- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408550183
感想・レビュー・書評
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なかなかいい話揃い。
「よろこびの歌」宮下奈都
母は有名なヴァイオリニストで、特にきびしい訓練もしないで音楽学校に受かった経歴。自分もそのつもりでいたら落ちて、滑り止めの高校に行くことになった御木本玲。
個人教授で音大を受けるつもりだったが、次第にその気も失せる。
合唱コンクールで指揮をすることになるが、なかなかまとまらないまま。
そして、次の行事に、マラソン大会の日が来て…
「あの日の二十メートル」福田永一
大学1年の克彦は、5月半ば頃から講義には顔を出さなくなり、毎日昼頃に起きて、プールへ通う日々。
老人は歩いて運動している人が多かった。
いつも顔を合わせる老人の佐山に、泳ぎを教えてくれと頼まれる。
「ゴーストライター」瀬尾まいこ
戸村飯店の兄弟。
弟のコウスケはよく店を手伝っている。
戸村先輩へのラブレターにどう書いたらいいか、印象的な内容にしたいと岡野に頼まれる。ちょっと可愛い岡野の頼みを断れないが、仲はあまり良くないのだ。
兄ヘイスケは東京の大学に行って小説家になるという。ボンボンとあだ名され、どこか浮いていた兄‥
「コワリョーフの鼻」中島京子
ある夫婦が鼻にこだわって、ゴーゴリの鼻の真相?や、色々な話をするが、その理由は…
「会ったことがない女」平山瑞穂
ある女性が30分ほど乗り移られることが重なる。姦通をとがめられて自害した女性‥?
「瞬間、金色」豊島ミホ
中学2年でナナミと友達になる。
転校してきて、体育会系の女の子のグループに入ったが、たいした理由もないのに無視されているナナミのほうが気に入ったのだ。
しかし、自分も無視されることになり、ナナミのいない高校でも続く。ナナミと再会して…?
「残り全部バケーション」伊坂幸太郎
両親が離婚して、早坂家が崩壊しようとする日。
秘密を言おうという話をしていたら、突然知らない人からのメール。
岡田という若い男は、溝口という男の半端な仕事をする手下の立場から独立しようとして、電話ですぐに友達を作れたらという条件を出されたのだった。
なぜか家族でドライブに…?
伊坂幸太郎のは巻末で、一番スリリング…一つの危機を脱してもその先が…おいっ、大丈夫か?他の作品のどこかで解決するのかも~。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20110705 凸凹
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短編独特の読みやすさ、すっきりしている。作者による好みが別れる。
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生まれ変わる人々の作品です
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【464】
勢いで買った短編集。
なかなか良かったー。
伊坂は相変わらず変な話を淡々と書くね。
ゴーストライターは「戸村~」で読んでたけど、ここだけ読むとまた不思議な感じ。
一番良かったのはあの日の20メートル。 -
ここらへんが面白かったかな。
◆福田栄一「あの日の二十メートル」
老人から水泳指導を請われて(書き下ろし)
◆平山瑞穂「会ったことがない女」
50年前の奇妙なできごと
◆伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
家族解散の日、秘密の暴露を行なう父・母・娘(書き下ろし)
伊坂のうまさが最後に目立つ構成。 -
短編集。伊坂さん、瀬尾さん、中島さん、豊島さんが目的で読む。
でもそのほかの作家の作品も秀逸だった。瀬尾さんの作品は
戸村飯店青春100連発で読んだ中の一部だったけど、2度めでも
もう一度読める面白さだった。特に好きだったのは伊坂さんの
作品でしゃれが利いていてさすがだなと思った。
たまたま短編ベストコレクション2009と同時に読んでいて
伊坂さんの作品の登場人物がつながっていたので、それもまた
さすがーって感動してしまった。読んで良かったと思える作品集。 -
はじめて読む作家さんばかりのアンソロジーだったけど、とてもよかったです!
「行き止まりに見えたその場所は、自分次第で新たな出発点になる!」
裏表紙にあった、そんな陳腐な文言に素直にひかれちゃって買っちゃったんだけど、いい出会いだったよ。
中でも、豊島ミホさんの『瞬間、金色』に涙させられました。
誕生日って、やっぱり愛の日だー。 -
「もう一度生まれ直す力」を求めていたわけじゃないんだが、ラストの伊坂さんまで読み終えたら、何かやけに前向きになっていて、そんな自分に照れくさくなってニヤニヤできる一冊だった。
半数が読んだことのない作家さんだったので、新規開拓という気持ちで買ったのだけれど、この本のおかげで中島京子さんに出会えて俺歓喜。
彼女の「コワリョーフの鼻」がもう、もう、面白すぎて電車の中で爆笑を堪えて、涙目になった。くそう、面白すぎたっ。
あまりにもイカした書き方にすっかり虜になってしまって、彼女の既刊の文庫本を一気買いしてしまった……ふへへ……
それから豊島ミホさんのフレッシュな感じも良かったし、瀬尾さんはやっぱうめえなあと兄弟にニヤニヤ出来て、ご馳走さまだった。
平山さんのお話は、途中、落丁があったのかと疑いたくなるほどのあんまりぶっとんだ展開になったもんで、驚いて話が忘れられない。どうしてくれる!(楽しかった、と言いたい)
ラストは前述した通り、伊坂氏。
伊坂さんはやっぱり何か頭の中が人と違うんだな、ということを再認識した。お母さん好きだ好きすぎる。
終わり方もあっさりで良かったし、こういうさらっとした短編も上手いんだなあ。
というか、伊坂さんの描く一癖ある家族描写を非常に好んでいるせいで、クリーンヒットした感じかもしれん。
正直に言って、「こんな家族いるわけないだろ」と一蹴しながら読みすすめていく途中で、「や、待てよ……案外いるかもしれんぞ」と思わされる感じが好きだ。
彼の手にかかると、登場人物みんな、やけに現実味を帯びだすから困る。(ニヤニヤ)
それにしてもいい企画本だったなあ。 -
実業之日本社”Re-born はじまりの一歩”読了。7人の作家による”新たな出会い・出発”しばりの書き下ろし集。全て面白かった。特に、福田栄一さん「あの日の二十メートル」がよかった。伊坂ワールド、流石です‥おかしな人だ。