言語と行為

  • 大修館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469210729

感想・レビュー・書評

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  • 私の修士論文の参考文献(その1)。発話行為理論の創始者であるオースティンが、自然言語の様相と行為の関係について思索した成果をまとめた本である。
    私は長い間、形式論理と集合論を用いて世界中のあらゆることを記述できると考えていた。修士学生の頃は、このアプローチで人工知能を実現しようとしていて、自然言語を形式論理に変換するためのルールとして、発話行為理論を援用しようとしたのである。そのために言語哲学の本をいくつか勉強したうちの1冊。もちろん、このようなアプローチが上手くいくはずもなく、研究成果は箸にも棒にもかからなかったのであるが、私のこれまでの人生において、この時期だけは人工知能というものを前向きに捉えていたことも確かである。

  • 哲学資料。言葉で言葉を語ることの困難。

  • 発話は、次の二つがある。
    事実を述べたり出来事を報告したり記述する「叙実的発話(constatives)」と、そのことを述べること自体が何らかの行為遂行であるような「遂行的発話行為(performatives)」である。
    しかし、両者は必ずしも区別されるものではない。なぜなら叙実的発話も、遂行的発話行為同様、なんらかの社会的作用をもたらすことで、行為を遂行しうる。

    そこでオースティンは、発話を発話行為として捉え、発話行為を以下の三つのレベルで分析する。
    ①発話行為/②発話内行為/③発語媒介行為

    ①は発話され、意味が了解されるレベル。
    ②は発語行為の内に遂行される行為。たとえば「約束」「警告」「判決」。
    ③は②発語内行為の結果として、相手に影響(発語媒介効果)を及ぼす行為。
    発語媒介効果がどれほどの効力をもつかは社会や言語によって異なる。つまり、発し手の意図どおりになることもある。あるいは、思わぬ効果を生むこともあるだろう。

    発話を行為として捉えたことがオースティンの重要な点である。
    特に③の発語媒介行為はコミュニケーション論などでよく参照される。

  • 大学3年のゼミで使った。
    役に立つけど、とにかく読みにくい。

  • この本は、オースティンが行った「言語と行為(Wards and Deeds)」という題目の講義を文書化したものです。
    そのため少々わかりにくいように感じられます。
    しかし、言語学の文献には必ずと言ってよいほどこの名が登場する、「超有名人」ではないでしょうか。
    とくに、発語を「行為」としてとらえ、3つのタイプ(発語行為、発語内行為、発語媒介行為)に分類した彼の理論は興味深いものがあります。
    言語学を理解するには、この本だけでなく、この分野に関する多くの文献を読み、完全に吸収することが必要と感じました。
    言語学の素人でも読んでよかった。そんな一冊です。

  • 言語行為論ナリー。

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