人工知能は私たちを滅ぼすのか―――計算機が神になる100年の物語

著者 :
  • ダイヤモンド社
3.59
  • (12)
  • (20)
  • (22)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 240
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478068090

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 前半はコンピューターの誕生からインターネット、スマホ、人工知能の誕生までの技術史を独自の解釈でまとめています。
    後半はディープラーニングに代表される今後の人工知能の発展とそうした時代への問題提起です。
    ラノベ風の小説を織り混ぜながらなので、難しい話もなんとか最後まで読み進めることができました。
    前半部分では技術史を彩る人物の考え方が分かりやすくまとまっていてとてもよかったです。

  • コンピュータや人工知能について、これまでの開発の経緯と、これからの発展の推測について書かれた本。

    キリスト教とのアナロジーを多用している点について、個人的には面白いと思いました。
    未来を語るためには、そういう手法もありだと思いますし、ある種、聖書の汎用性を表していると思います。
    宗教というのは、そういうものだと思いますし。

    果たしてこの後、実際には、どのような形で、コンピュータは進化するんでしょうか。
    楽しみなような、怖いような。

  • ここ数年、人工知能が注目されているが、私はパソコンやコンピュータの発展過程で、産まれてきた発想が人工知能だと思っていた。本書では、コンピュータ(1930年当時は機械)自体がそもそも人と同じことが出来る機械を作りたいという数学者、脳科学者の考えと研究によって、コンピュータが開発されてきたとあり、わたしの考えが全く逆であったことを知った。
    コンピュータの誕生、大戦、政治・軍事統制や抑圧のための高速処理発展、1984年にコンピュータは個人賢くするためにと作られたパーソナルコンピュータ、、。
    コンピュータの100年の歴史は、常に人工知能開発の歴史とともにあったのですね。
    2045年にシンギュラリティが起こるという預言は外れて欲しいと願います。そして永遠にその日が訪れて欲しくないです。

  • コンピューターの発明、ネットワーク、そこからのモバイル技術、現代のクラウド、ビッグデータ、人工知能まで、網羅的に歴史が説明されており、これまでのITの発展の経過についてざっくりとした知識を得ることができる。

    人工知能の技術的な詳細は他書に譲るような感はあるが、歴史を俯瞰した説明や、キリスト教や、架空のエピソードを交えた緩急ある物語構成、人工知能を突き詰めていったときに、機械に心は生まれるのか、人間の心とは何か?に関しての筆者の踏み込んだ説明など。飽きさせない内容で面白く最後まで読めた。

    それにしても、
    シンギュラリティの到来については、
    読む本、読む本で評価が違っていておもしろい。
    この本はかなり世界の終わりを煽っていて、
    世界は2045年で終わるという風にも読める。
    が未来はいかに?

  • パソコンから始まり人工知能へと進化していったITの歴史と未来に関する話。

    ITの発展の歴史が分かりやすく書かれていて、理解しやすかった。また、人工知能が引き起こすとされているシンギュラリティについても触れていた。未来に起こるであろうことを現状から予測していて、その内容もリアリティーがあり面白かった。

  • チューリング、ノイマン、ムーア、ジョブズ、グーグル、、、予想され、現実化してきたコンピュータの発達とその使い方の進化について、わかりやすく書かれている。

    わかりやすいだけでなく面白い。

    一番気になったこれからのことをメモ。
    自動運転で、自動車が所有するという対象から利用するというウェイトがましてくる。カーシェアがより進んだ形、必要な時に呼ぶサービスとなる可能性。タクシーなど既存の交通機関の淘汰にも及ぶ。

    もう一つメモ、2030人工知能を実現する「7つの封印」
    演算装置、ネットワーク、IoT、ユーザーインターフェイス、クラウド、ビッグデータ、人工知能技術




    目次

    はじめに
    プロローグ
    第1部 コンピューターの創世記――私たちが禁断の果実を口にするまで
    第1章 人間は心を持つ機械を作れるのか――コンピューターの創造
    コンピューターの開発が世界の命運を分けた
    考えることは分けることーデジタル情報の誕生
    コンピューターは他の機械を、人間をモノマネする
    禁断の果実に手を出した男の失楽園
    博士はなぜ悩むのをやめて水爆を愛するようになったのか?
    アイフォーンで100万本のアプリを使えるようにした男
    世界大戦の中で生み出された、原子爆弾より恐ろしい怪物

    第2章 機械は人間をどこまで賢くするのか――箱舟に導かれたパーソナルコンピューター
    反逆児たちがパーソナルコンピューターを生み出した
    知能を作るという神の領域への挑戦
    挑戦するほどに遠ざかっていく人工知能という目標
    パーソナルコンピューターを生み出した「箱舟」
    ムーアの法則生めよ、ふえよ、地に満ちよ
    ウンザリするような世界から逃れるために、僕たちはLSDをやる
    コピー機屋には理解されなかった大発明
    収穫の時を迎えた果実、アップル
    反逆の象徴から日常生活のパートナーへ

