ぼくらの仮説が世界をつくる

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478028322

感想・レビュー・書評

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  • 著者はドラゴン桜や宇宙兄弟などのヒット作を生み出す編集者から独立して、株式会社コルクという作家のエージェントなどを行う会社で活躍している。

    以前日経アソシエのインタビュー記事で彼の存在を初めて知った時から興味があったが、たまたま書店でタイトルだけを見て買おうと思ったら佐渡島さんの本だった。

    因みにアソシエの記事で、なぜ興味を持ったかと言うと、そもそも自分が宇宙兄弟が好きだったので、その編集者という事で興味を持った事もあったが、読んでみたら、中学時代親の仕事の関係で南アフリカにいたときの話が載っていて、塾や問題集などがないので、教科書だけで勉強するしかなかったので、それを徹底していたら
    帰国後灘高校に受かったという実体験をもとに、教科書を徹底的に勉強するだけで十分という話があった。これを読んで息子たちへ良かれと思っていろいろ問題集を買うのはやめよう。
    もし問題集を買ったら、それを何度も繰り返し解くようにさせようと改めて思った。ので印象に残っている。

    この本を読んで思ったことは、普段生活をしている中で、大小様々な決断をする場面があるが、自分はほとんど意識をしないで前日と同じという理由で同じ決断をしている。逆に著者のように日々の小さな決断を意識する事で、すごい結果につながっていくという事を感じた。

    気に入った言葉
    仮説を立てるときは、誰でも得られえるような数字やデータを集めるのではなく、「日常生活の中で、何となく集まってくる情報」「自分の中にある価値観」の方が大切。
    決して「情報を無視しろ」というのではないが、仮説を補強するために情報を集める。つまり「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証:が正しい。

    仕組みのせいで能力を発揮する事が阻まれているだけなのに、それを才能のせいにしているケースが多い。

    「何が変わっているのか」をきちんと見極めるのと同時に「何が変わらないか」を把握しておくことも大事

    新人時代に先輩から「作品が完成したと思った後に「まだまだよくなる」と信じて、しんどい中でも匍匐前進で前に進もうとしろ。そういう努力が作品を面白くするのだ」

    連鎖の起きるドミノをきちんと倒せば、確実に変化を起こす事が出来る。そのキーとなる1枚とは、「基本」だと思っている。
    基本を徹底する事で、自然にドミノが倒れていき気が付けばものすごく大きなことが実現できているのです。

    二重目標:何かを成し遂げるにあたって「毎日絶対にできる目標」と「理想的な目標」の2つ作る。

    人生を変えるには習慣を変えるしかない。「日々の努力をしない理由」というのは簡単に見つかってしまう、

    「意思」ではなく「習慣」でしか人生を変えることはできない。

    失敗するとすぐに消えてしまうよな自信は、「自信」ではなく「勘違い」

    とったリスクの対価しか手に入らない。これはルールが変わりゆく中でも変わらない本質

    嫌な事ほど、とにかくすぐにやる

  • 「ドラゴン桜」や「働きマン」「宇宙兄弟」をプロデュースし、現在は独立した編集者である著者による、世の中に新しい意味を作るためのエッセンス。参考に情報がいっぱいでこれはおすすめ。「情報収集→仮説ではなく、仮説→情報収集」「語る場所の不足がビジネスチャンス」「ストップウォッチが壊れていると疑う」「コンテンツは親近感x質」「ドミノの一枚目を倒す」「意志ではなく習慣でしか人生は変えられない」

  • 最近ハマっている編集者のお仕事本第二弾。別な職種の裏側がわかるのって面白いです。以下引用

    ○僕は「共感」がキーワードだと考えます。「背景にあるストーリーに共感するからモノが欲しい」という時代になってきた。

    ○「教える側」と「教えられる側」がいずれごっちゃになる、という流れはら全産業で起きる「方程式」なのです。

    ○世の中にある95%の「なんとなく」がスマートフォンに集中してしまっている。…しかも、Internetの中には、無料コンテンツがたくさんあります。なんでもいい人の95%は、これに満蔵してしまう。この現象は、出版業界だけでなく、「なんとなく」を奪い合っている全ての業界の危機なのです。

