ドライブインまほろば

著者 :
  • 祥伝社
3.89
  • (40)
  • (92)
  • (45)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 454
感想 : 75
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635572

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  虐待し続けられた憂、胸が痛みます。

  • 母親の再婚相手を殺してしまった少年が、腹違いの幼い妹と幻の池を探す旅に出る。
    寂れたドライブインの女店主が彼らを保護するが、彼女にも癒されない過去の傷があった。

    双子の関係性と性格の違いが興味を牽く。
    今までの作品とくらべてラストに救いが残されている。

  • 2019.1.22

  • 読んでる間は胸が痛くて仕方なかった。綺麗事にすぎないかもしれないけど、最後に救われた。

  • 小学六年生の憂は、5歳の妹・来海を連れて、幼い頃祖父から聞いた「ドライブインまほろば」に逃れてきた。
    憂は、父母から虐待を受けて育ち、母の再婚相手である義父・流星からも虐待を受けた末に、流星を撲殺してしまったのだ。

    店主の比奈子は、憂の告白を受け入れ、「夏休みの終わりまで」ふたりをかくまうことにする。
    比奈子もまた、幼い娘を喪った傷に苦しみ、夫や双方の両親と苦悩を分かち合うことも出来ず、ひとりになるためにここに逃れてきたのだった。

    そして、流星の双子の兄・銀河は、憂が持ち出した兄弟の違法行為の証拠となるデータを取り戻し、弟を殺した憂に復讐をしようと兄妹の行方を探すうちに、憂の祖父を殺してしまう…


    苦しい。苦しい。痛い。苦しい。辛い。苦しい。
    絶望と孤独の底に、さらに信じられないような残酷もある、ひたすら苦しい運命がふりかかる。
    けれども、それでもなお、そこにありえないほどに美しいものもある…奇跡も、きっとあるのだと、ひとかけらの希望を残してくれる物語。
    しばらく口もきけないほど消耗したけれど、静かに満足。

  • オブリヴィオンが印象的だったのでまた読んでみたけど、新年一発目に読む本ではなかったかもしれない…。
    遠田さんが書く嫌な人は、もれなく絶妙にあり得そうな暗い過去を背負っていて、その過去がありながらも懸命に生きようとしたけどうまくいかなかなかったり過去を繰り返してしまったりという人ばかり。負のスパイラルに落ちきったあとから始まってるところがつらい。
    重い小説だったけど、ぐいぐい引き込まれて一気読みでした。
    生き残ったみんなが、せめて人並みの幸せを手にいれてくれたらいい。

  • 人の不幸を書かせたら右に出る者はいない、遠田潤子の最新作。
    虐待され続け、生きる意味を見つけるため十年池を探し求める少年・憂、親に捨てられ荒れて育ってきた双子の兄弟である銀河と流星、そして、交通事故で我が子を喪い「ドライブインまほろば」で、ほぼ隠遁生活に近い形で精神をすり減らしながら暮らしている比奈子がメインの登場人物。
    上に書いただけでもアレだが、読み進めると、いやぁ本当に酷い(誉め言葉)。
    遠田作品にしては珍しく「グッドエンド」と言えるようなラストだったが、これはこれでよいものだ。

  • 哀しい、でもラストに希望あり

  • 今年初めて読んだ作家でお気に入りの遠田潤子さんの新作。
    今年遠田さんのいろんな作品を読んだけど、そこにはいろんな家族が描かれている。今回は義父を殺してしまった小6の憂、実の母が起こした交通事故により一人娘を亡くした比奈子、親に捨てられ双子の弟と肩を寄せ合い生きてきた男・銀河を通し、親子、兄弟、家族、そういうものについて深く考えさせられる作品だった。

  • 最初の数ページでやられた。
    自分の犯した犯罪を見つめる主人公の描写。
    逃亡しようとする彼はランドセルを開ける。
    親子関係の難しさを軸に、少年とドライブインまほろばの経営者の女性との出会い。
    幻の10年池の透明な美しさ、深い緑の木々の風景。人間の汚さと自然の美しさ。
    一気に読ませてくれました。

全75件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×