- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480058249
感想・レビュー・書評
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【書誌情報】
英単語スペリング攻略法
佐久間 治 著
シリーズ:ちくま新書
726円(税込)
Cコード:0282
整理番号:224
刊行日: 1999/11/18
判型:新書判
ページ数:208
ISBN:4-480-05824-9
JANコード:9784480058249
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previledgeかprivilegeかとか、resistanceかresistenceかとか、clutchとcrutchの意味の違い、calendarとcalenderの違いなど、なかなか綴りの覚えられない、間違いやすい単語を取り上げ、語源の解説や意味が似た単語を取り上げて、なんとか綴りを覚えようとするもの。単語レベルは一応、「10000語レベル」となっており、英検準1級~1級の間くらいのレベルか。
はっきり言って万人向けではなく、英語中上級以上の英語好き、英語マニア向けの内容。正直初めは、ひたすら項目が羅列してあるだけなので、かったるい印象もあったが、読んでいくうちに面白いことに気付く。しかも、結構面白い。と、英語好きな人なら思える内容。例えば、rrelで終わる単語は3つだけ、barrel, quarrel, squirrelです。という訳で「樽の中でリスが喧嘩」(p.63)と覚えましょうというのは、これまで英語を勉強していても気付かなかった観点で、ワクワクする内容だった。rice-ripe-reapは全部rで綴りも似ていて、「米が実ったから収穫する」(p.82)と覚えるらしい。他にも、「-ffer語群ではアクセントが前、-fer語群ではアクセントが後ろに来る」(p.29)というのも気付かなかった。例えばdiffer, offer, sufferとconfer, defer, infer, prefer, refer, transfer。「com-かcomm-で迷ったら、十中八九comm-です。」(p.40)、というのもcom-はギリシャ語起源のcomedyとcometしかない、らしい。baggageとかmileageとか-ageで終わる単語はたくさんあるが、「garbageとは元々『動物の内臓』の総称でした。現代英語でも『生ごみ』とか『(ブタや魚の)あら』に特定される理由がここにあります。」(p.34)というのは知らなかったし、tonnage, tillage, visageなんていう単語は始めて見た。さらに、lavatoryとlavaは知っていたけどlavishは知らない単語だったし、「流れる」で関連がある(ラテン語に由来)(p.111)というのは面白い。知ってそうで知らなかった単語、というのに出会えるのも面白い。pursuance(p.139)はpursueから来るのは分かっても、辞書で調べるとin pursuance of ~の形で使う、というのは知らなかった。たぶん基本語なんだろうけど、remittanceとかdeferenceとか、意味が怪しい語だった。また、英語史を勉強してて、「語源的綴り字」によってreceiptやislandのpやsが挿入される、というのは有名だが、それとcomb, bomb, tomb, aisleのbやsとは違う、というのはもう1度整理したいと思った。その黙字の話で、「日本語にもあることを知っておいたほうがいいでしょう。」(p.116)というところは、言われるまで気付かなかった、和泉、伊達、五右衛門、の和、伊、右は読まないでしょう、というのは読んで納得した。
というように、綴り字の確認を通して、これまでの英語学習の「穴」に気付いて埋めることができるという点ではとても良い本だと思う。けれども、そもそもこの本を読む動機は、この前中学生のテストの採点でやたらguitarをguiterと綴ったりpictureの綴りが違っていて、なんとか納得できそうな説明が載っていたりしないのかな、と思ったが、そういう綴りを間違えるような初学者に分かりやすい説明はない。例えばguitarは「主にスペイン語の対応語guitarra(ギターラ)の影響を受けています。おそらく、guitarのアクセントが後ろの音節にあるのも、この影響と思われます。」(p.132)という説明があって、正しい説明だと思うけど、初学者に説明出来る内容でもないかな、と思った。こういう感じで語源を探ったり、接辞を取り上げたりしながら説明する方法がほとんど。「同系語」、例えばsew(縫う)を覚えたければseam(縫い目)を思い出しましょう(p.148)、というのもそもそもseamを知っている中級以上の学習者じゃないと有効にならない。sow(種をまく)のoの文字を「種」に見立てる(同)という覚え方、というのも苦しい。綴りとスペリングの関係を通時的ではない「理屈」で説明しようと思えば、たぶん大名力『英語の文字・綴り・発音のしくみ』のように、開音節が閉音節がという話をしないと説明できないのだろうけど、一部でそういう説明はなされているが、(たとえば「dropedとした場合、先行のoが短い音である保証がなくなってしまうのです。rope[ロウプ]という別の吾の類推が働いて[droupt]と二重母音で発音される危険が出てきます。」(p.171)のような説明)メインではない。とにかく、英語の「勉強」好きな人にはおすすめの1冊。(15/12/16) -
スペリングを正確に覚えるには語源への理解が武器になる。
接頭辞とつづりの関係で覚える、語源的に近い語を関連付ける、などなど。
「なるほど」と思わせる例がたくさんありました。
college(大学)は
com-(一緒に)とleague(リーグ)の結合からつづりが変化したもの。
com-はl-に先行するときは同化してcol-になるので、coll-が生じる。
ちなみに非常に近い語がcolleague(同僚)で、collegeの元の姿といえる。
・・・などなど。