- Amazon.co.jp ・本 (417ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480021151
感想・レビュー・書評
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この一冊で考現学の概略が楽しめました。
時代の風俗って
あとから貴重な資料になるのに
あんまり記録されないですものね。
でも、たとえばその時代を舞台にして
何か創作しようと思ったら
こんなに役に立つ資料はないのでは。
例えば銀座の通行人が何を着て何を履き
田舎の生垣は何でどのように作られているか
学生のヘアスタイルはどうなっているか
めちゃくちゃ細かく記録されている。
一軒の家の中をくまなく調べたのなんか
舞台装置として再現できるくらいの細かさ!
調査票が手書きなのも味があって良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「地方に見える屋根の形」だとか「玄関の様子」だとか、最初の方はまだ民俗学らしいことをしているが、読んでる内に著者の執念がどんどん得体の知れない方向へ行く。考現学とは考古学の逆で、要するに現代を考える学問であるらしい。考古学者が遺跡を検分するように、著者は1925年の銀座を見、そこを歩く女たちの髪型を細かく分類して一人一人を当て嵌めて統計をとり、或いは男たちの髪型を、或いは着物の柄を、或いは履物を・・・・とやっていく内に対象は大衆から個人へ、銀座から一戸の家へ、「本所深川の店に見られる品物と値段」から「男子学生の制服で傷み易い箇所一覧」になって行くのだから人の好奇心というものはなかなか計り知れないものである。中でも圧巻なのは「馴染みの定食屋があまりにも酷い茶碗ばかり出すので腹が立った」ため始めたという「欠け茶碗一覧」。通う度にこれは、と思う欠け具合の茶碗が出されると、こっそりとスケッチブックに書き付けた。というのだから恐ろしい。その他、「井の頭公園自殺場所分布図」や「レビューの踊り子オーディションルポ」などを個人的に楽しく読んだ。
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考現学という体系、今和次郎。