    ○なぜSNSを見てしまうのか。…同じように作品の「面白さ」というものも絶対値ではなく、関係性の中で決まるのではないか…おもしろさとは親近感✖️質の絶対値の「面積」だったのです。

    ○なぜ商品をモノとして売りたくないのか。モノは価値競争に巻き込まれてしまうからです。…「作品」として扱ってもらえるなら、作家がかけた時間と能力に対して対価が支払われるので…「流通の仕組みを変えることが、世の中に出したいものを出すための最善の方法である」とジョブズが気づいたところが、最も凄いところだと、僕は考えます。

    ○ただ、「努力すること」は本当に難しいことです。…人間というのはとにかくサボる動物だからです。だから、サボらないように工夫すること、努力わ続ける仕組みを作ること、が大切になってきます。…「二重目標」という考え方があります。…「毎日絶対できる目標」と「理想的な目標」の二つを作るという方法です。

    ○「意志」ではなく「習慣」でしか人生を変えることはできない…努力を続けられるような習慣を保つためには、自分に刺激を与えてくれる環境に身を置き続ける必要がある。

    ○現代人が感じる恐怖や不安というのは「死への恐怖」ではなく、単に「努力をせずに、現状維持したい」とい思いから生まれる恐怖です。そう考えると、現代は、リスクに思えることなど、ほとんどありません。「環境に合わせて、変化し続けなければいけない」というのは、有史以来の大原則だからです。

    ○『幸福論』の中でアランは「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである。気分に任せて生きている人はみんな悲しみに囚われている。否、それだけではすまない。やがていらだち、怒り出す。本当を言えば、上機嫌など存在しないのだ。気分というのは、正確に言えば、いつも悪いものなのだ。だから、幸福とは全て、意志と自己克服とによるものである」

  • ー世界は、だれかが思い描いた「仮説」でできている。


    過去に「ドラゴン桜」や「宇宙兄弟」を手掛けた編集者である、株式会社コルクの代表佐渡島さんが「夢をどう実現させているか」について書かれた本。

    地に足をつけながらも、高みを目指している彼の思考には感動した。
    おそらく、現状に満足はしていないものの、今の環境に留まる実力しかない自分にとって、勇気の出る言葉がたくさんあったからこそ感動したんだと思う。

    個人的にはなるが、以下がこの本から得た大切にしたい言葉である。
    心の持ち方、仕事の仕方、社会の変化への洞察等を含んでいます。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    【第1章 ぼくらの仮説が世界をつくる】

    ・筆者は「仮説・検証」という作業を意識して行ってきた。いつも念頭に置くのは「仮説を先に立てる」こと。

    ・仮説を立てるときは、だれでも得られるような数字のデータではなく、「日常生活の中でなんとなく集まってくる情報」、そして「自分の中にある価値観」のほうが大事。

    ・「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」という順番で思考することで、現状に風穴を開けることができる。

    ・「仮説を立てる」ことと「定義しようと試みる」ことは同じ。
    何事も「定義する」訓練を積むことで、自分なりの仮説を生むことができるようになる。

    ・いい作品とは、新しい定義を生み出すことができるもの。
    例えば、ドラゴン桜は「教育の再定義」、働きマンは必死に働く人はかっこいいという「働き方の再定義」、宇宙兄弟は「人の絆の再定義」。



    【第2章 「宇宙人視点」で考える】

    ・物事の本質を考えるときは「自分が宇宙人だったら、どういうふうに考えるだろう」と思考する。
    宇宙人にはレッテルやイメージという固定観念もなければ、業種という概念もない。

    ・「何が変わっているか」をきちんと見極めるのと同時に、「何が変わらないのか」を把握しておくことも大切。そこに人間や社会の「本質」がある。

    ・道無き道を歩む人たちがこれだけたくさんいるということは、もはや、道無き道がそこまで危険な時代ではない。

    ・筆者の世界の見方はシンプル。
    まずは変わらないものを見つけること。そして、日々起きる変化の中で、何が大局の変化で、どれが一時的な文化や習慣に過ぎないのかを「宇宙人的視点」で見つけること。長期的な変化は何なのかを予測し仮説を立てること。

