蜩ノ記

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 2352
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633738

感想・レビュー・書評

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  • 直木賞受賞作ということで手にしました。
    主人公の戸田秋谷は10年後の切腹を命じられる。
    最期の時を決められた人はどのような心持でその時を迎えるのか・・・
    自分の信ずるもの、大切なもの、守らねばならないもの。
    生き方、生き様、死への覚悟、そして最期の時。
    秋谷という人の思いの深さ、潔さが心に響く。

  • よい。
    藤沢周平ぽい。

    これほど清廉な死を描いた小説もめずらしい。
    「生きることは死ぬことと見つけたり」でなく、「死ぬこととは生きることと見つけたり」という感じ。

  • 2011年下半期直木賞受賞作。
    戸田秋谷は羽根藩の郡奉行や中老格用人を勤めた文武に秀でた人物であったが、藩主側室と密通し、それに気づいた小姓を切り捨てたという罪により切腹を言い渡される。しかし、藩主三浦家の家譜を編纂するために、切腹までに10年の猶予が与えられ、かつて郡奉行を務めた向山村に幽閉されている。
    城内で刃傷沙汰を起こした檀野庄三郎は、家老中根兵右衛門の命により、切腹を免れる代わりに、秋谷の家譜編纂の手伝いと見張りのために秋谷の下へ使わされ、秋谷一家と共に生活をするようになる。庄三郎は、3年後に切腹と決まっている秋谷の、実に清廉で潔い人となりにを知り、事の真相を明らかにして秋谷の命を救いたいと願う。
    ここに描かれている秋谷の武士としての矜持、強い意志、清廉な人柄に心を打たれる。秋谷を心から信じる家族、貧しい中で懸命に生きる村人達、自身の地位の安泰のために謀略をはりめぐらせる家老など、様々な人間模様のなかで、秋谷の生き様と死に様が一点の曇りもなく輝いている。読後感は切ないが清清しい。(藤沢修平の小説の世界と似ている印象を受ける。)

  • 源吉と秋谷が人として出来すぎている。そんな2人のさいご。報われないけど、報われた気がした一冊。

  •  殿様の側室との不義が疑われて切腹を命じられている武士を中心にした物語。そこへ見張り役に藩から派遣された武士が、なぜ不義が疑われるような羽目になったのかを調べるうちに、藩の闇の歴史に突き当たっていくというストーリー。やや藩の歴史が複雑すぎて途中でこんがらがってくるところは少し残念だったが、でも素敵な登場人物たちと素敵な雰囲気の物語だった。

  • 武士として、人として真っ当に生きることの清々しさ。

  • この読後感の良さはなんだろう? 命の期限を決められた秋谷の強くまっすぐな生き方がベースだけれども、松吟尼への潔くちょっと切ない想いの演出もイイ感じ。”悪代官"的キャラとの対決構造もわかりやすくて"後半一気"な面白さでした。

    • nori-kokkosanさん
      これ、よかったよね~
      ぜひ「狐笛のかなた」も読んでみてね。オススメです(=^0^=)/
      これ、よかったよね~
      ぜひ「狐笛のかなた」も読んでみてね。オススメです(=^0^=)/
      2016/09/16
  • 言葉がきれい、と評価されていたとこともあり確かに季節の移ろいを表現する言い回しが情緒があってきれい。とても作品の繊細さを感じる。楽しむというよりも、心静かに読むものかなと。死にゆく者、残される者そういう人たちの気持ちをゆっくり考えることができる作品。

  • フォトリーディング
    武士の生き様

  • 10月5日に映画を見る 主役の役所広司が好演 146回直木賞受賞作品
    家族のうえには重くのしかかる暗雲があるはずだ。だが誰もそのことに触れず、懸命に普段と変わらぬ会話をしている 正当な年貢などというものはない。百姓にしてみれば年貢などない方がよいのだ。だが武士は年貢がなければ食ってはいけぬ。おたがい生きるために食い扶持を取り合うのであるからして、いがみ合うのも無理はない この世に生を受けるひとは数えきれぬほどおりますが、すべてのひとが縁によって結ばれているわけではございませぬ。縁で結ばれるとは、生きて行く上で支えになるということかと思います 心がけの良きものはより良き道を、悪しきものはより悪しき道をたどるように思える

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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