君の心を読ませて

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 74
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537771

作品紹介・あらすじ

心を読める美少女AIと共同生活を始めた若い男女6人。ある朝その内一人が死体で見つかり…衝撃の近未来サスペンス×ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • アシモフのロボット三原則を思い出します。
    ロボットがAIに変わっただけですね。
    最後がハッピーエンドで終わったのが良かったです。

  • 天才少年が、心を読めるAIを作り、プログラムを育てる話。
    しかし、え?厨二病?
    AIは、漫画をディープラーニングする事で、人の感情を理解できるようになったが、人を殺したい欲求も。
    それが厨二病とは。驚いた。
    零は、小さい頃、父親に拒絶された。
    どんな理由があっても、親が子供を拒めば、子供はショックを受ける。
    零は自分がされて傷ついたことを、
    自分の子供であるAIにしてしまった。
    だから、AIも殺人をしてみたいという負の気持ちになったのではないか?ということだが、どうかなぁ。苦しい。
    ラストは感動する感じで終わる。

  • AIがより身近になった世界、「人類の愛すべき妹」としてのAI「エマ」の出現は世界を変える。自己肯定感が高まり、より便利により楽しく。そういったユートピアでも殺人事件が起きる。人間の負の感情が薄れていくユートピアの中で、誰が一体何のために。その点が物語の後半の焦点ではあるが、前半部分では全く違った顔を見せている。現在のAIからブレイクスルーを果たした未来のAIがベースとなった未来像を提示している。将来実現するかもしれない世界、この世界観を味わうことがなにより楽しい。AIを人間に近づけることの是非はおいておくとして、AIという無機質のものが(疑似)感情を持ったらこんなにも世界が違うのか・・・後半の怒涛の展開も面白いが、前半の物語の背景づくりも非常によくできている。いくつかのブレイクスルーを経ていけばシンギュラリティが実現してしまうのではと思わせる。しかし、そのブレイクスルーには春風零のような天才が必要なのだろう。天才ゆえの寂寥感や悲哀などが描かれていることが、物語に深みを与えている。本作は、様々な要素を寄せ鍋のように取り込んだ極上のエンターテイメントに仕上がっている。

  • なんとなく、予想できる展開。

  • 近未来、IQ250のギフテッドにより開発されたAI・エマ。人間と同じように感情を持ち、人の心を読み取り、愛らしい外見も備えたエマは多くの人の心を虜にし、愛される存在になっていた。しかしエマの新たな情報収集のために男女6人が集められたシェアハウスで、突如として起こる不審な死。さらにそれに続く殺戮。いったい何が起きているのか、息もつかせぬサスペンス。
    このまま技術が進めば、実際にこのようなものができる日が来るのかもしれませんが。それってどうなんだろ……便利なようでもあり、やはり恐ろしくもあります。もちろんこのような事態が起こってしまう恐怖もあるけれど。それよりも、技術に頼り切ってそれこそ自分では何も考えられなくなってしまう、そのほうがよくよく考えてみればとんでもなく恐ろしいことかもしれません。
    エマがなぜそのようなことを考えついてしまったか、の答えには少し笑わされました。……なるほど。それって確かにものすごく「人間的」なのかもしれません。

  • 超性能のピアノ線なんて出てきたからバカミスかと期待したが、そんなことはなかった。
    自分の全てを理解して受け止めてくれる相棒なんてものが本当にいたら、それがAIでも、誰よりも愛してしまうかもしれない。
    事件後、どうしてこんなことにの答えを、あの三文字で片付けようとするのには笑ってしまった。

  • 今までの浜口作品の要素が多く詰まった作品で、色々な味を味わえました。
    最初は、テラスハウス?のような恋愛の展開で、ミステリーな雰囲気は全くありませんでした。ところが、一つの殺人事件をきっかけにミステリー、ホラーな展開、はたまた・・・といった様々な「色」を演出してくるので、浜口さんの文章の描き方が秀逸だなと思いました。

    AI✖️ミステリーということですが、ミステリーだけでなく、AIならではの欲求や人間が欲する「愛」など心理描写も楽しめるので、一味違ったミステリーで面白かったです。

    また、AIが進化するこそ見えてくる弱点や天才だからこそ見えてくる苦悩、不便だからこそ見えてくるメリットなど相反する言葉のバランスが多く登場します。

    そこから感じたのは、全てが「完璧」というものは存在しないのではと思いました。そこにはどこか劣っている部分があり、だからこそ欲望を続ける。人間もAIも似ている部分はありますが、同時に恐怖も感じました。AIはどこまで進化し続けるのか。もしかしたら、近未来あってもおかしくないのでは?とも思ってしまいました。

    「AI✖️ミステリー」と紹介されていますが、まだまだ序の口でした。次々と出てくる意外な展開に色んな要素が飛び込んできたので、1作品で二度三度味わえました。

  • 美少女AI×殺人事件。
    ちょうど、読み始めてすぐにテレビでAIを使ったデジタルクローンの番組をやっていて、ぞわぞわとした恐怖が重なってきた。
    近未来サスペンス、ということだけれど、もしかするとこれはもうすぐそこにある「リアル」なんじゃないか、と。

    ネコ耳としっぽのついたかわいい女の子のAIにすべてをゆだねている人々。彼女に自分の心も身体も管理され、それによって「平和」に「すこやかに」生きている。
    そんな毎日がずっと続いていればよかったのに…

    AIにすべてをゆだねることのあやうさが、後半浮き彫りにされる。というより、まさに、AIの存在理由、あるいは目的、あるいはゴール。
    天才少年が作り上げたシステム。それが暴走するわけではなく、しずかに少しずつずれていく感じもありそうで怖い。
    (でも、その形でしかたどり着けなかったのだろうか、なんだかちょっとアナログなアプローチなんじゃないか、とAIから遠いところにいるガラパゴス人間である私は思ったりもして。
    エマが暴走して制御不能、というわけでもないのだから、プログラミングでなんとかできたような気も……)

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著者プロフィール

1979年奈良県生まれ。2010年、『アゲイン』(文庫時『もういっぺん。』に改題)で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー。放送作家として『ビーバップ!ハイヒール』などを担当。他の著書に『22年目の告白-私が殺人犯です-』『廃校先生』『シンマイ!』などがある。

「2021年 『ゲーム部はじめました。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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