    ・家にいるときも、外にいるときも、全ての「なんとなく」をスマートフォンが奪っている。世の中にある95%の「なんとなく」がスマートフォンに集中している。
    しかも、インターネットの中には、無料コンテンツがたくさんある。「なんでもいい」95%の人は、この無料コンテンツだけで満足してしまう。
    この現象は、出版業界だけではなく、「なんとなく」を奪い合っていた全ての業界の危機。



    【第3章 インターネット時代の編集力】

    ・「おもしろさ」には絶対値はなく、関係性の中で決まる。おもしろさは「親近感×質の絶対値の面積」である。

    ・これからのコンテンツビジネスは、「いかに親近感を持ってもらうか」が課題になってくる。どれだけファンと接点を持つかが大事になってくる。

    ・アナログは温かくて、デジタルは冷たいと考えがちですが、実際はその逆だった。デジタルの中で、人間的な付き合いが生まれるようになってきている。

    ・人間というのは「本当の自分」というものが真ん中にあって色んなことをコントロールしているわけではなく、全て他人との人間関係の中に自分があって「相手によって引き出されている」。

    ・対象商品を長期的に大切に思ってもらうためには、その「分人」を毎日引き出してあげることが重要。

    ・メディアを考える上で大事なのは「親近感」。サイトよりもFacebook、FacebookよりもTwitter、TwitterよりもLINEやメルマガ。親近感の違いによってレスポンスの量も質も違ってくる。

    ・顔はお互いに出さなくても、「仮想対面」によって画面の向こうに「人の温度」を感じることで、現実と同じようにECサイトでもモノを買うようになる。

    ・「モノ」は価格競争に巻き込まれるが、作品は違う。「モノ」ではなく「作品」として流通させることで、利益を得ることができる。

    ・今までは、消費者がいつお金を払うかが決まっていて、常に「所有権が移行するとき」だった。だが今後は、どの時点で「お金をください」と頼むと、ファンが気持ちよく払ってくれるかという問いを、マーケターがゼロから考えなければならない。



    【第4章 「ドミノの一枚目」を倒す】

    ・「連鎖を生み出す仕事」であれば、やる気も自然と継続する。

    ・最終的にどのドミノを倒したいのかを見極め、それを倒すためにはどのドミノを倒すべきなのか、その「キーとなる最初の一枚」を徹底的に攻める。
    連鎖の起きるドミノをきちんと倒せば、確実に変化を起こすことができる。

    ・その「キーとなる一枚」とは「基本」のこと。基本を継続することで、自然にドミノが倒れていき、気づけばものすごく大きなことが実現できている。

    ・真似て、基礎の力を自分のものにした人だけが、オリジナリティのあるものを描ける。「真似た作品を発表すること」と「真似てトレーニングすること」は全く別のこと。

    ・人は、「自分の個性が何なのか」「強みが何なのか」ということを、自分では見つけられない。真似るという行為は、他人になろうということではなく、他人との比較によって、自分の個性と強みを見つけようとすること。

    ・表現するには、その元となる素材を「観察する力」が必要。観察力が上がっていくと、同じものを見ていても、他の人とは違う、ものすごく濃密な時間が過ごせるようになっていく。

    ・努力をするのは最低限の基本。だけど人間はサボる動物なので、サボらないように工夫することや努力を続けるための仕組みを作ることが大切。

    ・努力を続けるための仕組みとして「二重目標」という考え方がある。何かを成し遂げるにあたって、「毎日絶対にできる目標」と「理想的な目標」の二つを作る、というもの。
    前者に行動のハードルが相当低いものを設定することで、その繰り返しで後者も達成するようになる、というもの。

    ・人間はどれだけ強く決意をしても、大きく変わることはできない。変わるためには「習慣にすること」が必要。
    「日々の努力をしない理由」というのは簡単に見つかってしまうから、例え1ミリずつでもいいから前に進むことが大事。
    意志ではなく、習慣でしか人生を変えることはできない。

