ホームシックシアター

著者 :
  • 実業之日本社
3.40
  • (3)
  • (8)
  • (18)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 69
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408535166

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 女性が主人公の短編集。

    ちょっとぞくっとする話が多く、いや~な気分になりがちだった。

    特に、『小指の代償』
    恋人と、自分の友人と3人で行ったスキー場での事故。
    被害者は友人、加害者の一人が自分の恋人、
    友人の右手の小指がなくなってしまう。
    その事故後、結婚は延期することに。

    こんなことがあったら、と、背筋が寒くなりました。
    あってもおかしくない事故、怖いです。

    最後の話『おさななじみ』
    偏差値が高く、東大を目指すことだけがすべてだった主人公。
    幼いころ仲の良かった隣に住むおさななじみは、高校を中退して、パチンコに明け暮れる日々。
    でも、自分の祖母を見舞ってくれていた優しい子だった。

    この話が良い話で、救われた感じ。
    途中、う~~んと思う話もあったので、差し引きして、☆4。

  • 「私の胸に生まれて初めて芽生えた殺意という感情」という帯を見て気になり手に取った。
    ぞっとするような、殺意を持ったり持たれたりの
    6個の短編。
    ぞっとする話の中で「おさななじみ」はちょっと他の話とは違う感じ。よかったねーという終わり方でほっとした。

  • 短編ごとに徐々に話に引き込まれる。ぞっとするような話が多いが、読み終わった後はなぜかすっきりした。

  • 全て女性が主人公の6話からなる短編集。
    この作者の本は4冊目ですが、今まで読んだ中でこれが一番面白いと思いました。

    「蝉しぐれの夜に」
    子供が出来なくて悩む主人公の女性とそんな彼女に無神経な言動を繰り返す親友の女性。
    その言動の裏にあるものを主人公はある時偶然に知る事となる。

    夫を愛していて、その夫の子供が出来ない事に苦しみ涙する女性の姿がとてもいじらしく感じられました。
    ただの無神経で何も考えてないと思われた親友の女性にも彼女なりの悩みがあって-。
    人はつらい事や心にわだかまりがあるとどうしても他人に優しくなれない・・・そんな心情もよく分かりました。

    「ホームシックシアター」
    夫は単身赴任のため、自分の好きな事をして一人暮らしを満喫している主婦。
    彼女の楽しみは夜中にホームシアターを見ること。
    そんな彼女の隣の部屋に一人の女性が引っ越してきた。
    実はその部屋は以前人殺しがあった部屋で、事件の後、住人が次々と出て行ったという経緯があった。
    主人公自身も誰か分からない相手から入居後まもなく嫌がらせをされていて-。

    これは結末に驚いた。
    「ああ、そうか・・・、そうだったのか・・・。なるほどね~」って感じ。
    これを読んでパッと浮かんだのは「楽あれば苦あり」って言葉。
    普段からよくその言葉を感じながら生活しているせいかも・・・。
    徹底して自分の嫌な事はしない。好きな事ばかりする。
    そういう生活っていつかツケがくるのかも・・・。
    表題作でもあり、これが一番面白いと思いました。

    「オーバーフロー」
    デパートの靴売り場で働く女性が主人公。
    彼女は婚約者と同棲していたが、彼の以前つきあっていた女性が部屋に押しかけて来て彼は一時家を出る事にした。
    彼の身を心配する主人公は婚約者の姉から彼がいなくなった本当の理由を聞かされて-。

    「セルフィッシュ」
    主人公はお金持ちのお嬢様。
    彼女は臓器提供意思表示カードにサインをした後、一人の男に声をかけられる。
    彼の妹はレシピエント-臓器提供を待っている患者で、彼は臓器提供に同意した彼女にお礼をしたいと言う。

    これは大体思っていた通りの結末。
    でもその思っていた通りの結末があまりに衝撃的で・・・こうくるか、という感じだった。

    「小指の代償」
    親友が事故で小指をなくし、その場にいた事で罪悪感を感じる主人公とその婚約者は婚約を解消した。
    これはドロドロした話?と思ったら意外にも・・・という話。

    「おさななじみ」
    おさななじみと再会した事で甦る過去のあれこれ、母親との確執。
    これもイイ話系で、この話が最後にある事で読後感は良かった。

    この本は人によって、この話がいい、好きというのは分かれそう。
    それによってその人の普段の好みとか分かりそうで・・・。
    シェアしてみたい本だと思いました。

  • 初めての作家さん。
    6話の短編集。

    表題作の「ホームシックシアター」はぞくっとした。いちばん好き。

    胸がぎゅっとなった「小指の代償」、
    心の変化が心地よかった「おさななじみ」など。

    次は、「火群の館」を読んでみよう。

  • 短編集
    蝉しぐれの夜に    不妊治療に悩んでいるのは自分一人ではなかった。 小町で聞いたような話
    ホームシックシアター 隣の部屋で殺人事件がありました。 隣人トラブルが原因でした。 しかし実は自分の大音響のホームシアターのせいで、関係のない人が殺           されてしまいました。 被害者の妹に乗り込まれてしまいました。 自己中心的な生活をしてはいけませんネ。
    オーバーフロー    地味な女が結婚詐欺未遂に遭ってしまう。 さて どう制裁を加えてやろうか・・・
    セルフィッシュ    金持ちの我儘娘がドナーカードを見られたことによって 既にいなくなってしまった妹の為に臓器を狙って殺されてしまう?
    小指の代償      スキーを楽しんでいる時 婚約者が転倒し誤って友人の小指を切断してしまう。後 婚約解消。
               友人との関係が悪化(上下関係が出来てしまう)2泊3日で小指と指輪を探す事になる 友人にどうすれば 許してもらえるのか?・・・
    おさななじみ     母の教育に対する信念の下 幼馴染(祖母との関係良好)と疎遠になっていく 母親に対して疑問を持った時
               幼馴染を見て祖母を蔑ろにしてきた自分に気付く。母に対しても 許す気持ちを持つ日は・・・   

春口裕子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×