ひと

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635428

感想・レビュー・書評

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  • 両親を亡くし大学を中退。空腹で呆然と歩いていた所に商店街のお惣菜屋さんがあった。最後一つだけのコロッケを後から来たおばあさんに譲った事から運命が変わっていく。
    聖輔がとにかくいい人。優しくて真面目、だからいい人に会えるのかな。基志だけは大嫌いだけど。

  • 大切なのはものじゃない。形がない何かでもない。人だ。人材に代わりはいても、人に変わりはいない。

  • 嫌な文体でないし、平易に話が進んで読みやすく、小説として特別ものすごい事件が起こるわけでもない。
    (もっとも、主人公にはものすごい事件が起きているわけだけれども…)

    でも、なんか良かったなぁ。
    平易な言葉なのに、どの人物もリアルに浮かび上がってくるし、それわかるよなぁと思うような心情描写もすごい。

    青葉、高瀬涼みたいな人間はダメだよ。
    青葉が高瀬に違和感を抱く人で良かった。

    「プラスが生まれたときよりマイナスが消えたときのほうが人はずっとうれしいんだってわかったよ。」(←これをどういう事象に対して剣が放った言葉であるかは置いておいて)、主人公の聖輔同様、私もこの感覚は(違う事象においてだが)よくわかる。

  • 聖輔が翼を広げ飛び立とうと、一歩踏み出したところで終わった
    なんと余韻を残した素敵な終わり方だろう!
    続きが読みたい!
    しかし、続きはそれぞれの読者の方で描いてくださいということだろうか

    そして、なんと静かで力強く温かい物語だろうか!

    父を亡くし、母を亡くしひとりぼっちになってしまった柏木聖輔
    でも、ひとりきりじゃなかった
    鳥取にも、銀座にも。 新習志野にも、南砂町にも親切な人はいた

    随所に出てくる人の温かさ、その度に涙が出た

    なけなしの50円で分けてもらった揚げたてのメンチカツ、カリカリの衣で上あごが擦れる
    このあつさは、人情のあつさだ

    「そんなことで礼を言わなくていい。聖輔は人に頼ることをおぼえろ」
    と、言ってくれる惣菜屋 田野倉の大将

    「一人でがんばることも大事。でも頼っていいと言っている人に頼ることも大事」
    と、そっと白い封筒を差し出してくれるいよ子さん

    そして、何より200円のあらかわ遊園を一緒に楽しんでくれる井崎青葉がいる

    17歳のときに父が亡くなり、、20歳のときに母が亡くなった。
    悲しいことはもうすべて起きてしまった。
    この先泣くことはないだろうと思っていた。
    ちがった。21歳で僕はあっけなく泣いた。
    悲しくなくても涙は出る。

    僕は21歳。急がなくていい。一つ一つだ。急がないがとどまらない。そんなふうにやっていけたらいい。先は大事。でも今も大事。先は見なければいけない。でも今も疎かにしたくない。
    だって僕は、生きてる。

    がんばれ、柏木聖輔!と心からの声援を送りたくなった


  • 両親を相次いで亡くし、退学も中退した主人公が出会った人たちとは。

    直球なタイトル。
    悪人もいるし、ちゃっかり者もいるけれど、基本的にはいい人ばかり。
    ちなつちゃんがかわいい。
    出番は少ないけれど、ぱぁっと花が咲いたような明るさ。
    主人公が年齢のわりにあまりに無防備で、うーんと思うところはある。
    2019年本屋大賞2位というほどの感動には至らなかったけれど、穏やかな中に心あたたまるものはあった。

  • フォローさせて頂いてる方のレビュー見て、この本を読む。良かった。一気読みしてしまった。小野寺先生の人柄もきっとこんな感じなのだろうな。次は「まち」を読んでみたい。

  • 高校生のときに事故で父を亡くした聖輔は大学生で母を病気で亡くした。一人っ子の聖輔にそんなことがあるのだろうか。聖輔自身も強くそう思っただろう。従叔父からの無心って・・そんなことまであるのか?
    しかし、それから聖輔が生きようと前を向く姿が、ゆっくりだけれどよかった。青葉に会えたのもよかったんだな。

  • 父を事故で亡くし、その後母を突然死で失った。
    残された僅かな遺産には親戚がたかる。

    大学を辞め、ベースもやめ、人との繋がりも失い、全てを失った柏木聖輔。空腹で覗いた惣菜屋田野倉で買おうとしたコロッケを他者に譲ったことから、彼を取り囲む<ヒト>が動き出す。
    どん底の中でも、自分を必要としてくれる人がいる。他人には譲れないものができる。
    静かな世界観なのに、力強い一歩が踏み出せそうな気持ちにさせてくれる作品。
    ラストの加速感もよかった‼️

  • 3年前に父親を亡くし 母も死んでしまって東京にひとりぼっち、天涯孤独な柏木聖輔。
    砂町銀座の総菜屋のコロッケが縁で、ひと と繋がっていくっていうイイ話。

    なんだろう、昭和っぽい。寅さんみたいな、人情モノ。
    悪いヤツ、嫌なヤツも出てくるには出てくるが、惣菜屋さんや”砂町銀座の人々”がイイ人。
    同郷の同級生もイイ人。
    そもそも 柏木聖輔くんがめちゃくちゃ道徳的な人。
    天涯孤独で 一文無しでも コンビニも牛丼屋も我慢して働いて自活していく ................ うーん ............

    ベースを諦めるくだりは、よかったんだけれど、弦をさっさと取り替えてしまう違和感。
    取り替えてあげるのはわかるんだけど、800円のラーメンが月に一度の贅沢ってコが、ベース弦セットをパッと買ってしまう現実味の薄さよ。

    道徳の教科書だよなぁ.........

  • 物語に波があるというよりは最初から最後まで緩やかでその中に主人公の生活が溢れていて読みやすい本でした。大学生という若さで大切な家族の死を2度も経験して、社会人になって既存の人間関係と新しい人間関係の両方の中で生きら主人公。話が緩やかだなと感じるのは主人公の冷静さや落ち着いてることまた彼の礼儀正しいところから来ているのではと。読みながらこの本に声援を送っている感じでした。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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