    ・努力を積み重ねるためには「スケジュールをブロックしてしまうこと」が簡単で確実。



    【第5章 不安も嫉妬心もまずは疑う】

    ・すぐに結果が出るのは、新しいことに挑戦せず、参入障壁が低いことをやっている証拠。

    ・昨日より今日、今日より明日、1ミリでも進んでいればいい。不安というのは「自分を信じられていない」状態。未来の自分を信頼できるようになると、余計な不安はずっと減る。

    ・やりたいからやる、だからこそ続けられる。「やりたい」を継続するために、「儲ける」もしっかりやる。この順番ならば、いつまでも諦めずにやり続けられる。これが一番の強さ。

    ・嫉妬心をエネルギーにして抱く目標は小さい。「世の中を良くしたい」「人を楽しませたい」といった正のエネルギーのほうが、大きなことを実現できる。正のエネルギーは、共感されやすく、まわりを巻き込んでいき、より大きくなることが可能。



    【第6章 仕事を遊ぶトムソーヤになる】

    ・報酬は、取ったリスクの対価としてしか手に入らない。

    ・「会社を辞めない」というのは、「今日はこの会社で働く」という決断を毎日無意識でしている。
    現代人が感じる恐怖や不安というのは「死への恐怖」ではなく、単に「努力をせずに現状維持したい」という思いから生まれる恐怖である。

    ・自分が「おもしろい」と思うことは、自分にとって新鮮なだけ。逆に、自分では飽きていておもしろくないと思っていることは、自分の中で何度も考えられ、熟成されたことなので、世間にとっては発見であることが多い。

  • 大きな〜をしたいっていうプラスのエネルギーじゃないと物事は大きく変わらないよってこと。
    毎日少なからずの変化、決断をしているけれども、楽な方(楽に思える)方を選んだ時だけ決断したって気持ちになるだけであって、それは決断とは言わずに、という感じでした。
    面白かったです。

  • データに基づいて仮説を立てるのではなく、仮説を立ててから検証を行う。
    特にコンテンツビジネスのような、流通の仕組みが変わりつつある世界では、データに基づいて行動をおこしていたのでは、常に手遅れになるのだろう。
    物事の本質を、自分の経験によるセンスに基づき、直感的に方向性を出すことが有効だと思った。

  • 可もなく不可もなし、といった作品。
    著者の、作家・漫画家に対する情熱をとても強く感じる。すべての機動力は尊敬する人・好きな人からもらっているという印象を持った。

    著作の中に出てくる《二重目標》毎日絶対にできる目標と理想的な目標、なるほどと思った。

  • 線がきれいに引けるかどうか。
    きれいに線をひき、かつそれが揺れているか。
    そんな日々のこつこつが表面張力を決壊させる。
    でも、ひとは基本なまけもの。
    それを忘れずに!

  • 思っていた、佐渡島さんの仕事の実例に基づくノウハウ本というものではなく、佐渡島さんという人の思考方法についての本だった。自己啓発と言えなくもないが、佐渡島さんという言葉に血が通っている人によるものなので、響き方が違う。

  • 著者は元編集者。これからのコンテンツビジネスの鍵は「親近感」であると。確かにコンテンツをネタとして消費〜拡散させることがマーケの主流になりつつある。その一方、いいものを一生懸命に作っても売れなくなってきたという言葉に実感が籠る。

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著者プロフィール

編集者、コルク代表取締役。1979年、兵庫県に生まれる。東京大学文学部を卒業後、講談社に入社して「モーニング」編集部に。『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などのヒット漫画を生み出し、小説家の伊坂幸太郎、平野啓一郎も担当した。2012年に独立し、クリエーターのエージェント会社コルクを創業。漫画家や小説家などとともにインターネット時代の新しいエンターテイメントの創出を目指している。
著書に、『ぼくらの仮説が世界をつくる』(ダイヤモンド社)、『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』(幻冬舎)、『観察力の鍛え方』(SB新書)などがある。

「2022年 『言葉のズレと共感幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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