に近づいていく、ということがもどかしかった。
    秋谷の武士として人としての生き様が真っ当で潔く、こころにじんじんきます。

  • 第146回直木賞受賞作。
    九州のとある藩を舞台に、切腹を命じられ山奥の村に幽閉されている武士とその家族、そして彼らを監視するために派遣された若き武士の交流を描く。
    藩の権力争いや、武士と農民の対立なども描かれていますが、期限が決めれていて、3年後に切腹しなければならない戸田秋谷(とだしゅうこく)とその家族の生き方が鮮烈に印象に残る作品。
    家族を想い、懸命に生きる人々に涙しました。
    対して己のためだけに生きる人間のなんと浅はかで醜いことか。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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