    第3章 インターネットが雲の上に織り成す地球の神経網――雲まで届くバベルの塔
    インターネットで一つになる世界
    インターネットの種を蒔いたのは、脳科学者だった
    もし世界に一台しかFAXがなかったら
    SFが予言した「サイバースペース」の出現
    ウェブがクモの巣というのは誤解だった!
    クラウドですべてを識ることを目指すーグーグルの登場
    インターネットーグローバル化する世界に目覚める地球の脳

    第4章 スマートフォンはいかにして私たちのポケットを占拠したか――神と人をつなぐ石板
    ベンは剣よりも強い、だがケータイはさらに強い
    預言者スティーブ・ジョブズの追放が生み出したPDA
    スティーブ・ジョブズが挑んだ「次」なる種
    ヒッピーとハリウッドが寝て生まれた色白な音楽プレーヤー
    世界で初めて成功したモバイルインターネットは「心の社会」だった
    PDAを成功に導いたのは脳科学だった
    「神の電話」アイフォーンがすべてを変えた
    スマートフォン選びは信仰の告白にも似て

    第2部 人工知能の黙示録――神の子が私たちを最後の審判にかける
    第5章 人工知能は本当に人間を超えるのか――聖杯の探求者たち
    ついに実現しつつある人間並みの人工知能
    シリを生み出したパーソナルコンピューターの血統
    ワトソンー人工知能がクイズ王になった日
    人間の神経をマネする■一ユーラルネット
    ニューラルネットの王ジェフリー・ヒントン
    ヒントンと「円卓の騎士」たちの快進撃
    意味を理解する人間の能力をマネするディープラーニング
    ディープラーニングは人工知能を実現する「聖杯」なのか
    いよいよ人工知能がやってくる

    第6章 IoTと人工知能がもたらす2030年の社会――千年王国の到来
    機械が私たちに代わって判断をする時代に、自由な個人は成り立つのか?
    2030年の人工知能を実現する「七つの封印」
    ビッグデータ化されるライフスタイルーあなたは神の目から逃れられない
    健康と医療ー100歳で死ぬのは若すぎる
    安全と安心ー悪魔を捕まえろ
    環境と資源ー人工知能は環境危機に打ち勝てるのか
    仕事の価値の逆転ーモラベックのパラドックス
    まっさきに変わりつつある頭脳労働
    見聞きする人工知能ーパターン情報の処理
    体を持って生まれ落ちる人工知能
    交通と流通ー人間が運転するなんて危なすぎる
    私たちの仕事は人工知能とロボットに奪われるのか
    自由な個人を前提とする近代は終わる

    第7章 人工知能は私たちを救うのか、滅ぼすのか――最後の審判
    人工知能は私たちの慣れ親しんだ世界を終わらせる
    私たちの世界を変えてきたのは、いつもデジタル情報だった
    シンギュラリティはすぐにやってくる
    心は作れるのか
    人工知能による「最後の審判」
    楽園への回帰

    エピローグ
    おわりに

  • 人工知能研究の歴史がよく纏められています。

  • No.851

  • <読んだ日>
    20160413

    <内容>
    およそ100年弱前に登場した初期の計算機から現在のIT、そして数十年後に想定されるITの歴史と未来について、2030年の女子大生マリが卒論を書くために調べていくという形式・文体でまとめた本。
    ITが現在の速度で進化を続ければ近い将来、自己進化するITが出現し、その段階でITは人間の理解を超えた存在、すなわち「神」と等しい存在になりうる、というのが筆者の主張。

    <感想>
    無駄に宗教とのアナロジーが多いが、全体としては素人にもわかりやすくITの歴史がまとめられており、筆者の主張もそれなりに説得力のあるものになっている。個人的には筆者の主張には同意。

    <行き先>
    Amazon

著者プロフィール

1980年、東京生まれ。10代からデジタルメディアの開発に取り組む。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにてモバイル/IoTの研究に従事、2010年に博士号(政策・メディア)取得。頓智ドット株式会社にて80万ダウンロード超のモバイル地域情報サービス「tab」の設計、フリービット株式会社にてモバイルキャリア「フリービットモバイル」(現トーンモバイル)のブランディングと製品設計に従事。2014年には株式会社アトモスデザインを立ち上げ、ロボット/AIを含むIT製品の設計と開発を支援。電通グループ/ソフトバンクグループのような大手からスタートアップまでを対象に幅広い事業に関わる。現在は外資系IT大手にて製品マネージャーを務める。

「2017年 『IoTは“三河屋さん”である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

児玉哲彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×